Archive for 11 月 2nd, 2013

スーツとネクタイの日々「32回めの冬支度」

Suits2005年の小泉内閣の際に提唱された(小池真理子が環境相だった時)クールビズスタイルがすっかり定着し、夏にネクタイをするビジネスマンが減った。その上、10月1日に衣替えをするには温か過ぎるここ数年の陽気のせいか、秋になってもノーネクタイの男性は多い。とは言え11月に入ると、さすがに暑がりの私でもスーツを着てネクタイをすることが多くなる。前職で必ずしもネクタイが必須ではなかった会社に長く務めた。今も決して年間を通してスーツ&ネクタイスタイルではない。けれど、夏のジャケットやパンツをクリーニングに出し、冬物のスーツをクローゼットに並べる季節になると、なぜか身が引き締まる。

の暑さに負けてだらぁ〜っと、ぼぉ〜っと仕事をしている…訳では決してない。けれどもスーツを着ると戦闘モードになる。スイッチが入る。ましてや11月。あと2ヶ月で1年が終わってしまう。少し焦燥感が混じった闘争心がむくむくと沸き上がる。やるべきことは山積しているぞと自らを奮い立たせる。この季節ならではの気持の動き。だったら夏の間もスイッチ入れてなさい!と指摘されればそれまで。振り返れば、夏のやる気は違う方向に向いている。夏の日射しの下で汗を流しながら移動。仕事を終えたらキリッと冷えたビールが待っている!と自らを鼓舞する。あと何日働いたら夏旅に出かけられるぞ!というニンジンを目の前にぶら下げる。ブログ用に誇張してはいるが(笑)、単純でお気楽なおやぢ。

Necktiesから夏への衣替えは、寒い季節から開放された気持や、夏に向かっての開放感が溢れる。それに対して秋から冬は寒い季節への備え、年末に向かっての高揚感。気持の向かう場所は違うけれど、気持が切り替わるのは一緒。それ程意識もせずに、季節に応じてモチベーションの持ち方を変えているだけ。社会人になってから、そんなことを30回以上も繰り返して来たのだと気付く。冬物のスーツやネクタイを眺めつつ来し方を振り返れば、そのスーツを買った頃の自分を思い出す。それぞれのネクタイにまつわる記憶が蘇る。幸い体型もあまり変わらなかったから、我がクローゼット最古参のスーツは20年以上を経た強者。新参のスーツたちとは貫禄が違う。

クタイも同様。流行に大きく左右されないレジメンタルやドット柄が長生きという傾向はあるけれど、いずれのネクタイも長寿。ここ数年は夏場にほとんど活躍できない分、汗染みも少なく、高齢化の傾向がますます強くなっている。あと何年ネクタイをするかと思えば、新たな戦力を投下することに躊躇いも出る。すると必然的に少子高齢化の日本社会と同様の逆ピラミッド型の(ネクタイ)年齢分布となる。そうなのだ。スーツやネクタイの中身であり持ち主である私は、いつ頃まで彼らとお付き合いするのだろう。これも幸いなことに、定年という規定がない契約の元に働く身。自らの冬支度はいつまでに行おうか。

論調査会社ギャラップ社の調査(日経に掲載)によると、世界142カ国23万人の従業員の内、意欲があり積極的に仕事に取り組んでいるのはわずか13%。大部分の63%が「意欲がない」との回答だと言う。さらに24%は「意欲を持とうとしない」層。全世界の労働者の90%近くが仕事が嫌いという結果だという。日本ならもう少しマシかと思いきや、仕事を通じて幸せを感じる従業員は7%という結果。そうか。私は幸運なのだ。仕事に関して幸せを感じ、その後のビールでさらに幸福でいられる間は、スーツとネクタイのお世話になろうか。

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