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あつみ温泉は、開湯約1,000年というから、平安時代から続く歴史ある温泉。中でも360年以上の歴史を誇る老舗旅館が「たちばなや」だ。昭和天皇をはじめ、皇太子・皇太子妃などの皇室の方々が宿泊した名旅館でもある。あつみ温泉に宿泊するなら、この宿をいちばんにお薦めする。良きライバルである萬国屋の豪華さはないけれど、上品で楚々とした風情の佇まいは、お気楽夫婦が日本旅館に求める姿にぴったり。まずは風呂が良い。檜をふんだんに使った大浴場、続きの露天風呂、貸切の展望露店風呂の「星の湯」は快適そのもの。大浴場の中央にある檜の枕に頭を置き、高い天井を眺めていると、すーっと現世の雑事が消えて行く。落ち着きと趣のある客室で、ゆったりとした気分で食す夕食、そして何よりも朝食が絶品。日本旅館の朝食はかくあるべきという少量多品の皿が並ぶ。そのひとつひとつに心がこもる。そして、緑溢れる庭を眺めるラウンジや待ち合いコーナーで過ごす時間も悪くない。大切な人をもてなす宿として、ぜひ一度は訪れて欲しい。
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東京赤坂に「阿部」という料理店がある。心を込めた食材を用いて、正しい日本の食事を追求する店、だという。…というのも訪問しようかという矢先に、ミシュランの☆を取ってしまったのだ。2007年に訪ねた山形の温泉宿「亀や」が経営する店。その宿での食事が美味しかったが故に訪問しようかと思っていた直後に。☆付きの店と知って訪ねるのはテレてしまうお気楽夫婦。これで「赤坂阿部」訪問する機会が永遠に失われたかもしれない。残念だ。
ところで、亀やは豪華な外観ながら、至極フツーの温泉旅館の顔をしている。フロントも、お土産コーナーも、お風呂も、ベタな温泉旅館。ところが、「KAMEYA514-519」と名付けられた6部屋だけは趣が異なる。オーシャンフロントの部屋にツインベッドがどんと置かれ、海に向いた窓にやはりどんと大きな皮のソファ。すっきりとしたワンルーム風の部屋に檜風呂付き。ベッドルームとの間にある扉を開け放つと、外を眺めながら風呂に浸かることができる。そして、100畳敷きの大広間を改装したという竜宮殿 ダイニング「千尋坊」もすっきりモダンな空間。日本海の海の幸、庄内地方の豊かな食材が一段と美味しく感じられる。日本旅館の新旧の趣と味わいを、絶妙に組み合わせた宿だ。
【快楽主義宣言へ】
■「海と野を味わう宿」 2007年7月29日
■「海と空を眺める宿」 2007年7月28日
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山形県鶴岡市に湯田川温泉というこぢんまりとした温泉がある。時代小説の作家、藤沢周平の生家が残る小さな温泉街。そこに「湯どの庵」という小さな宿がある。この宿はリノベーションされ、和モダンの宿として人気が高い。チェックインはフロント横の専用スペースでウェルカムドリンクを飲みながら。部屋への案内はない。畳の部屋ではなく、小上がり風に床を上げ、そこに布団を敷いてベッドのように利用する。つまり内装だけではなく、ホテルと日本旅館の機能を融合させ、日本旅館独特の窮屈な雰囲気を和らげている。
食事は部屋食ではなく、ちょっとおシャレな和食の店に向かう気分で。この食事が絶品なのだ。食用菊「もってのほか」、三元豚など、独特の食材が豊富な庄内地方。加えて米所としても知られ、日本海の海の幸もたっぷり。同じ鶴岡市湯野浜温泉にある亀屋という旅館と同系列。亀屋が赤坂に出した料理店「阿部」がミシュラン東京版で☆を獲得したことでも料理の水準が分かろうというもの。庄内の味を巡る旅ならば、ぜひ一度訪ねて欲しい宿だ。
【快楽主義宣言へ】
■「海と野を味わう宿」 2007年7月29日