KYOTO♡LOVE「たん熊北店 京都本店」

TankumaKitamiseTankumaれの店があった。京都の老舗、カウンタ割烹で有名な「たん熊北店」の京都本店。たん熊との出会いは玉川高島屋にある二子玉川店。当時店長だった本城さんと知り合い、その笑みが零れる料理に惚れ込み、足繁く通った。本城さんが独立して「用賀 本城」を出してからも(頻度は下がったが)度々訪れていた。カウンタに座り、何度か本店の話題になった。一度行ってみたいと本城さんに話すと、その度に「ぜひいらしてください。連絡しときます」と返してくれた。ここまでは良くある話。なかなか京都に行く機会もなく、月日が経った。たん熊で食べるためだけに京都に行くにはゼータク過ぎた。

HinaZensaiれで終わらないのがお気楽夫婦。ある週末に幸運が訪れた。2人それぞれが関西出張。妻は大阪、私は神戸、大阪、京都と3都を巡る。チャンス到来!すかさず「たん熊北店 京都本店」を予約。初めての訪問で夜は敷居が高いし、仕事の都合で伺える時間が遅くなってしまう。京都で(もちろん自腹で)1泊し、翌日のランチに伺おう。そんな作戦。ホテルでの朝食を軽く済ませ、午前中はジムで汗を流し、万全の体制で待望のランチに臨む。四条河原町から高瀬川に沿って、春の気配を楽しみながら木屋町通を歩く。店構えは意外なほどにこぢんまりとしている。ワクワク感を抑えながら入店。

ItaSanSashimi約したのはもちろんカウンタ席。遅めの時間での予約ということもあって他に客はいない。「いらっしゃいませ」名札を見れば倉本さんという板さんに迎えられる。残念ながら小食の2人。万全の体調で臨みはしたが、料理少なめの会席をオーダー。もちろん昼酒。たん熊オリジナル「熊彦」の純米吟醸。ぐびり。ん、旨い。そして最初にやってきた前菜で、いきなり心を鷲掴みにされる。彌生3月ひな祭り、男雛女雛の器に収まる眉目麗しい料理たち。小さな菱餅まで手の込んだ絶品料理。食べる前から目で美味しく、口に入れたら幸福になる味。妻の目には♡が飛び交っている。ぐびり。酒が進む。

YakimonoNImonoらっしゃいませ」カウンタ席に出入りする板さんたちが都度気持の良い挨拶をする。会話を聞いていると、倉本さんは店長さんらしい。玉川店や本城さんのお店に伺っていると伝えると、本城さんとは同世代で互いに良く知る仲だという。目の前で笹の飾り包丁の技を眺める。これがカウンタ席の醍醐味。聞けば近く裏千家の懐石があり、京都市内の名だたる料亭が担当して料理を供するのだという。「今から準備しないと間に合わないんです」鮮やかな包丁捌きのままにこやかに語る倉本さん。こうした会話が料理の味にさらなる奥行きを生む。絶品料理の裏にある京都らしいエピソードを伺い、焼肴を味わい、炊合せを楽しむ。実に幸福な時間だ。やっぱり良いなぁ、京都。KYOTO ♡ LOVE。

らっしゃいませ」イベントで外出していたという板さんたちが続々と帰って来ては顔を出す。「ウチのお客様が伺うからと、本城くんから電話が入っておりました」翌月の本城さんの予約の際に、本店に伺うと伝えたのだった。ホントに連絡していただいていたとは。「お世話になっております」社長の栗栖氏からもご挨拶いただく。上客ではないのにと冷や汗たらり。「お弁当じゃなく、会席頼んでおいて良かったね」妻がこっそり耳打ち。ふぅ。とは言え、一品一品に満足。本城さんの原点を訪ね、その技やカウンタ割烹でのもてなしの神髄を味わうことができた。

の席、谷崎潤一郎が座っていた席らしいよ」と妻。私が座ったのは、カウンタの左端。常連だった谷崎潤一郎の指定席だったという。げっ、それは畏れ多い。けれど、あの恍惚となる心地良い満足感を味わいに、いつかまた訪ねよう。

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