京を味わう「用賀 本城、与野本町 京雀」

KyoSuzumeGuideつもなら年末にお伺いし、食いしん坊な1年を締めくくる「用賀 本城」。残念ながら昨年末はスケジュールが合わず伺えなかった。心残りの年越し。そこでスカッシュ仲間の役員秘書を誘って、新年早々にいつものカウンタ席を予約。指折り数えてその日を待つ。店主の本城さんは、京料理の名店「たん熊北店」で修行をし、パリのフランス領事館で公邸料理人を務めた後、たん熊北店二子玉川店の店長を経て独立。2009年に用賀に店を構えた。本城さんとは二子玉川の店からのお付き合い。独立される際に話を伺うと、「最近、若いもんの目標となる料理人の道みたいなもんが見えなくなって来て、だったら私がやってみようかなと…」と、身震いするような答えが返って来た。そんな心意気、そして繊細な絶品料理に魅了され続け、店に通い続けている。

HiuoKonowataる日、TVの情報番組で「店主はたん熊北店で修行をして…」とのナレーションが耳に入る。ん?画面には究極のTKG(卵掛けご飯)と煽りのテロップ。美味しそうだし、感じ良さそうな店だけど、場所はどこだ?チェックすると最寄り駅はさいたま市与野本町。住まいから1時間以上。行く機会はないよなぁ、と思いつつ手帳を見ると、なんと隣駅のさいたま新都心を訪問する予定があった。それも「用賀 本城」に伺う予定の日。これは天啓だ。仕事のアポに合わせ遅めの時間に訪問。客は常連らしき1人だけ。カウンタに座りメニューを眺める。京料理からお気軽なものまで多彩。究極のTKGが食べたいのだけれど、卵丼(これがメニュー名)500円だけをオーダーするのもオトナとして気が引ける。天ぷら定食のご飯を卵丼に変えてもらうという変則オーダー。

SeasonWakatakeウンタに座った私の目の前で卵丼が完成するまでの過程を眺める。小鍋に大量の卵を入れ、弱火で温めながら、かき混ぜ、かき混ぜ、さらにかき混ぜると角の立たないメレンゲのような状態に。タレを掛けたご飯の上に優しく流し入れ、さらに上からタレ、卵黄、刻み海苔を掛けて完成。まるで山かけのような見た目。ひと口食べると、ふわふわな卵とご飯が絶妙に口の中で混じり合い、うまっ!と目を見張る。これは癖になる味と食感。近所に住む常連さんになって、堂々と卵丼だけ食べに来たい!…というような感想をその夜、本城さんに伝えると、「あぁ、京雀さんね。店主の○○くん、良く知ってます。ウチの客だと言ってくれたらよろしかったのに」と即答。初めてだったし、そうそう行く機会もないだろうと思い、名乗らなかったと返す。

KyoZoniEri&Haruころで今日はどんな感じで行きますか」という本城さんに、いつもの様に軽めでと伝えると、「じゃあ、お椀を京都のお雑煮にして、鯛はなしで行きますか」との嬉しいご提案。「きゃあ〜嬉しい♡白味噌のお雑煮って食べたことない」と妻。母方の実家が京都だという役員秘書も大喜び。口取りに氷魚(鮎の稚魚)から始まり、目でも味わい舌で楽しむ料理が続く。季節を感じさせる食材、盛付け、器。やっぱり和食は深いなぁ、日本って良いなぁとしみじみする頃に、だめ押しの京風雑煮。甘く上品で濃厚な、鰹出汁と白味噌の香り高い椀。「美味しい〜っ!柚子が利いてるぅ」「汁がトロッとして丸餅と合うねぇ♬」2人の目が輝く。来年の正月に作ってみようかなと呟く料理担当の私に「作って作って!」と宣う妻。了解。研究します。

日もとっても美味しかったです」輝いた瞳のままで役員秘書が本城さんにお礼。女将さんが更新しているお店のFacebookページもチェックし、一段と満足気。同行の友人のそんな顔を見るのが何より嬉しい。すると本城さんが「京雀さん、電話しといたら喜んでましたわ」あらら、いつの間に。埼玉までの遠征はなかなか難しいけれど、何時の日か再訪してみよう。本城さんの料理に対する愛情、客への気遣い、料理人同士の思い、そんな味付けもお気楽夫婦と友人たちを虜にする。さて次回は京都の春の味をいただきに、誰を誘って来ようか。

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