美味への階段「二期倶楽部/那須」

DSC00010チェックインを済ませ部屋に向かう。オープンしたばかりのコンラン卿デザインの東館ではなく、敢えて本館を予約。そう、旅の目的のひとつは、自分たちもあの写真の風景に収まること。石造りの廊下と階段を通り開放的なスペースに出たなと思うと、あの場所だった。改めて恋に落ちる。しばらく池の辺に佇み、二人で和み、風景に溶け込んでみる。初めて来た場所なのに、妙に落ち着く。期待の夕食の前に、野生のクレソンが生い茂る渓流の小路を散歩しながら露天風呂に向かう。広々としたテニスコートと東館に続くライステラスを見おろす小高い丘の上、簡素な板塀に囲まれた大らかで開放的なロケーション。森林浴と入浴を兼ねて湯船に浸かる。このホテルの建築物と自然の組合せとバランスは絶妙だと、つくづく感心する。

夕食は、チェックイン前に見初めた吹き抜けのレストラン「ラ・ブリーズ」で。少し早い時間に出向き、階上のバーで乾杯。一枚板の長いバーカウンターの向こうに切ってある窓から庭の緑が見える。緋色のソファとのバランスも美しい。そして待望の料理も実に美しく繊細だった。ホテル直営の畑で栽培された有機野菜、那須牛をはじめとした那須高原の食材の数々。目も、舌も、お腹も満足。美貌と評判だけで一方的に恋に落ちた女性の、料理の腕にも惚れてしまった。

翌日の朝食も期待通り。昨夜は締め切っていた渓流に続く大きなガラス扉を全て開放。明るい陽射しの中、真っ白なパラソルの下、碧の芝生の上のデッキでせせらぎの音、鳥の囀りを聞きながら、摂る食事。美味しくないはずはない。メイン・ダイニングに向かうアプローチはは、まさしく“美味に向かう階段”だった。

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