スープ・ド・ポワソンで復活!「Cherry’s Cafe」ニース

dsc寒い季節にフランスを訪れ、パリ滞在5日目の朝。妻が急に体調を崩した。いつも元気な妻にはめったにないことだが、腹痛と発熱で起き上がることができない。美味しい街パリで食べ過ぎたのか。う〜む、困った。その日は南仏に向けて移動する日。航空券も予約してある。焦った私はホテルのコンシェルジェを訪ね、慌てて言った。「私の“Mari”が病気なんで、飛行機の予約を変更して欲しいんだけど」…言ってすぐに気が付いた。フランス語で「Mari」は、「夫」。冷静なコンシェルジェは何事もなかったように、「ウィ、ムッシュー」と言って、夕方の便に変更してくれた。

パリ市内からタクシーでシャルル・ド・ゴール空港へ。国内便の飛行機に乗り込み、ニースのホテルになんとかチェックインしたものの、妻は快復しない。普段は風邪もめったに引かないだけに、病気の際にはぐったりして見える。夕食はフルーツだけ。翌朝はなんとかクロワッサンとカフェオレぐらいは食べることができた。ちょっと安心。そこで、リハビリを兼ね、のんびりとニースの街を散歩する。

プロムナード・デ・ザングレ(イギリス通り)からエタ・ズニ(アメリカ)海岸通りを歩く。通りに沿った場所に明るい海を眺められる「Cherr’s Cafe」という店があった。休憩も兼ねてテラス席でのんびりと昼食にする。元気な私はビールと「ステック・フリッツ」(…昼からステーキ!)妻は悩んだ挙句に「スープ・ド・ポワソン(魚のスープ)」をオーダーする。バゲットをちぎり、スープに浸し、恐る恐る口に含んだ妻の顔がほころぶ。「美味しいっ!」私も味見。うーん。濃厚なキャメル色のスープには、具が何も入っていない代わりに、たくさんの魚介類の出汁と香草の複雑な香りが、一口飲むごとに元気になるエネルギーが詰まっていた。

南仏の暖かさに体調が戻ったこともあるのかもしれない。けれど、確かにこのスープは滋味に富んでいた。フランス滞在6日目、「Ma Cherie」は「Cherry」で復活した。そして、夕食には懲りずにムール貝を食べに出かける無茶な夫婦だった。

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