Archive for 4 月 22nd, 2006

春は筍「天一/新宿」

P10_5春はあけぼの、やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて・・・この『枕草子』の一節の後に、春眠暁を覚えず、とか続くのだが、お気楽オヤジの朝の目覚めは早い。暁はしっかり覚えている。春の朝は、窓から見下ろす新緑が朝日を浴びて輝き、爽やか。暁の頃に独り、リビングルームで本を読むのは実に気持が良い。昨夜の深酒もなんのその、読めなかった夕刊にも目を通す。残業続きで終電帰りの妻が起きてくる前に洗濯を済ませ、朝食を準備する。・・・お気楽夫婦の週末の朝は、そんな風に始まる。

春になると、気持が切り替わる。仕事も3月末でひと区切り。特に今年は転職して半年余り。やることはやった、結果は残したという満足感。そして、4月1日から新鮮な気持で新しい年度を迎え・・・ない会社だった。毎月のように人事異動があり、新年度には大きく組織も変わらない。社員が多すぎて、全員集まってキックオフ!というノリでもないらしい。ふ~ん、だったら食べるもので季節感を味わうか。「じゃあ、天ぷら食べに行こうよ!蕗の薹食べなきゃ!」こんな時にはレスポンスが早い妻。ということで、伊勢丹新宿店にある「天一」に向かった。

初めてお好みで寿司を食べたのは何歳ぐらいの頃だったんだろう?どきどきしながらネタを選ぶ。ネタの季節を考え、板さんに注文するタイミングを計り、緊張しながら。寿しネタの旬は(旬じゃなくてもいつでも置いてあるネタもあり)なかなか覚えるのが難しい。しかし、天ぷらネタの季節は分かりやすい。だからこそ季節を味わうにはぴったり。カウンタに座り、揚げたてを食べる悦びに目覚めてからはなおさら。その中でも「天一」の天ぷらが大のお気に入り。衣も軽やかで、繊細。小食の二人でも季節の食材をたっぷり味わえる。デパートに出店している敷居の低さも、お気楽夫婦にはぴったり。

「蕗の薹」の季節は既にお終い。残念。代わりに「タラの芽」「コゴミ」の山菜シリーズから揚げてもらう。口の中にサクッとした食感と共に春の香りが拡がる。続いて「稚鮎」にはちょっと早かったので、「銀宝」。これまた旨い。そして「アスパラ」「穴子」「サイマキ海老」「蓮根」を立て続けにオーダー。調子に乗り、カヴァのハーフボトルも。くぅ~っ、きりっと冷えてサクサクの天ぷらと良く合う。そして、その日楽しみにしていた「筍」の天ぷらが登場。んまいっ!「つくづく春だねぇ」「うん、やっぱりこの季節は天ぷら食べなきゃぁね」「春はタケノコ、やうやう暖かくなりゆく・・・」「え?何か言った?」・・・いえ、何も。

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