Archive for 8 月 25th, 2012

パリと香港の香り「ニシオギの夜」

La Tour EiffelTonomari央線沿線の街には独特の匂いがある。中野ブロードウェーを擁する中野駅は「まんだらけ」本店をはじめとした“オタク”文化の街、高円寺は古着とロックと阿波踊り、阿佐ヶ谷はジャズと七夕祭り、荻窪はクラシックとラーメンの街。そしてアンティークショップや古書店の街、西荻窪。ん〜、インパクトが弱い。お隣の中央線文化の総元締とも言える吉祥寺の存在に隠れて、地味なイメージ。そんな街に期間限定、パリの香り満載のイベントショップが現れた。店の名前は「Boîte(ぼわっと)」。パリ在住のフォトエッセイストとのまりこさんの店。ある夏の日の夜、お気楽夫婦は駅近くのビルの2階に出現した「ぼわっと」を訪ねた。

Bar久しぶりです!」変わらぬ笑顔で迎えてくれた彼女は前職の後輩。パリ在住も長きに渡り、彼女の人気ブログ「パリときどきバブー」は驚異的な来訪者数を数え、複数の人気サイトにも記事を連載。パリを中心としたガイドブックを何冊も出版している。数年ぶりの再会に話も弾む。けれど、パリの雑貨で溢れる人気の店。来客も多く彼女を独占する訳にもいかない。カフェコーナーのカウンタでフランスワインとおつまみをいただく。するとカウンタ内で接客していた彼女のご主人を紹介いただき、パリでの生活の裏話を伺う。ふんふん、私も学生時代にパリに短期留学していたこともあり、興味深く話は尽きない…ところで、カフェコーナーも人が溢れ、席を詰める。記念に写真を撮っていただき、そろそろ席を譲ろうかと席を立つ。来年の夏のパリ訪問を約束し、西荻の小さなパリを出る。

Yebisu StreetEbisu、そこは中央線、西荻。駅前の狭い路地には居酒屋が溢れる。香港の裏通りを思わせるディープなエリア。中でもダントツ人気は「戎(YEBISU)」という老舗居酒屋。駅の南口、北口にそれぞれ店を構えるが、圧巻は南口。ガード下に沿った路地の両側に、戎の看板が溢れる。命名、戎通り。店内に入りきれなかった客が路地にはみ出し、焼き鳥の煙を浴びながら美味しそうにジョッキを傾けている。実に旨そうだ。まさしく香港の路地裏、屋台の風景。パリから一気に香港、そのギャップも何のその。酒の飲めないお気楽妻なのに、香港好きの血が騒ぐらしく、戎北口店へ。

YakitonKogesugiらっしゃぁ〜いっ」威勢の良い挨拶に迎えられ店の奥へ。さっそく生ビールとウーロン茶で乾杯。お店自慢のモツ煮は完売らしい。残念。居酒屋メニュー定番のポテサラ(なんと250円!)やら焼鳥やらをオーダー。*冷やしトマト、もろきゅうなどは100円!一気に飲み干した生ビールの後は、辛口の日本酒。なぜかこんな店では焼酎ではなく、日本酒が欲しくなる。表面張力で盛り上がったグラスに口を付け、零れない程度に飲んだ後は、注ぎ零しの皿からぐびり。ん、旨い。焼過ぎて焦げた焼鳥も、大雑把な勢い系の接客も店の味。

んか、不思議な街だねぇ♫不思議な夜だねぇ♬」駅前の老舗洋菓子屋「こけし屋」でクッキーを買込みながら妻が楽しそうに呟く。昭和の香りがする店内のショーケースの上には、コレクションのこけしが並ぶ。いろいろな時代と場所が交錯する、不思議な空間に紛れ込んだニシオギの夜だった。

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