㊗️10周年、13年のお付き合い「用賀 本城」

Honjo8IGAさんたちと一緒に本城さんに行きたい!」と、春先に新婚の奥さまからリクエストが入った。それは何を置いてもご一緒しよう!と言いたいところだったが、あいにく本城さんは長年患った膝の手術で入院中。退院できました!と言う女将さんのメッセージで営業再開を確認し、早々にお店に伺った。5人の予約ながらカウンタ席。全員での会話は難しいけれど、この店の醍醐味はカウンタ席でこそ深く味わえる。

Honjo2退院おめでとうございますと本城さんに声を掛ける。「思った以上にリハビリ大変ですわぁ」と言いながらも、厨房で笑顔で元気に立働く姿を見るとひと安心。女将さんがSNSで発信していた大将の入院報告、リハビリ報告を心配しながら見守っていたお気楽夫婦。「10周年までには元気になってもらわんと」と優しくも厳しく寄り添っていた女将さん。2009年4月に独立し店を出し、今年で10周年。おめでたい節目の4月だ。

Honjo3業から3年で、7割が閉店すると言われている飲食業界にあって、10年続けるというのは大変なこと。ただ美味しいだけでは店は続かないはずだ。客がまた来たいと思う店を作るのは、味だけではなく、客とのコミュニケーション力が重要だ。ただ客と親しくなるというのではなく、その距離感の保ち方。食べて飲む数時間を心地良く過ごせるかどうか。そんな時間と空間をどのように作るかが、長く続く店の肝なのだろう。

Honjo4の店、「用賀 本城」にはその時間も、空間も、もちろん素晴らしい料理がある。その日の料理も素晴らしかった。春を堪能させてくれる料理と器、盛付け、目と舌で春を味わう喜び。そして美味しい酒との組合せ。その日は、同行メンバーがワイン好きということもあり、スパークリングワイン(シャンドン)や京都丹波の白ワイン(ピノグリ)で京料理を楽しんだ。下戸のご夫妻だが、酒のラインナップも開店当初より充実して来た。

Honjo5れお酒がすすみ過ぎる!」メンバーのひとりが嬉しそうに嘆いたのは、鯖のへしこ。香りだけで1杯、ひと齧りで1杯と、呑んべに供するといつまでも飲み続けそうなひと品。そしてその日のメイン(私にとって)は、春の味の王様、筍だ。こんがりと焼かれた筍の芳しい香りが鼻孔をくすぐる。頬張ると春の味が口中に広がり、サクサクとした春の歯応えで身悶えしそうになる。文句なく旨い。幸福の味。

Honjo6してその日のメインがもう一品。目の前で本城さんが包丁を入れていた牛肉が目に入り、余りにも美味しそうな塊を見て、ひと口だけ食べたいとリクエスト。すると本来のコースにはない料理をサッと出していただいた。これがまた絶品、焼いたイチボをひと口だけ味わうゼータク。そう言えば、先日妊娠中の友人をお連れした際も、別メニューを出していただいた。小さな店だからこその柔軟な対応が嬉しい。

Honjo1客さまからいただいたんですけど、結構似てるって…」壁に小さな似顔絵イラストが飾ってあり、女将さんにあれは?と声を掛けるとハニカミながらそう答えてくれた。改めて店内を眺めると、他にも祝花などの10周年のお祝いの品が溢れ、そして何よりも幸福になる料理、愛される大将と女将さんの人柄が、イラストにも店の中にも溢れている。いい時間と空間。しみじみといい店だなぁと実感する。

Honjo9味しかったです。一緒に来れて良かったです♬」初訪問だった友人たちも満足そう。10周年の記念といただいたオリジナルワインを抱えて店を出る。本城さんと女将さんが店先で見送ってくれる。「おかげさまで10周年を迎えられました。11年目もよろしくお願いします」と声を揃えて。こちらこそ!本城さんとは「たん熊」から13年のお付き合い。いい店と人と出会い、長くお付き合いできる幸福も味わう夜だった。

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