店の味、人の味「用賀 本城」

PhotoPhoto_2の人の料理を食べるために、お気楽夫婦はその店に通っていた。正確にはその人、店長だった本城さんが全て作っていた訳ではもちろんない。けれど、たん熊北店二子玉川店の味は確かに本城さんの味だった。仕入れた食材、代々受け継いだ店の味、料理人の腕、店の造り、スタッフの接客、いろいろな要素で料理はできている。それらの全てに本城さんの「目」が行き届いていると感じる店だった。妻はその店で食事をすると幸せな気分になると言い、不満に思った料理はひと皿もなかったと微笑み、だからこそ大事な日に訪れたい大切な店だと呟いた。

Photo_6Photo_7の本城さんが独立し店を出した。場所は世田谷区用賀。お気楽夫婦が通うスカッシュコートのある街だ。これは友人を誘って早々に行かねば。「たん熊」は京都の割烹料理の老舗。京料理の伝統を活かしつつも、お好み料理をカウンタで出すことで名声を得て、多くの有名人にも愛された店だ。その伝統を受け継ぐ「用賀 本城」。予約はもちろんカウンタ席に決めた。お店は田園都市線用賀駅から用賀神社を目指して5分ほどの場所。駅前の喧噪から少しだけ離れた良い場所。店の前には祝いの花が溢れる。こぢんまりとして居心地の良さそうな店だ。

Photo_8Photo_9店おめでとうございます!良いお店ですね。そう挨拶すると、カウンタの中の本城さんが「おおきに。こんなんで、まだばたばたしてまして、今日はお任せでよろしいですか。あとは合間に適当にお好みをお出しします」そう言いながら手を休めることなく周囲に目を配る。聞けばたん熊から応援のスタッフも来ているという。そう言えば見覚えがある若いスタッフが。そしてお祝いの花は店内にもびっしり。蘭の栽培でもしているかのよう。中には各界の著名人、マスコミでお馴染みの名前も。それも本城さんの人柄、人徳。ところで料理はと言えば…。

Photo_10Photo_11 節の食材を活かした優しい味付け、素材本来の味をぐっと引き出し、食べる人を幸せにする繊細な料理はたん熊と同様。茶碗蒸しの上にコノワタが合わせてあったり、若鮎と一緒に鴨のローストが盛りつけてあったり、斬新な組合せの料理が絶妙。そこに庶民的なマグロのモツ煮のような親しみやすいほんわかとする皿が加わる。「美味しいねぇ♪」「やっぱり幸せになる味だぁ♫」妻もお誘いした友人も恍惚の表情。確かにどれも笑みが零れる味だ。清潔感溢れるカウンタ、ゆったりとした椅子の座り心地も抜群。初めて訪れる店なのに、何年も通っている気分。

PhotoPhoto_2んな幸せ気分を味わっていると、いつの間にか周囲に客の姿はなし。あらら、最後の客になってしまったか。「どうぞ気にせんと、ゆっくりしてってください」翌日の仕込みをしながら本城さんがようやく落ち着いた様子で話しかけてくれる。それにしても凄い数の花ですね。「ありがたいことです。花の出し入れだけでひと仕事ですわ」そう言いながらも盛況の内に開店を迎えられたことにほっとした様子の本城さん。奥さまの接客も明るく柔らかく、客を和ませる。良い店だ。きっとたん熊の味と、ご夫婦でのもてなしがこの店ならではの味を作っていくのだろう。楽しみだ。

ちそうさまでした。美味しかったです♪そう言って帰ろうとすると、ご夫婦揃ってお見送りしていただいた上に「良かったらおみやげに蘭を持ってってください」「えぇ〜良いんですかぁ♪」「遠慮せんと、どうぞどうぞぉ。関西ではお祝いの花を持って帰ってもらうのが縁起が良いんですよ」そんなやりとりが。きっとお支払いした食事代金よりも高価なものをいただいてしまった。お返しは、また店にお邪魔することで。「もっちろんだよぉ♪通っちゃうよ」妻はすっかりご機嫌。カウンタで食す季節の味、次は初夏の味を楽しみに。またお邪魔します。

【食いしん坊夫婦の御用達へ】 用賀 本城

1つのコメントがあります。

  1. 恒例 “鮎尽くしの会” vol.5「用賀 本城」 週末更新お気楽夫婦のお気楽生活ブログ IGA “快楽主義”宣言


    [...] 骨ごと食べる背越しは正直少し苦手なのだと伝えると、本城さんは「じゃあ、今年は洗いにしましょ」と即答。いずれも新鮮な活魚でなければできない料理。本城さんは琵琶湖から生きた鮎を取り寄せるとのこと。思えばゼータクな会だ。鮎尽くしの会の会場「用賀 本城」は京料理の名店。「たん熊北店」出身の本城さんが独立して8年前に開店した店だ。お気楽夫婦はたん熊時代から10年以上のお付き合い。友人たちを伴い何度も店を訪れているが、鮎の会のメンバーが最も同伴頻度が高い。「きゃぁ!元気な鮎だぁ」毎年お約束の“活き鮎の顔見せ”に本城さんがタライを持ってテーブルに登場し、役員秘書が歓声を上げる。そんなメンバーの中でも彼女は鮎の会の常連だ。 [...]

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