幹事気質と秘書気質「抱瓶」高円寺

座・高円寺外観座・高円寺エントランス生時代から仲間を集めて飲みに行ったり、旅行をしたり、絵を観に行ったり、“遊び”の企画をするのが好きだった。企画のきっかけは、美味しい店の情報だったり、バイト先でもらった美術展のチケットだったり。誰を誘うか、いつならメンバーの都合が良いか、どれぐらいの予算なら誘われるのに負担はないか…。年齢と共に企画内容の違いはあれ、現在まで綿々と同じようなことをやっていることに気付いた。典型的な幹事気質。仲間を誘って一緒に行動するのが好きなのだ。付き合っていた女の子とのデートでも同様の役割。ここに行こうか、あの映画を観ようか、あれを食べようか…。

抱瓶外観抱瓶2階金はない代わりに、時間が無限にあった学生時代。企画のコンセプトは明確だった。各駅停車の夜行電車に乗ってあちこちに出かけた。3本立ての名画座をハシゴした。チケット代の安いロックフェスに出かけた。安くて美味しい店で飲み、食べた。一杯のコーヒーで長居しても、決して居心地の悪くならない喫茶店に通った。年齢を重ねると共に、経済的な制約が減った代わりに、時間がなくなった。同時に、誘う相手に多種多様な制約ができた。仕事が忙しく、結婚し、子供ができ、両親の体調が、会社の状況が…。時間的、経済的優先順位がそれぞれある中で、企画を成立させるのは難しくなる。集まるきっかけが必要になる。誰かが声を掛けて、ダンドリをする必要がある。

ミミガークーブーイリチーリパのチケットが×月×日に発売されます。日程は○月○日でいかが?」妻が友人たちにメールを送る。彼女は幹事というよりは、秘書気質。当日のダンドリをきちんと準備していないと落ち着かないタイプ。「その日は公演の前に4時からイベントがあるから、終わったら食事して…」計画を立てるのが好きなのは一緒。けれど、当日のノリを過剰に想定し、暴走する計画を最初から立ててしまう営業的幹事気質の私に対して、妻は冷静。「終演の時間が遅いから、やっぱりイベントの後で食事の方が良いね…」リリパットアーミー25周年記念公演『罪と、罪なき罪』の会場は座・高円寺。イベントが終わり、本公演までの1時間。短期決戦。向かったのは沖縄料理の老舗、抱瓶。

カリカリポーク沖縄ソバぇ〜、中央線っぽい」「何だか面白い街だねぇ」店までの道すがら、ガード下の猥雑な街並に友人たちがそれぞれ興味を示す。「おぉ〜、沖縄っぽい」「ディープな感じだねぇ」爆笑し続けたイベントの余韻も引きずりながら、会話が弾む。そんな様子を見て秘書気質の妻がほくそ笑む。「かりかりポークだったら食べられるよね」「え、何すか?ポークって?」「沖縄ではスパムのことをポークって言うんだよ」原型を止める肉が食べられないNYC帰りの友人夫と、いつもより饒舌なお気楽妻の会話。「美味しい♪」「クーブーイリチって言ってね…」「美味しいね、これ家でも作ってみようかな」楽しそうな友人妻たちの様子に満足げなお気楽妻。

味しかったね♡」「ほんと、旨かったぁ」満足げな様子で店を出る友人たち。幹事気質と秘書気質のお気楽夫婦にとっては、そのことばが嬉しさの源。企画実施のモチベーション。誰かがマメに企画しなければ、親しい友人たちですら会う頻度は低くなる。その企画を立てること自体を楽しむお気楽夫婦。幹事役は適役。「次は何の企画で皆を誘おうか」妻の目が輝く。

■お気楽夫婦の御用達「沖縄居酒屋 抱瓶

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