VIVA!México!「ポサダ・デル・ソル」下高井戸

店内ぼ毎日外食生活のお気楽夫婦。同じ料理を分け合って食べることが多いのだけれど、同じ料理を食べていながら、同じ料理を味わってはいない。なぞかけではない。いつも料理をシェアして食べる2人。一見して同じものを食べているように見えて、妻の器の中は赤く、ホット。日本料理なら七味か一味唐辛子。沖縄料理ならコーレーグース(島唐辛子)。中華料理なら豆板醤。イタリア料理ならタバスコ。タイ料理ならスイートチリソース。そんなスパイスをこれでもか!と振りかける。カプサイシンに騙されやすく、新陳代謝が異常に良く、辛さに弱い私にとっては毒。妻の器に残ったスープを好奇心でひと口飲んだだけで後悔することがある。冬でも持ち歩くタオルハンカチが、あっという間にウェットおしぼりになる。決して冗談ではなく。

ワカモレる週末、下高井戸の「ポサダ・デル・ソル」を訪ねた。この店はメキシコ人のシェフが作るメキシコ料理の店。本格的なメキシコ料理と豊富なテキーラが自慢。まずはメキシコビール「TECATE」とワカモレ(アボカドのディップ)をオーダー。タコスチップスにワカモレを乗せ、サルサ(ソース)を付けてぱくり。ライトなビールと良く合う。旨い。「やっぱりこれだよねぇ♪」妻はサルサ・ヴェルデ(緑のサルサ)ではなく、サルサ・ロハ(赤いサルサ)をたっぷり。どれどれ。口に入れた瞬間はそれ程辛くはないけれど、後になってじわじわと辛さが効いてくる。汗がじんわり。サルサ・ロハはトマト、唐辛子、コリアンダーなどで作るラテンアメリカの代表的なソース。その土地の料理には、その土地のスパイス。きちんと美味しい。

海老とホタテのセビーチェいては小海老と貝柱のセビーチェ(マリネ)。そのままで食べる限りは決して辛くはなく、これまたビールに良く合う中南米でポピュラーな料理。「これもやっぱりサルサを、っと♪」妻が嬉々としてサルサ・ロハをたっぷり乗せ、ぱくり。同じものを食べて美味しいと言い合い、味の嗜好が近いと言いながら、妻と私は味覚が大きく違うのではないだろうか・・・。いつもの疑惑がふつふつと湧いて来る。次に生マッシュルームのサラダ、そして熱々のチョリソ。挽いた肉ではなく、粗く刻んだ肉を使ったソーセージ。元々はスペイン料理。その時点では辛くなかったものが、中南米に伝わり、そこできっちりと辛くなった。これまた妻の好み。「ん、んまいね♪」熱々で辛々の料理で妻の顔がほころび、私の顔には汗が滲む。

クエルボろそろテキーラにしようかな。「今日は1杯だけね」妻の先制攻撃。テキーラバーを併設しているだけあって、この店のテキーラのラインナップは魅惑的。いつも調子に乗ってお代わりをしてしまう私に対し、事前に歯止めを掛けるという作戦だ。その日のチョイスはクエルボ・ゴールド。まずは、左の手の甲に塩をぱらり、さっと塩を舐める。左手でライムを掴み、軽く食む。塩分とライムの香りと酸味が口の中に広がった瞬間を逃さず、右手でテキーラのショットグラスをつまみ、テキーラをちびり。う〜んまい。この儀式を繰り返す。人によってこの手順はさまざま。ちょっと飲んでみる?「いらなぁい。さすがにアルコール度が強過ぎて味が分かんない」なるほど。酒が飲めない妻にとっては度数の高いアルコールは毒。自分の味覚を中心に考えるとフツーで、美味しいと思うものも人にとっては変わるもの。私にとっての辛みは、妻にとっては旨味になるように。

じ料理を食べ、妻はたっぷりのスパイスを、私はたっぷりのアルコールを。そしてお互いに「美味しいね♪」と微笑み合う。そんな2人のお気楽な生活は続く。VIVA!お気楽人生!

■食いしん坊夫婦の御用達 「ポサダ・デル・ソル」

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SINCE 1.May 2005