沿線住民なら「駅弁」と「冬そば」

Photoに1回、沿線住民として必ず行かなければいけないイベントがある。会場は京王百貨店。他の季節には全くと言って良いほど話題にならないデパートなのに、この季節だけはマスコミ各社が挙って取り上げる。初日には開店前に並んでいる人々の列を撮影する中継車まで出動する。季節の風物詩と言っても過言ではないそのイベントの名前は「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。なんたって、元祖である。他の百貨店の追随を許さない、これだけはウチのもんだぜぇっ!という担当者の心意気と苦労が伝わるイベント。

気楽夫婦は駅弁好き。妻はふだんほとんど口にしない“米飯”を、駅弁に限っては積極的に摂取する。「明日、朝早くから並んで、昼夜2食とも駅弁にしようか♪」新聞の折込広告のチラシを食い入るように見つめながら妻が提案する。おぉ、良いねぇ。新幹線に乗った瞬間に弁当とビールが欲しくなる私に異議がある訳はない。「やっぱり実演モノが良いよね。あ、あれも美味しそうだねぇ」混雑する会場を何周か回り、目星を付ける。「牛肉どまん中は、次回1時からの整理券をお配りしてまぁす!」そんな人気駅弁はとても手に入らない。好きと言ってもたかが駅弁。そこまで駅弁にエネルギーを使えない。そこそこの人気で美味しそうな駅弁、ベスト4が決定した。

Photo_6食の部。まずは、かしわ(鶏)めしで有名な折尾駅(北九州)東筑軒の「大名道中駕籠」。駕籠を模した2段の幕の内。ご飯はもちろん、かしわめし。多品種少量の“おかず”が、溢れそうなぐらいたっぷり詰まっているのが私好み。旨し。続いて熊本は八代の老舗鮎問屋「より藤」の看板弁当「鮎屋三代」。弁当の真ん中にどっかんと一匹、ほろほろになるまで煮込んだ甘露煮の鮎。頭からがぶりと齧る。鮎の苦味と甘い味付けが口の中に拡がる。ずっと印象に残る味。2人に子供がいたら三代と言わず、末代まで語り継ぎたい旨さ。たかが駅弁、されど駅弁。さすが九州の駅弁ランキング3年連続1位の美味しさ。参りました。…それにしても旨かったなぁ。また食べたい。そして夕食の部は…。あ、文字数が足りない。鶏、鮎の後は、牛、海の幸と続くのだが。鮎好き、駅弁好きの気持が走り過ぎ、ペースを誤ってしまった。マラソンの福士の気持が分かる。反省。

ころで、この記事を読み、美味しそう!食べたい!と思っていただいても、残念ながら間に合わない。駅弁大会は既に終了。来年のお楽しみ。しかし、京王線にはもうひとつ、これまた恒例となった冬の名物イベントがある。間違いなく“冬ソナ”に引っ掛けて命名したと思われる“冬そば”がそれだ。高尾山周辺の蕎麦屋のとろろ蕎麦の写真がずらっと並ぶポスターは毎年お馴染み。なかなか食欲をそそる好企画。「高尾山冬そば号という臨時電車まで走らせる。これは行かねば。沿線の終着、高尾山と新宿。電車に乗って出かけて欲しい電鉄会社としては直球の企画。「でも私は行かないよ。寒いし。そば好きじゃないし」風邪が抜け切らない妻が呟く。これも恒例の誕生日企画、都心のラグジュアリーホテル宿泊に気持が行っている妻。とろろそばでは勝てそうもない。

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