ご近所の名店、いつまでも「萬来軒」


SuigyozaHachinosuIGAさん、今夜の予定がなくなりました。急ですがご一緒にいかがですか」遠来の友人から、そんな嬉しい連絡があった。2年前、とあるご縁で知り合った彼女は、転職した先の研修で2週間ほど東京に滞在していた。毎回一緒に飲んではいるものの、会うのは3度目(…と数えて、えっ!まだ3度目か!と気付いて驚く)なのに、ずっと前から知り合いだった気がする不思議な友人。さっそく妻と連絡を取り合い、スケジュールを調整し、ご近所の中華料理屋に予約の電話する。「あぁ、IGAさん。今年もよろしくお願いします」聞き慣れた「萬来軒」のオバちゃんの声。何て事のない街の中華料理屋という店構えながら、安心して友人を案内できる四川料理の名店だ。

KakiMabo職おめでとう♬」ビールで乾杯しつつ、30年ほど通い続けているこの店の、注文必須の名物料理「四川水餃子」をいただく。「これは美味しいですねぇ」芝麻醤と辣油の絶妙なバランス。ビールに良く合う。ハチノスの辛味和えを味わいながら、瓶出し紹興酒に進む。この店の紹興酒は、ついつい呑み進んでしまう危険な味。「良い香りですねぇ」“いける口”の友人も笑顔で杯を空ける。「今日はカワイ子ちゃんが一緒なんだね」平日の遅めの時間。接客も一段落して、オバちゃんが声を掛けて来る。彼女には高校生のお嬢さんがいるのだと伝えると「えぇ〜っ!そんなに見えないねぇ」と大きなリアクション。がぜん遠来の友人に興味を持ったらしい。

Eri&ChihiroTantanmen蛎と黄ニラの四川炒めの辛味を愉しみながら、ついつい紹興酒が進む。どれも美味しいと言う遠来の友人の笑顔に、調子に乗って「麻婆豆腐」とご飯、「担々麺」をオーダー。この店の鉄板メニューながら、お気楽夫婦にとっては珍しい“W炭水化物”攻め。その上、辛いモノは大好きながら、カプサイシンに騙されて大汗をかく私は、汗びっしょりのオールバックの髪型になってしまっている。涼しい笑顔の2人が信じられない。そこに一息付いた厨房のおぢちゃんが登場。「IGAさん、今年もよろしくお願いします」と、すっかりリラックスモードでビールを飲み始める。見ればオバちゃんがさっきから呑んでいた湯呑みの中は日本酒らしく、オバちゃんもすっかり酔い加減。

Momomanchihiro女は仙台なんだって。ウチの息子は結婚して山形に行っててさぁ」オバちゃんが楽しそうに語り始める。どうやら遠来の友人を気に入ったらしい。彼女は出会う人に可愛がられるという特技がある模様。「IGAさん、正月だし紹興酒サービスするよ。もう1本呑んでって」おぢちゃんが嬉しそうに杯を干す。中華料理の食材や香辛料の話題になる。「材料に拘ってウチの原価率は高くてさぁ」と零すおぢちゃん。「だからウチは儲からないんだよねぇ」と、オバちゃんが笑顔で胸を張る。「だから安くて美味しいんだよね」と皆で大笑い。2人とも中華料理屋という仕事に矜持を持ち、かつ大好きなんだと実感する。何だかすっかり5人で新年会の模様。楽しい宴だ。良い夜だ。

日はありがとうございました。良いお店ですね」遠来の友人とカフェ808に向かう。…こうして何人の友人と一緒にこの店を訪れただろうか。シャイで愛想が良い訳ではなく、接客に向いているとは言えないオバちゃん。料理の腕は良いけれど、商売が下手なおじちゃん。それでも週末にはいつも常連客で賑わい、予約が取れなかったりすることも多い。万人に受ける店ではないかもしれないけれど、ご近所にあって嬉しい愛すべき店。あと何年続けてもらえるか分らないけれど、それまでずっと通い続けるのだろうなぁ。ご近所の名店、萬来軒よいつまでも♡

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SINCE 1.May 2005