いつもの酒、いつもの肴「なかむらや」

060523_2スカッシュで汗を流した後に、決まって行く店がいくつかある。それらの店では、流した汗以上にアルコールと言う名前の水分を摂る。最初は生ビールと言う名の琥珀の液体をぐびりと飲み干し、その後に芋焼酎という名の透明な香りの良い水分を摂取する。店の名は、「京うどん 葵」だったり、「なかむらや」だったり。いずれも居心地の良さと、安定して美味しい料理とお酒が嬉しい店。週の半ば、ちょっと疲れたかなと思ったら、スカッシュで汗を流し、いつもの店で、いつものメニューをオーダー。仕事のストレスが霧のように消えて行く。

その日も、いつものようにスポーツクラブがあるビルの地下、「なかむらや」に顔を出した。背が高く、ムスタッシュが良く似合うマスターがにこやかに迎えてくれる。マスターの名前は、中村さん。そのまま。まっすぐなネーミング。まっすぐなメニュー。まっすぐな味。素材を大切に、無駄な味付けは無用。その日のお薦めは、いつものメニューに加え、由比港直送の「生桜海老」「釜揚げしらす」そして、北海道直送の「エゾシカのたたき」。“限定”にはめっぽう弱い。迷わずオーダー。いつものメニューも忘れずに。

限定メニューにはマスターの能書きがもれなく付いてくる。知り合いの方から紹介されて、由比から直接送ってもらったという「桜海老」が、文字通り桜色にぴかぴか美しい。生山葵を乗せて、醤油をちょっとだけ付けて口に放り込む。長いひげがちくちく。季節限定の香りが口の中に拡がる。うんまぁ~いっ!「そうでしょう♪」得意そうにマスターの髭が微笑む。エゾシカは、軽くスモークしたものをカルパッチョのように薄くスライスしてサラダ仕立てで。これまた味わい深い。良い味。またまたマスターの髭がぴくぴく。

ジョッキが空になる。「いつもの芋、いきますか?」スタッフに声を掛けられる。以前薦められて美味しいかった銘柄がすっと出てくる。「純芋」をロックで。旨いっ。いつものように、スカッシュでたっぷりと良い汗をかき、居心地の良い店で、美味しい酒を飲み、美味しい料理を食す。隣には酒が飲めない妻が、私の酔っ払い度数を測っている。こんな瞬間が私を幸せにする。こんな一日が私をまた元気にする。「全くあなたは、かんたん、単純、幸せだね」妻がつぶやく。・・・そう、こんなシンプルな幸せが大切。この幸せを手に入れるためにどんなに苦労したことか。「あれ?そうだっけ?何しんみりしてるの?」・・・妻は、楽しいことしか記憶に残らない。買ったものの値段は支払った瞬間に忘れる。「OK!OK!」・・・そう、世は全てこともなし。

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