人と人との繋がりで「Foo喰いの酒と食材と」

Kokuryu38Guji本酒と中華料理って、意外な程に合うんですよ」数ヶ月前、広東料理Fooの店長“ねもきち”くんがそんなことを言った。勧められるままに飲み、あぁなる程と納得した。初めて会った時から彼のレコメンドには全幅の信頼を置いていた。東京ミッドタウンの名店「SILIN 火龍園」で出会い、サービスマンとしての器量に惚れた。中華料理を愛し、酒を愛し、客の求めるものを瞬時にキャッチしようとする。その小さな身体に溢れる情熱で心地良いサービスを生み出そうとする。まだまだ伸び代のあるワカゾー。そんな彼が言う。「福井の酒と、福井の食材を使った中華料理でイベントをやるんですよ」

ShinchanEriもきちくんはお気楽夫婦が通った六本木のSILINを辞め、オーナーシェフの慎ちゃんというパートナーと共に「広東料理Foo」を松陰神社前にOPEN。“中華ビストロ”というコンセプトを掲げ、以前の店以上の味とサービスをリーズナブルな価格で提供した。お気楽夫婦は友人たちを誘って、慎ちゃんの料理とねもきちくんのサービスを味わうためにFooに通った。その信頼すべき彼らが出会った福井の酒と食材。行かねば。迷わず予約。聞けば、その酒と食材との出会いには、福井県鯖江市で4代続く「久保田酒店」の久保田裕之さん、裕之さんをサポートする奥さまでフードコーディネーターの桐子さんとの出会いもあったという。これで役者は揃った。

HiyaoroshiNemokichiベント当日。客が揃うまでの間、久保田夫妻をご紹介いただく。福井の酒、福井の食材、イベントを開催することになった経緯について熱く語る裕之さん。瞬時に好感を持ち、調子に乗って奥さまとの馴れ初めを尋ねる。期待以上に丁寧に語る生真面目な4代目。ちょっと離れた場所で様子を見ていた奥さまの桐子さん。「そこまで説明せんでもって突っ込みたくなってました」零れる笑顔で初対面の相手をも魅了する。2人とも酒を愛し、地元を愛し、自らの仕事に誇りと情熱を持ち、お互いを愛するオーラで包まれる幸せ夫婦。見ているだけで嬉しくなる。応援したくなる。ねもきちくんが彼らと共にこのイベントを企画した理由が分かる。

kubotaFukuinoSake初の1杯は「黒龍 純吟三十八号 秋限定酒」。合わせる料理は福井の海の幸、山の幸の前菜5種。干したハタハタとメギスの炙りにローストしたパン粉。頭からがぶり。香ばしいパン粉、干し魚の海と陽の香りが混じり合う。黒龍をぐびり。幸せが口の中に広がる。芳醇なり。皮付きの若狭のグジをカリカリに焼き、はまな味噌という福井のおかず味噌を添えた一品には白岳仙。上品で香り立つ組合せ。旨い。黒龍ひやおろし、赤バイ貝のオイスターソース煮込み、梵 吉平。慎ちゃんの料理と、裕之さんの選んだ酒が心地良いハーモニーを奏でる。ねもきちくんが客席を泳ぐように巡り、桐子さんが自らの笑顔をふりまきながら客たちの満足げな顔を撮る。

味しかったぁ。慎ちゃん、さすがだね」お気楽妻も満面の笑み。カウンタの奥で慎ちゃんも嬉しそう。イベントも終盤、久保田夫妻の笑顔も解け、一段と柔らかな雰囲気に包まれる2人。安堵と満足の笑み。人と人との出会いは異文化の出会い。酒と食材も同様。時に絶妙な組合せが見事な一皿になり、満足の時間と心地良い空間を生む。まさしくその夜がそうだった。人と人との繋がりと嬉しい縁で、新たな料理と酒と人に繋がった。当日のねもきちの小さな失敗も目をつぶろう(笑)

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