Archive for 12 月 17th, 2005

北口のビストロ、南口の大皿料理「我舎我舎」と「栄じ」

P1000756この街に住み始めて20年以上。北口中華「萬来軒」、南口中華「広味坊」と並んで、通い続けている店がある。どの街に行っても同じ看板、同じロゴ、同系列のチェーン店の味に慣らされている今、貴重な“地元の味”。以前の勤務先で、会社公認の「ラケットボールクラブ」を立ち上げ、同じ沿線のスポーツクラブで練習をした後に、決まって大勢で立ち寄る店だった。

北口にあるビストロは、「我舎我舎(GAYAGAYA)」。小さな路地に接する小さな店。カウンタの中でマスターが腕を振るい、奥様が接客。そんな風に夫婦二人と若いスタッフ(息子さん)で始まった店。20年以上経った今では、成長した息子さん夫婦が一緒に働く、風格さえ漂う、ますます良い店になった。一皿一皿の仕事は丁寧で、美しい盛り付け。定番メニューの味は安定して美味しいし、生牡蠣、初鰹など、季節の味を中心とした黒板の“お薦めメニュー”も楽しみ。この街になかったタイプの店で重宝したが、最近は年に何回か訪れるだけ。ラケットボールからスカッシュに転向し、スポーツクラブを変えたこともあり、大勢で訪れることも少なくなった。・・・淋しい。

南口にある大皿料理の店は、名前は同じながら麺屋になった「栄じ(Age)」。下北沢辺りで大皿料理の店が人気だった頃、自分の街にもそんな店が欲しいなと、探して偶然発見した、雑居ビルの奥の小さな店。何を食べても美味しかった。カウンタに並ぶ大皿に盛り付けられた料理を眺めているだけで楽しい店だった。繁盛していた。支店もあった。マスターの栄じさんが中華に目覚め、昼にはラーメン専門の店として営業し、夜は“〆のラーメン”を出していた。そして、ある日、ラーメン屋に変わった。確かに魚系の出汁は美味しい。隣の駅の“めでた屋”というラーメン専門店で修行したマスターの努力にも頭が下がる。でも、お酒が飲めない、つまみがない。そして縁遠くなった。・・・淋しい。

でも、消えて行く飲食店が多い中で、地元で長く頑張っている店の存在は、とても嬉しい。近くを通ると「頑張れ!」と応援したくなる。客の入りが気になる。近くのラーメン屋に行列が出来ている横を「“栄じ”の方が美味しいのにね・・・」と、二人で囁き合いながら通ったりする。とは言え、頻繁に通う訳でもない、街で出会うとお互いに挨拶しあう程度の客。それでも、言いたい。これからも、わが“街の味”として、永く頑張って欲しい。

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