英仏の距離は…「ユーロスター」

P1000378イギリス人はフランス人を、フランス人はイギリス人を(多くの例外はあるだろうけれど)嫌っている。お互いのプライドの高さ、自国への愛情、文化の違い、宗教の違い。ほんの数十キロのドーバー海峡を隔てただけの国同士なのに、その距離以上に遠い関係なのは、日本と韓国のようなものか。そういえば、かつて両王朝に婚姻関係があったのも、似てる関係だ。飛行機の移動だったら、わずか2時間弱のロンドンとパリ。その二都間を結ぶユーロスターに乗車した。

ロンドン、ウォータールー駅。文字通り“ターミナル(Terminal)”の典型。始発(終着)のホームが何十本も並び、それらを結ぶコンコースが巨大な屋根の下に伸びている。ともかく、でかい。そのどでかい駅の一番端に、ユーロスターの改札がある。他の路線とは違い、地下の改札にエスカレーターで降りていく。改札を通ると、出国手続きの窓口。あれ?と思うほど簡単に終了。そして、フランスの入国手続。イギリスから、わずか2メートルほどの距離で、「Bonjour!」と挨拶されるフランスになる。

車内は極めて快適。車掌も、車内サービスも(きっとパリ発ロンドン行きは逆なのだろうが)フランス語が基本。我々が乗ったクラスは、時間帯によって軽食か、本格的な食事がサービスされる。国際線の飛行機と同様。「何を飲みますか?」「白ワインを」「ボルドー(ソーヴィニヨン・ブラン)にしますか?それともシャルドネ?」「あ、ボルドーをお願いします」…ふぇ~っ!ワインの種類を選べるのか!さすが!おふらんす。料理も美味しいし。ロンドン、パリの順に旅程を決めたのは正解だった。

ユーロトンネルを抜けると、車窓には豊かな田園地帯が広がる。「パリはパリ、フランスじゃない」…そんなことばを思い出す。フランスは穀物生産が国内需給を上回る、自給率176%の輸出国。農業国なのだ。(ロンドンのホテルで食べたヨーグルトはフランス産だった)そして終着パリ、北駅。8時を過ぎたというのに、まだ街は明るい。ロンドンでアフタヌーンティを楽しんだ後に、パリのビストロで飲んだくれることもできる。こんなに気軽に国境を越えることができ、経済的な結びつきも強いイギリスとフランス。でも、ポンドを使い続けるイギリス。…ユーロへ統一してくれると便利なんだけどなぁ。

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