ニライカナイの向こうから「カヌチャ・ベイ・ホテル/沖縄」前編

P1000899思いもよらない幸運がやってくることがある。小さな幸福。そのホテルを訪れた時に、それはやってきた。チェックイン後、案内された部屋は、どう見ても予約したものと違っていた。広い部屋の奥には天蓋付のベッド。部屋の一面が大きなガラス窓。その窓の向こうには、南の島の風景が青い海まで続いている。その風景の手前には、広いバルコニー。そして、その隅にある、あれは?わぉ!アウトドア・ジャグジー!

「予約した部屋と違うと思うんだけど♪」・・・動揺を隠し(切れずにことばは弾む)、案内してくれたスタッフに尋ねる。「部屋割りの関係でアップグレードさせていただきました」「この部屋のタイプは?」「カヌチャスィートでございます」・・・“小福”確定!それでもこんな時、妻は決してはしゃがない。心の中では飛び上がらんばかりなのに、ふ~ん、そうなんだぁ、という関心のなさそうな顔をしている。そして、スタッフが帰った後、ベランダに出てジャグジーを眺めながら、小さく喜びを爆発させる妻。「やったぁ!ずっとここで本読んじゃうもんねぇ!」・・・宣言通り、妻はプライベート・ジャグジーに浸り、一度も海で泳がなかった。

カヌチャ・ベイ・ホテルは、那覇から車で90分。山原(やんばる)の懐、基地の移転問題や、ジュゴンの生息地として知られる辺野古崎の先、大浦湾に面する広大な敷地。その広さは80万坪。東京ドームが、・・・などという例えは意味がないぐらいの広さ。敷地内にあるゴルフ場、ヴィラ、レストラン、プライベートビーチなどへ移動する手段として、カートが用意される。これが、かなり楽しいのだ。夕食に出かけた沖縄料理の「くすくす」で、たっぷり泡盛をいただき、良い気分。勿論カートで飲酒運転はご法度。しかし、そこは私有地、リゾートの敷地内。「プライベートビーチまでドライブだぁ!」とサザンを大声で歌いながら、海まで続く月明かりの道を酔っ払い運転。「GO!GO!いやっほぉ~っ!」とアクセルをベタ踏みしても、所詮カート。時速は最高でも10Km程度。事故を起こしようがない。(良い子の皆さん、真似しちゃいけません)そんな能天気な日々を楽しんだ。

3冊目の文庫本を読み終える頃、バルコニーから楽園の風景を眺めながら妻が呟いた。「帰りたくなくなっちゃうねぇ。台風でも来ないかなぁ」「そんな都合良く来る訳ないじゃない。こんなに天気も良いし」「そうだよねぇ」・・・なのに、期待通り台風はやって来た。ニライカナイの向こうから、神が“幸福(?)”を運んできた。・・・のか?(後半に続く)

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