がんばれ飯島!どうした鈴木!「自転車キンクリート」

P1000679初めて彼女達の芝居を観たのは、誕生日を出張先の盛岡のオカマバーで迎え、帰ってきた翌日だった。第8回公演『シンドバッド・ハイヌーン』。新宿の、タイニィ・アリスで数回だけの公演。それが第10回公演『ほどける呼吸』では、池袋の文芸坐ル・ピリエで1ヶ月の公演。終演後、出演者全員が文芸坐の前に列を作って観客を見送ってくれた。作・飯島早苗、演出・鈴木裕美の二人も舞台に立っていた。繊細で、せつなくて、楽しく、素晴らしい脚本。私の30年ぐらいの観劇生活の、今でもベストの公演と言っても良い、素晴らしい舞台だった。

次の公演は紀伊国屋ホール!なぜか主役が多い歌川椎子、ちょっと憧れていた柳橋りん、当時からおばちゃん役がはまりの池田貴美子たちがメインキャスト。その後、第三舞台出身の京晋佑、引越しのCMで有名になった徳井優、久松信美などを客演に、自転車キンクリートSTOREとして定期的に公演を行った。ミステリー3作を連続公演、男性キャスト版と女性キャスト版の公演など、実に意欲的で、その度に観る側の(勝手な)期待に応えてくれた。同年代の彼女達が舞台を重ねるに従って、出演者の年代設定も上がっていき、ちょうど自分たちの生活環境の変化と並行してテーマが変わっていった。新しい舞台を観るたびに、一緒に齢を取っていく感覚があったのかもしれない。

・・・素晴らしいと思う。82年に“躍進するお嬢様芸”をキャッチフレーズに本女の学生が劇団を立ち上げ、今までずっと(劇団として)活動しているのだから。そして、飯島、鈴木の二人はTVなどでも活躍しているのだから。・・・でも、最近正直淋しいのだ。ここ2本連続して鈴木裕美の演出による舞台を観て落胆しているのが理由でもある。(『ブラウニング・バージョン』は、観終わって地味な気持になり、派手な食事をしてしまった)でも、それ以上に等身大の自分達と同世代の物語の、脚本を飯島早苗に書いて欲しい。それを鈴木裕美に演出して欲しい。1年に1回でも、あるいは何年に1回かでも良い。年齢を重ねた古い友人たちが何十年ぶりに集まって、子供や孫を連れて、などという設定で『ソープオペラ』や『トランクス』などの続編を演ってくれないだろうか。

ジョン・ボーナムが死んでも、レッド・ツェッペリンを、フレディ・マーキュリーがいないクィーンを観たいというようなオヤジ(あ、俺か!)の戯言だろうなぁ。

Comments are closed.

002142767

SINCE 1.May 2005