頑張れ!京王百貨店「元祖 有名駅弁大会」

チラシ駅弁大会貨店が不振に喘いでいる。全国の百貨店の売上は、2009年11月までに21ヶ月連続前年割れ。2008年度まで12年連続して前年の年間売上を下回り、百貨店の年間売上額はついにコンビニエンスストアに逆転された。100年に1度と言われる不況のため、ではない。百貨店という業種が消費者の購買行動と乖離してしまった構造的な問題。日本で初めて百貨店ができたのは明治37年(1904年)。三井家から独立した三越呉服店が「デパートメントストア」宣言をしたことに始まると言われる。その後、呉服店系の髙島屋、大丸、松坂屋、伊勢丹などに加え、東急、阪急、西武などの電鉄系の百貨店が誕生し、長く小売の花形だった。かつての百貨店には庶民の憧れが詰まっていた。サザエさんの磯野家のように、家族揃ってお洒落をして買物に出かける場所だった。買物自体がイベントで、百貨店はその最高峰、まさしくハレの場だった。

たらば寿司いかやきころが、最近の百貨店がマスコミに取り上げられるのは、閉店、合併、売上不振というネガティブなものばかり。後はせいぜい初売りや福袋。ジャイアンツが優勝して記念セールを行う、などという話題も取り上げられることは少なくなった。それに比べ、ユニクロをはじめとしたファスト・ファッションの展開は話題になり、社会現象ともなっている。とは言え、かつて元気だった郊外型のショッピングセンター、GMSと呼ばれる大型スーパーもかつての勢いはなく、コンビニにしても既存店の売上は前年度を下回る。消費者のニーズが多様化し、価格やクオリティに対し厳しい目を持っているからだけではない。モノを充分持っている現在の日本人。新たな購買動機は商品の魅力そのものだけではない。モノを買うきっかけや付加価値が必要なのだ。ところが、モノを買う動機が販売側から、まして百貨店からは提示されていない。

釜飯実演釜飯が明け、福袋の話題が終わる頃、年に1回だけ、確実にマスコミに登場する百貨店の催事がある。京王百貨店の駅弁大会。正式な名称は「元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会」という45回の開催を数える人気イベントだ。開催期間は2週間。普段はほとんど店内に客のいない(失礼)京王百貨店が、多くのマスコミに取り上げられ脚光を浴びる。人で溢れる。京王沿線、世田谷区の外れに住むお気楽夫婦。まして大の駅弁好きとしては、行かねば!と勇み立つ期間でもある。この人気イベント、毎年いくつかの工夫がある。ひとつは対決!シリーズとして、テーマを決めて複数の駅弁の人気を競わせる趣向。今年は「良年祈願おめで対決」と題して、鯛の押し寿司、伊勢エビ弁当、桃太郎の祭ずしが三つ巴の対決!だそうだ。他人事なのも、実はこんな人気の駅弁は長時間並ばないと買えない状況だから。並ぶのが嫌いなお気楽夫婦がそんな駅弁を買えるはずもない。

焼きあなごめしあなごめしれど、そんな2人にも楽しい趣向が用意されている。弁当の実演販売だ。そこそこ人気の列を狙い、最後尾に付く。そして目の前で調理している様子を見学しながら順番を待つ。これが幸せに楽しいのだ。たらば寿司にしようか、それとも…。毎年、期間中2回訪れ、各回2ヶ購入。小食のお気楽夫婦が楽しめる弁当の数は合計4ヶ。今シーズンは、釧路駅「たらば寿司」、中仙道望月宿「宿場の釜めし」、私の大好物広島駅の「焼きあなごめし」、そして大阪名物「いかやき」。いずれも絶品。今年の戦果を眺め、味わいつつ、最近は小樽駅の「海の輝き」の人気が上がって来たねぇとか、牛肉モノと海鮮モノ弁当はやっぱり強いねぇとか、駅弁通を気取る。毎年飽きること無く催事を訪れ楽しむことができる。2人のように駅弁大会を楽しみに待つ人は多い。買物の楽しみを提供してくれる、百貨店だからこそ実現できる、かつての百貨店の元気の残り火。

日はなんだか長いマエ振りだったねぇ」と妻。実は、新卒で入社した会社が、当時は元気の絶頂だった某百貨店という経歴を持つ私。百貨店にはシンパシーを感じつつ、危惧もしているのだ。「次に京王に行くのは、また1年後だね♪」う〜む。頑張れ!(京王に限らず)百貨店!

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