迷宮の魅力「グランドハイアット東京」

dscこのホテルに、「マデュロ」というバーがある。初めて訪れる人が、迷わずに行けることは、ほぼないだろう場所に。分かり難い道順でわざわざ作ったような・・・。(実際そうなんだろう)フロントからエレベータに乗り、6階で降り、ビルの外につながるドアを開けると小さな中庭に出る。ビルの上とは思えない敷石や竹林があり、ほの暗い松明の灯りとが相まって、幻想的な空間になっている。庭を囲む形で「旬房」「CHAINAROOM」「OAK DOOR」などのレストランが控えめに佇んでいる。そこに唐突にエレベータがある。乗り換えて、今度は4階に降りる。水を張った水路に沿って歩くと、一枚板の壁がある。
・・・近づくとそれは自動ドアで、「マデュロ」の入口とようやく分かる。入口に比べ意外なほど広いフロアは、いつも賑わっている。皆、迷うことを楽しみながらここまでやってきたのかもしれない。

グランドハイアット東京自体も、一度六本木ヒルズの中に入ってしまうと、入口は分かり難い。地上を歩いていたはずなのに、何時の間にか地下をうろついていたりする。地下から地上へエスカレータで昇り直し、秘密?の通路を通り、今度はエスカレータを降り、駐車場を経由してようやくフロントへ向かう。薄暗いロビーの照明と、一段ずつライトの入った明るい階段、壁面のディスプレーの対比が絶妙。薄闇と灯りを上手に使い、迷うことを楽しめる演出。

メインダイニングは2階のフレンチキッチン。妻は女優気分で例の階段を登る。ここでも光と影の演出が心地良い。天井までワインボトルが並ぶショーケースが美しい。そしてフロアレイアウトもオープンキッチンとの組み合わせが複雑で楽しい。
グランドハイアット東京は、迷宮を彷徨う楽しみが溢れている。

Comments are closed.

002145935

SINCE 1.May 2005