Archive for 2 月 28th, 2010

シングルモルトの夜「OU」恵比寿

マッカラン12年る週末、京鼎樓恵比寿本店で絶品の小龍包を味わったお気楽夫婦。ちょっと早めの食事だったこともあり、飲み足りない気分。久しぶりに、も〜やんの店に行こうか。恵比寿駅東口の坂を下りる。大小の路が交わる複雑な交差点に出る。慣れない頃に、いつもここで迷ってしまった。今では通い慣れた小路に入る。通りに面した人気のバルを横目に、こぢんまりとしたエントランスからエレベータに乗り込む。ビルの最上階でエレベータを下りると落とし気味の照明と柔らかな音楽に迎えられる。恵比寿で食事をした後は、この店に来ることが多い。店名を書いたり、サイトで紹介するのはちょっと躊躇う。日によって、時間によって、空席がない場合があるから。という理由もある。前職の会社の大先輩が経営しているバーで、OBたちが集まる場所だから。というのも言い訳。早い話、ちょっとこっそり通いたい店。

エドラドール久しぶりです。「あぁ、久しぶりだね」マスターである大先輩との挨拶は短め。短期間ではあるけれど、妻の上司でもあったその人は、会社に在籍していた頃から肩の力が抜けていた。取締役まで勤めたその会社で、良い意味で浮いていたとも言える。カウンタの奥の席に妻と2人で陣取る。目の前にはシングルモルトを中心としたボトルが並ぶ。「今日は何にしますか」うぅ〜ん、今日はアイラではなく、ハイランドの何か…。「ハイランドねぇ、そうだなぁ、これ飲んだことはあると思うけど」マッカラン12年のボトルを棚から取り出す。はい、それお願いします。「今日はね、ソフトドリンクはグレープフルーツのフレッシュジュースができるよ」「あ、それお願いします」と酒が飲めない妻。コチンと乾杯。

シングルモルト大全ころで、IGAね、さっきハイランドって言ったけど、これだけの地域のことを指すんだよ」マスターが棚の中から『モルトウィスキー大全』という本を取り出し、掲載されているスコットランドの地図を指し示す。あぁ、広いんですね。「そうなんだよ。だからモルトの傾向もいろいろあってね。薦めるのも難しいんだよ」あらら、中途半端な知識でお願いしてしまってお恥ずかしい。「へぇ〜、この本面白いですね」図鑑好き、地図好きの妻が興味を示す。ぱらぱらとページをめくるとボトルの写真、蒸溜所の紹介記事、詳細データが記載されている。「ベッドの中でちょっとだけ読むのに良いですね」確かに妻は、この類いの本を眠る前にちょっとだけ読んで眠りにつく。『香港飲茶読本』だったり、『シンガポール公式ガイドブック』だったり。活字だったら何でも良いらしいが、向き不向きもあるらしい。

マッカランん、この本は良い感じだね」かなり気に入ったらしく、フレッシュグレープフルーツをちびちび舐めながら、ダウンライトの灯りの下で読み耽る妻。「気に入ったみたいだね。土屋守さんっていう有名な人なんだけどね、この人の本はなかなか良くできてるよ」とマスター。そうですね。この本を抱えてスコットランドに行ってみたいですね。「良いね。俺も行ったことないんだけど、一度は行ってみたいね」良いですよね。目の前にシングルモルトの酒棚と、荒涼としたスコットランドの風景が広がる。その日の2杯目はエドラダワーという小さな蒸溜所の、芳醇で柔らかなシングルモルト。「うん、これあなたが好きかもね」テースティング程度ならOKの妻の評。「おぉ、IGA」あぁ、こんばんは。ご無沙汰してます。常連のOBが来店したのを潮に、帰り支度のお気楽夫婦。失礼にならない程度の間で席を立つ。恵比寿の夜、シングルモルトの夜を満喫。

ってきたよ♡」ある日、妻が1冊の本を差し出した。土屋守さんの『シングルモルトウィスキー大全』。『モルトウィスキー大全』よりも馴染みのある蒸溜所の紹介、中には日本の白州、山崎などの蒸溜所の紹介も。なかなか良いねぇ。「良いでしょ♬」その本は、さっそく妻のベッドサイドに、ナイトキャップの1杯に代わる、1冊として。

ころで、こっそり通いたいとか書いてるけど、「OU」ってきっちりタイトルに掲載してるじゃない」・・・あ、そうだね。

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