二度目のオーダー「サローネ・オンダータ/銀座」②

dsc「飲んだことのないものが良いかな」マスターの問いにそう答えた。「どんな味の傾向がお好きですか?」「癖のある、個性の強い方が好きですね」「こちらは飲まれたことがありますか?」「いえ、ないです。じゃあそれを飲んでみましょう」…GLENMORANG10年が最初の一杯だった。優しい柑橘系の香り。気に入った。「美味しいですね」すっかり和み、その瞬間にバーの客になってしまう。

「なんだかとっても嬉しそうだよ」試着を終えた友人が隣りのスツールに座る。「飲んでみる?」一口含んで顔をしかめる彼女は全くお酒が飲めない。同様に飲めない妻も味見する。すると、この味は好きだという。惜しいなぁ、一緒に飲めるともっと嬉しいんだけどなぁ…。そう呟くと、「じゃあ、誰が酔っ払ったあなたを家まで連れて帰るのよ」…ごもっともです。

「次にこちらはいかがですか?」じっくりと一杯目を飲み干す頃に、実にタイミング良く声を掛けてくれる。マッカランの7年、ヨーロッパ輸出仕様のまだ熟成し切っていないシングルモルト。一杯目とはデザインの違うバカラのショットグラスに注がれた、口の中で暴れる元気な一杯。そして、次にスカイ島のTALISKER。アイラのシングルモルトと同様にピートの香りと海の微香とが楽しい。…満足のひととき。

最初の訪問から1ヵ月後、出来上がりに満足した妻と友人とで二枚目のブラウスのオーダーのため、オンダータに向かった。今度は明確にバーに行く気持で、喜んで同行する分かり易い夫は、真直ぐにバーカウンターに向かう。…カウンターにはシングルモルトのボトルが数本。「いらっしゃると聞いて、お好きかなと思うものを用意しました」

やられた!オーダーサロンの酒、さすがに“誂え”られてしまう。これじゃあまた来ることになってしまいそうだ。…その時、隣りで妻が微笑んだのは、どんな意味なんだろう。

【残念ながらバーとしては2009年営業終了】

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