お気楽妻、山へ!?「ロープクライミング&ボルダリング」

Mam&DadFirstき父母は、山歩きが大好きだった。夫婦2人で、時に山仲間たちと、月山、鳥海山、朝日連峰などを縦走していた。写真撮影が好きだった父は、山野草を接写し、パネルにして書斎を飾っていた。そんな父に連れられて初めて登った山は、温海岳(標高736m)という低山だった。小学生だった私は、お弁当が楽しみで付いて行ったぐらいの記憶しかない。そして中学生になり、月山(1980m)で本格的な登山を味わった。沢道を辿り、鎖場をよじ登り、雪渓を眺め、高山植物の咲き乱れるお花畑を歩いた。頂上から眼下に広がる景色を眺めた時、登りの辛さが一気に吹き飛んだ。山登りの楽しさに目覚めた。

HodakaOkuho生時代から20代前半まで、ディンギー仲間でもあり、スキーの師匠でもあった友人と度々山に出かけた。夜行列車で松本に向かい、早朝の上高地〜涸沢〜奥穂高岳(3,190m)〜前穂〜岳沢と縦走した。トンネル内にある土合駅から階段を上り、晩秋の谷川岳(1,977m)に登った。本格的な登山にすっかりハマった。20代後半、ぴあ入社後にアウトドアのサークルに参加し、蝶が岳キャンプ、尾瀬トレッキング、八幡平縦走など、毎年数回は山に出かけた。今では笑い話だけれど、暴風雨の中の白馬縦走では遭難しかけたこともあった。そして、ある事件をきっかけに、30代前半で山から遠ざかった。

RopeClimingEriの日、登山素人のお気楽妻を誘って、丹沢に出かけた。目指すは主峰大山(1,252m)。出発が遅くなり、ヤビツ峠行きのバスは終了。手前のバス停からかなりの距離を登ることになった。それでも体力がある妻は無事に登頂。山頂では、相模湾まで見渡せる雄大な景色、コッヘルで湧かした紅茶、豚汁とおにぎりの弁当を堪能した。ところが、下りで事件は起きた。誰も歩いていない登山道を下る。山の日暮れは早い。すっかり暗くなった頃に川沿いのキャンプ場に到着。その先の広沢寺温泉がゴール。ところが、その手前に電灯のない、長く真っ暗なトンネルが。暗闇の恐怖と闘いながら、手をつなぎ、声を出して歌いながら歩く2人。「もう山はいいや」と妻。ごもっとも。

…こうして山は封印された。

Eri&YumiYamakeiれから20年が経ったある日、「ボルダリングだったらやってみようかな」という意外な妻の発言。本格的な登山も経験しているアスリート女子を誘い、ボルダリング&クライミングジム「PUMP」へ。ジムの会員でもあるスカッシュ仲間(山男)のアドバイスを受けつつ、体験クライミングに参加。クライミングシューズを履き、ボルダリングの基礎知識を学び、さっそくトライ。体重の割には腕力のある妻。するすると難なくルートを登る。「これはかなり面白いね」続いてトップロープクライミング。かなりの高さ。全く高さに恐怖心がなく、がしがしと登って行く。「楽し〜いっ♬」と満面の笑み。

しかったぁ。またすぐにでもやりたいね」「山も2時間ぐらいだったら登ってもいいかな」と次々に前向きな発言をする妻。どうやら長い山行は苦痛であり、トレーニング気分でできる「スポーツ」なら楽しめるらしい。「じゃあ、暖かくなったら行きますか」と、妻を山の世界に引き込みたいアスリート女子も嬉しそう。そして、ある日書店で『山と渓谷』の最新号を手に取り、買ってみようかと提案すると、これまた意外にもあっさりとOK。ふふふ。じわじわと外堀は埋まってきた。封印が解かれる日は、果たして訪れるのか。

コメントする








002146173

SINCE 1.May 2005