嘘ついてましたっ!「ウチメシの日々」

RoastBeef気楽夫婦は外食ばかりで料理を作らない。そう思われている、らしい。困ったことに、ほぼ事実である。子供のいない2人。それぞれ仕事を持ち、帰りは毎日そこそこ遅い。仕事が終わった後にスポーツジムに行くことも多く、自宅で食事をすることが少ない。毎日自宅で食事をしない、ということは食材を買ってもムダにすることが多くなる。逆に限られた食材では栄養のバランスも偏ることになる。言い訳に聞こえるかもしれないが、健康を考えて料理は作らない。自宅で食べるにしても、てっとり早くデパ地下のデリを買って帰る、というケースが多い。ということで、必然的に2人の夕食は、外メシ(外食)か、お気楽夫婦がウチメシと呼ぶ「中食」になる。*「中食」とは、調理済みの食材を買って自宅で食べること。

NikuUdonれど、料理を作らないのと、料理を作れないのは大きく違う。お気楽夫婦の場合は、作らない。休日に時間があっても、休日だからこそ食べに行きたい!と思う店も多く、料理を作らない場合が多い。作る時間がないのではなく、ましてや料理ができないのではない。料理とは呼べない程度のかんたんな料理を作ることは多い。例えば休日のランチ。最小限のストック食材を使って、うどんやラーメンなどをささっと作ることはできる。ある日のランチメニューは、豚のバラ肉、油揚、青ネギを使った肉うどん。ダシは化学調味料(ほんだし)だし、うどんは乾麺。けれど、料理の見た目も味もまぁまぁのモノはできる。並行してサラダを1品作り、パン食の妻に供する。これもかんたん。

HaruCabegeく稀に、もう少し手の込んだものを作る場合もある。例えば、春。キャベツが美味しい季節。お気楽夫婦の住まいの前にはJAが運営する直売店があり、地元の農家が作る野菜が並ぶ。10時の開店と同時にレジに行列ができる人気の店。ある週末、お昼前に店を覗くと、元気の良いキャベツが数個残っていた。食べる前からしゃきしゃきと旨そうな面構えだ。買い!けれど、小食の2人にとっては勇気のいる買物。2人とも食材をダメにしてしまうのが嫌いで怖い。キャベツを中心に4食ぐらいのメニューを考えないと食べ切れない。クックパッドを参考にメニューを組み立てる。ちなみに、これらは全て調理担当の私の役割。

Yakigyozaず1品めはサラダ。キャベツと冷蔵庫に1本だけ残っていたニンジン、キューリを細く刻んで塩揉みにして、重しを乗せて浅漬け風に。大きなボウルにたっぷり。それをマヨネーズ中心の味付けでコールスロー系にしたり、酸味の強いドレッシングでさっぱり系にしたり、食べる度に味付けのバリエーションを変える。便利な一品。次は、ざっくり切ったキャベツ(それも外側の青味の強い部分)をさっと茹で、はちみつと醤油で味付けしたツナと和える。残ったキャベツは翌日の朝に目玉焼きと共に千切りで、さらに残ったものはもやしやタマネギを1ヶだけ買ってきて、野菜たっぷりのタンメンを作ろう!と万全の計画ができた。そして、餃子だ。

せて!」珍しく妻が胸を張る。フライパンに油をひき、浜松風にギョーザを円く並べる。水を注ぎ、蓋をする。良い音だ。ひっくり返す。良い色だ。実に美味しそう。…ん?餃子は手作りではないのか?いえ、冷凍食品です。ひと言も手作りとは言ってません。Facebookに写真をアップしたら、妻に好意的なコメントを寄せる皆さまが誤解されただけです。その上、アップしたのは4月1日。はい、申し訳ない。消極的にではあるものの、嘘ついてました!

仕事と人生の収め方「OU閉店」

EDRADOURく寒かった今年の冬がようやく終わり、誰もが桜の便りを待ちわびる頃、1軒のバーが閉店した。店の名前は「OU」という、恵比寿にあった小さな店。営業していた10数年の間、年に数回訪れたかどうか。決して常連とは言えないし、良い客ではなかったかもしれない。けれど、そこに行けばOUという店があるという、なんとも言えない安心感をずっと持っていた。常夜灯のように、灯台のように。道筋を示してもらわなくても、航路を教えてもらわなくても、道標にならなくても、存在するだけで安心する。私にとってOUはそんな店だった。オーナーはひと回り近く違う前職の会社の大先輩。閉店という知らせを聞いて訪ねた夜は、「ちょいと疲れてさ」と冗談とも本気とも取れるメッセージ。役員まで勤めた会社を辞め、開業したバーには多くのOBや仕事の仲間たちも集った。居心地の良い店だった。

Lapita年前、公務員を辞めてバーを開業するという弟を伴い、OUを訪ねたことがあった。「人の繋がりで、こんな素人の私でも10年やってこられました」「店が休みの日に、他の店に行くとホッとすることがあるんですよ」普段は聞けない、そんな話を伺い、アドバイスをいただいた。その弟も念願のバーを開業して2年を迎える。子供たちの手が離れようとするタイミングで、早期退職に応募した。長年勤めた市役所の仲間たちや、地元で培った友人、知人のネットワークに助けられ、なんとか営業している様子。「開業の準備は大変ですよ、私は10kg体重が落ちましたからね」OUのマスターのことばを思い出す。その先輩のことば通り、弟も開業までにぴったり10kg痩せたと言っていた。目指せ!開業ダイエット…とは冗談にしても、独立して自らの力で働く大変さを弟も実感したらしい。

Benichi立する苦労もあれば、家業を継ぐ苦労もある。妻の故郷浜松に出向く度に伺う「割烹 弁いち」のご主人は3代目。仕事を極め、商売を収めるために数年前に店を改装した。料理を独りだけでやれるように、店をひと回り小さくされた。ご主人曰く、「店を発展的にスリムにし、仕事の内容を充実させる」あるいは「「商売は縮小、仕事は追求が今後の理想」とも。自らブログに書かれているように、“店を大きくせず、多店舗展開もせず、料理のクォリティを高める”仕事をしてきた職人が目指す方向なのだろう。OUのマスターも、弁いちのご主人も、比べようはないが弟も、自らの仕事を見極め、仕事の収め方、人生の収め方を考えた結果。それぞれが自分の仕事を自分の裁量でできるからこその苦労であり、責任であり、やりがいでもあり、そしてもちろん楽しみでもあるのだろう。

Jiyugaoka年勤めたぴあを辞め、その後に大手通信会社に3年勤めた。そこで得た人的ネットワークと新たな専門分野を活かし、独立したのは数年前。自分たちの街を愛するダンナ衆たちに出会い、その街に対する彼らの思いに惚れた。江戸の時代から、街の文化を創ってきたのはダンナ衆だ!そのダンナ衆たちと一緒により良い街を創るのだ!と、決断した。経済性を優先するのではなく、専門性、地域や社会への貢献を優先するという方向に舵を切った。自由が丘の街と自らが住む街で、街を愛するダンナ衆とそんな仕事ができることは幸福だ。自分の蓄積してきた僅かばかりのスキルや経験を活かせることはありがたいことだ。元気で先進的な自由が丘という街の事業をサポートするコンサルティングの仕事と、ひと足早い地域デビューを兼ねた地元の街でのボランティア仕事。これらのバランスを取るのもまた楽しい。

も早くセミリタイアしたいなぁ〜」と妻。おいおいっ!私はセミリタイアしたのではなく、自分のペースで仕事をしているだけ。メリハリを付けて、仕事の合間に自分の時間を取っているだけ。どのように自分の仕事を収めるか、そして人生を。人は企業に属しているだけではなく、住んでいる街に属し、コミュニティに、そしてもちろん家族に属している。その中での自分をじっくりと熟させて行こう。

街の顔、定番の店「抱瓶」高円寺

DachiBin央線沿線には独特の匂いがある。駅毎に個性がありつつ、共通する文化がある。中央線に乗ると、70年代のヒッピー文化の尻尾を引きずっている人がいたり、パンクな方々、いかにもエコロジ〜な人々、インド文化傾倒者などをお見かけする。実に個性的な中央線の人々。一方、中野には「まんだらけ」をはじめとしたサブカルチャーの一大拠点「中野ブロードウェー」があり、七夕まつりで有名な阿佐ヶ谷はジャズの街でもある。荻窪は春木屋をはじめとした東京ラーメンの有名店が集まる街だし、西荻窪は今や骨董店のメッカとなり、住みたい街NO.1の吉祥寺はライブハウスや個性豊かな飲食店が集まる若者の街。そして、高円寺は阿波踊りとロックと古着屋と『純情商店街』…。街のキャラクターも実に多彩である。

KallyPatatoMimiGa3年程前、その高円寺に新しい“文化”の拠点ができた。その名も「座・高円寺」という演劇が中心の劇場。正式名称は杉並区立杉並芸術会館。阿波踊りホールという常設の練習場まであるのが高円寺らしい。芸術監督に佐藤信、開館時の館長に2011年に逝去された斎藤憐という自由劇場の設立メンバーでもある2人の大御所を据え、運営はアート系のNPOという柔軟さ。この劇場がなかなか良い感じ。演目が年に数回、お気楽夫婦の琴線に触れる。ということで、普段は余り縁のない高円寺の街に出かけることになる。その日も2人のお気に入りのわかぎえふが脚本、演出を手がけた『ワンダー・ガーデン』という芝居を観て、その満足の内容にご機嫌で高円寺の街をふらふらり。

MenmaGoyaCahnpuluっぱり抱瓶かねぇ〜」妻の提案。慣れない街で、安心して美味しいモノを食べようとすると、自ずと定番の店になる。ということで、結局お気に入りの沖縄料理の抱瓶に向かう。沖縄料理好きのお気楽夫婦、主だった街ごとにお気に入りの店がある。シモキタだったら「Aサインバー」、下高井戸の「ナンクルナイサ」、自由が丘は「なんた浜」、そして高円寺は老舗の「抱瓶」だ。いかにもウチナーの面構えの店の前でにんまり。店に入ると相変わらずの大賑わい。幸い入口すぐのカウンタ席が空いていた。さっそくキンキンに冷えたオリオンの生!そしてA&W(エンダー)メニューで有名なカーリーフライ。(カーリーヘアのようなポテトフライ)これが、身体に悪そうで、旨い。この手のジャンクフードは身体に悪そうなモノほど旨い。

YushiDofuBaloonらに、ミミガーの酢味噌和え。コリコリしたミミガーと酢味噌のバランスがシンプルながら旨い。スンシー(メンマ)イリチーの美味しさときたら、身震いするほどの幸せ。私の大好物。三枚肉と一緒に炒め煮にしたメンマ。豚の脂の甘さがメンマに浸みてこれまた旨い。これがビールに良く合うのだ。そして定番のゴーヤチャンプルー。さっと炒めたゴーヤの苦みと卵の甘さ、熱々のチャンプルーの上で踊る削り節。極上のB級、お気楽な美味。おもわず微笑み、泡盛のロックをオーダー。辛いもの好きの妻は「コーレーグースーください!」と声を上げ、すかさずたっぷり振りかける。「やっぱりウチナーは良いなぁ♫」はふはふと頬張りながら、しみじみと呟く。シメは沖縄すばではなく、ゆしどうふ。さっぱりと美味しい。

華料理も良いけど、沖縄料理もしみじみと良いよねぇ」と妻。芝居と食事の満足感と満腹感に身を包み、高円寺の街をふらふらと。工事中のバルーンがお見送り。高円寺の顔とも言える店で、街の魅力を味わった。

000420521

SINCE 1.May 2005