Archive for 1 月 7th, 2007

過食的香港(食い倒れ編)「暴飲暴食の都」

Photo_33“美味しい”都市は、世界中に多数存在する。東京、NYC、パリ、(ロンドン…は除く)などの多くの大都市は、その街に居ながらにして世界各地の美味を味わえる。特に東京は、値段さえ気にしなければ世界のどこより美味しい一皿が味わえる、…はずだ。しかし、「世界で一番美味しい街は?」と尋ねられれば、お気楽夫婦は迷わず「それは香港♪」と叫ぶ。2人が初めて香港を訪れた際のテーマは“暴飲暴食”。そして、テーマを完遂した私は、日本に帰ってすぐに点滴のお世話になった。

Photo_34銀座に支店ができた上海料理の名店がある。本店は香港。店の名は「夜上海(イェ・シャンハイ)」…ややこしい。ブラウスをオーダーした後に、友人たちと共に訪れた際、前職の会社の女性誌の編集長たちとばったり会った曰く付きの店。上海蟹好きの二人は、久しぶりの香港訪問で真っ先に行きたい店のひとつに選んだ。日本だったらもう季節はずれなのに、香港では街のあちこちで大閘蟹の看板が踊る。太古廣場(パシフィック・プレイス)にあるその店の入口にも、きっちりと藁で結わえられた蟹が並んでいた。オーダーしたのは、蟹味噌入小籠包、蟹粉醸蟹蓋(蟹肉と蟹味噌の甲羅焼き)…って、これが絶品!蟹味噌と生姜の香りが贅沢に盛り付けられた蟹肉と絶妙に混ざり合い、心地良い歯応え、舌触り、そして思わず笑みが零れる味。旨ぇ~っ♪大事に大事に、一口づつ味わう幸せ。“香港食倒れの旅”幸先良いスタートだ。

Photo_35食いしん坊だけど、残念ながら小食の2人。そんな2人が香港の食を楽しむのは、飲茶。そして、初めて訪れた時から欠かさず行っている「大會堂(シティ・ホール)」は外せない。東京で言えば「渋谷公会堂」ぐらいのホールの3階にある、体育館のように大きな店。大勢のおばちゃんたちが、ワゴンで飲茶を運んで客席を回る。何を言ってるかは分からない。けれど、世界共通の押しの強さを全面に出すおばちゃんたちが、自分の運ぶ一皿を「食ぇ~、食えぇ!」と寄ってくる。何年か前に香港の一大外食チェーン「美心(マキシム)グループ」に経営が変り、店の名前も「大會堂美心皇宮」と、なんだか仰々しくなった。が、店の佇まいは以前と一緒。ただ、順番待ちの番号を呼ぶアナウンスは、広東語に加えて英語で呼ぶようになった。格段の改善だ。

Photo_36この店の飲茶の味には、ヴィクトリア・ハーバーを望む景色と、ざわざわとしたという形容をとっくに通り越した喧騒がプラスに働く。過ごして楽しく、食べて美味しい。ここで初めて覚えたメニューが腸粉(チョンファン)。お気楽夫婦は、<ちょうこ>と勝手に呼び、必ずオーダーする一品。ちょい柔らかくすべすべした皮と、海老や金華ハムなどの具が、ひたひたに掛けられた甘辛いソースと一体となって舌に絡む。旨い。そして、妻の好物である叉焼酥(チャーシューパイ)。さくさくの皮と、香ばしい胡麻、ジューシーな餡がたまらんっ旨さ♪ぅ~っ、青島ビールとベストマッチ!

Photo_37続いて、なかなか日本ではお目にかかれないのが炸芋角(揚げタロイモ餅)。これが、また旨い。ほろりとくずれる繊細な皮とほっこりした餡が優しく連携して、口蓋をアヂアヂと攻める。ほんのりとした甘さが口中に広がる。たまらん旨さ。それ以外にも、飲茶のメニューは幅広く、目にも美味しく、小食の2人にも優しい。今回はハッピーバレーにある飲茶の名店にも出かけたが、接客もお高く値段も高く、不満だけが残った。やはり飲茶なら「大會堂」!。そして、その大會堂と同様にセンターキッチンではあろうが、同系列の香港国際空港「美心閣」でも充分美味しい。二人にとって飲茶は、チープで庶民的な、ファーストフード感覚の味。それできっと充分なのだ。

Photo_38そして、今回の旅の目的のひとつ、「満福楼(ダイナスティ)」のロースト・グースを喰らう日がやってきた。そう、フライング・グースで名高い「鏞記酒店」を差し置き、お気楽夫婦が絶賛するのはこの店のグース。カリカリにクリスピーな皮、ジューシーな肉、その間に挟まれたゼラチン状の脂。そして何よりも梅肉と生姜のソースの甘辛さが絶品。この店のオリジナル皿の天女と一緒に、昇天しそうな絶品の味。ただし、年末のディナーはお薦めできない。地元の家族連れで大混雑。やはりこの店は、ちょっと遅いランチに、飲茶や炊き込みご飯などのメニューと共に!

Photo_39…こんな生活を何日もしていたら、そりゃぁお腹も壊す。暴飲暴食もほどほどにということで、最終日の夜は「羅富記麺粥専家」で、上湯雲呑麺(海老ワンタン麺)と皮蛋瘠肉粥(豚肉とピータン粥)を食す。疲れ気味の胃に優しい、穏やかな味。輪ゴムのような香港麺が旨い。(でも噛み切れない)なかなか東京でも食べられない味。(三宿にある「新記」は、味も雰囲気もかなり香港に近い)いずれも満足。

…そんな風に、“世界一美味しい街”で、過食的日々を過ごしてしまった2人。ただし過去の反省を記憶することもできる私は、食い倒れることなく過ごした。「偉いねぇ、今回は余り酔っ払わなかったねぇ!」妻も珍しく節度ある飲みっぷりを評価してくれた。なにしろ今回は、香港から帰った翌日に博多への日帰り出張が待っていた。涙ながらの、そんな努力をせずに、ぶっ倒れても良いから、食べ尽くしたい。そんな気持にさせる街、香港。楊枝甘露も食べたかった。「福臨門」で茹で蝦も食べたかった。あ~っ、帰ってきたばかりなのに、血が騒ぐ。“香港を”食べに、食べ尽くしに、…また行きたい。

…To be continued


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