恋に落ちたリゾート「カペラ・シンガポール」

カペラ外観カペラ室内ンガポールが凄いことになっている。そんな情報が入った。マレー半島の南端、国土面積707㎡、琵琶湖とほぼ同じ広さに、470万人の人々が住む都市国家。アジアでも有数の経済発展を遂げ、1人当りのGDPは日本を抜きアジアのトップ。欧米諸国の多くの企業が、アジア太平洋地域での本社機能をこの街に持つ。いち早くアジアのハブ空港を目指してチャンギ空港を開港。金融センターとしては、NYC、ロンドン、東京、香港、パリに次ぎ世界6位にランキング。ここまではお気楽夫婦には余り関係のない話題。ところが、そのシンガポールが、観光資源の開発にも乗り出した。シンガポールの南に位置するセントーサ島に巨額を投じたリゾート開発を行い、ホテル、カジノ、テーマパークなどを建設しているというのだ。加えて、マリーナ地区の再開発を行っているとも言う。これは行かねば。

部屋からの眺望3つのプール南アジアのアイランドリゾートも一巡し、昨夏の香港に続くアジアのアーバンリゾート訪問として選んだシンガポール。お気楽夫婦が最初に向ったのは、セントーサ島に昨年オープンしたばかりのホテル、カペラ・シンガポール。チャンギ空港からタクシーでセントーサに向う。途中、開発中のマリーナ地区を横目に観ながら、高速道をノンストップで20分余り。島とは言いながら、シンガポールからわずか800m。車でも、モノレールでも、ロープウェーでもあっと言う間。こぢんまりとしたロビーでチェックインをしていると、ウェルカムドリンクを薦められ、モエ・エ・シャンドンを立ち飲み。ゼータク!というか、だったらソファでチエックインでも…。日本人スタッフに案内されて中庭に出ると、息を呑むような景色が広がる。コロニアル調の建築の真っ白なタナメラ棟、美しいアールを描く近代的な建築のレンガ色のホテル棟。プールを見下ろすテラスには、デイベッド付きの席があるバー。セクシー&ラグジュアリーな、お気楽夫婦をくすぐる空間デザイン。その瞬間に、2人はこのホテルとの恋に落ちた。

ベランダのプライベートジャグジーベランダでランチ気楽夫婦が予約していたのは、全館で4室だけのコンステレーションルーム。最上階の角、アウトドアジャグジー付きのバルコニー、オーシャンビューのバスルーム、天井が高く2面採光の明るく広々とした部屋。バルコニーから見下ろす風景は、3つのプールを配したガーデン、プールサイドのレストラン、バー、敷地内に点在するヴィラ、それらを取り囲む(人の手の入った)熱帯雨林、そして(リゾートっぽくない)貨物船が停泊するシンガポール海峡とインドネシアの島々。室内には大型の液晶テレビ、i-pod対応のオーディオシステム、(アルコールは入っていないが)冷蔵内のドリンク無料サービス。ライブラリーでは午後のハイティ、夕方からカクテル無料サービスなど、至れり尽くせり。24時間利用可能なジムなどをチェックし終えた妻は、「このホテルから出ないよ!」と早々に宣言。

24時間利用可能なジムデイベッド付きのバー宿泊初日。チャイニーズレストラン「カッシア」での夕食後に、「ザ・ライブラリー」へ。文字通り、AVソフトの貸出、写真集などの閲覧、インターネットサービスなどを行うと同時に、夜はカクテルサービスを行っている宿泊者専用のスペース。ゆったりと落着いたコロニアル調の室内。夕食時に満腹だと言いながらデザートまで平らげたのに、ここでさらに妻はコーヒーとスイーツ、アル中の私はデザートワインをいただく。ふぅ。余りに好みとぴったりの建築、インテリア、調度品などのデザインに浮き足立つぐらいに興奮していたお気楽夫婦。ここでようやく落着いてホテルライフを楽しみ始める。そして2杯目のワイン。ふぅ♡、身体に沈殿したストレスがゆっくりと抜けていく。デイベッドのある“まったりセクシー系”のボブズ・バーやジムを眺めながら部屋に戻る。どの場所からも、どの角度からも、建物が美しく見えるのは恋に落ちてしまった者の弱み。

XO醤とアミューズ美しいギョーザテルに求めるモノは人によって異なる。ホテルの選び方もその目的によって変わる。そして、選んだ部屋のタイプ、選んだレストランとメニュー、滞在中の天気、受けたサービスによって印象や評価が変わるのは当然。ホテルでの滞在そのもの、そして滞在中の心地良さを旅の目的としているお気楽夫婦。だからこそホテル選びには万全を期す。情報を収集する。想像力を働かせる。そして、このカペラを選び、実際に滞在し、恋をした。人によってはC/Pの悪い(高い)ホテルという評価かもしれない。サービスに繊細さが足りないというかもしれない。けれど、恋をした者たちは強い。恋愛に慣れている2人は決して盲目にはならないけれど、許すことができる。

日からのホテルをキャンセルして、ここにずっと延泊するってのはどうかな」妻の冗談めいた呟きが、お気楽夫婦の評価だった。

ミッドタウンで味わう香港「SILIN 火龍園」

XO醤絶好のつまみIGAさんご夫妻が吉祥寺通だったことにびっくり!今度情報交換しましょう」SILINの総支配人、根本さんからのメッセージ。はい、しましょう。…という訳で、ある週末、東京ミッドタウン「SILIN 火龍園」を訪ねた。店の前で根本さんが迎えてくれる。「何だか、お呼び立てしてしまったみたいで」はい、お呼び立てされました。それも、実に良いタイミングで。今の季節は、食事をしながら目の前のミッドタウン・ガーデンで開催される「水花火」を眺めることができる。水花火を観ながらSILINで食事しなきゃね、と妻と話をしていたところ。その上、偶然前日に『チューボー…』を観ていたら、世田谷の火龍園のシェフが街の達人として登場。「これは神の啓示だ!明日SILINに行くよ!」と意気込む妻。これは行かねばなるまい。

白鶏午皿白鶏取り分け飲物はどうなさいますか」メニューを眺める。ん?ハッピーアワー?!どうやら平日に実施して好評だったサービスを週末にも始めたらしい。プレミアモルツをチョイス。嬉しいワンドリンク、ワンコイン。おや、前菜の小皿もハッピーアワーメニューに。これまた嬉しい。2人でいろいろ食べたい小食で食いしん坊のお気楽夫婦。小盆のメニューが多いのはありがたい。お約束の絶品XO醤と一緒に茹で鶏をお願いする。そこに「焼物を取っておきましょうか」と根本さんがやって来る。お願いします。これまたお約束。「福臨門から焼物師が来たんですよ」へぇ、香港の?「銀座なんですけど、なかなか良いんですよ」それは楽しみだ。他にも、鱸の醤油蒸し、アオリイカと空芯菜の蝦醤炒めをオーダー。

焼皮付き豚かりかりジューシーXO醤をつまみながらビールをぐびり。相変わらず旨い。流行の食べるラー油よりも早かった、この店の食べるXO醤。さっぱりとした鶏に合わせても抜群に旨い。続いておススメの皮付き豚の焼物が登場。ほほぉ、美味しそうだ。ひとくち大の豚をぱくり。うっ!旨いっ!カリカリの皮、ジューシーな肉、その間にある脂の甘さ。抜群の焼き加減。添えられたピーナッツとカラシとぴったり。思わず妻と目を交わす。旨いね。「うん、これは凄い♬」妻も唸る。これは香港まで行かなくとも味わえる香港だ。美味しいですねぇ♡根本さんに伝えると、にっこり。「銀座の福臨門より、この店で食べる方が美味しいね」と妻が頷く。お気楽夫婦が求める味は、リラックスして食べられる空気にも味付けがある。余りの仰々しさ、空気の重さは美味の一部を失う。その点、この店の空気は軽やか。

すずきの醤油蒸しアオリイカの蝦醤通菜炒めIGAさん、吉祥寺の麦グループの店で…」根本さんがにこやかにやって来る。総支配人たる彼が創る、良い意味での空気の軽やかさが、この店の味に深みこそ加えないけれど、広がりを持たせる。彼が最近の香港では一番のおススメだという龍景軒にも似た、心地良いサービスと食材の良さ、そして美味の組合せ。そう言えば、フォーシーズンズホテル香港の龍景軒からレーザー光線のショー「シンフォニー・オブ・ライツ」が眺められた。ミッドタウンのSILIN火龍園の窓際の席、目の前でちょうど始まったレーザー光線と噴水のショー。15分間の水花火を眺める。香港に行かなくても、ミッドタウンで味わう香港があるなぁ。「あるねぇ」…お気楽夫婦が揃って呟いた。

Hi!大王『スリー・ベルズ』さらば!M.O.P.『さらば八月のうた』

スリーベルズ藤ひろひと。彼こそが「大王」と自ら名乗り、周囲にもそう呼ばれている作家・演出家。1998年、川下大洋と共に結成した「Piper」の公演は、お気楽夫婦は欠かさず観ている。G2プロデュース公演、パルコプロデュース公演、Agape Store『Big Biz』3部作などの作品を手がけた。また、彼の名前を『パコと魔法の絵本』の原作者として初めて知った方もいるかもしれない。彼の創る舞台は、楽しい。彼の芝居は、実に楽しそうだ。そう、役者としても独特のキャラクター(作家「後藤ひろひと」として出演することが多い)丸出し。毒はない、とは言えない。けれど、脂や灰汁はたっぷり。そんなところが、好みは分かれるかもしれない。ことば遊びも野田と違って、ストレート。分かりやすいし、面白い。そして、巧い。

スリーベルズチラシjpg藤ひろひと×パルコ劇場の企画第4弾、『スリー・ベルズ』を観た。これまでの3作(『恐竜と隣人のポルカ』など)いずれも好きな作品だったけれど、これは傑作。3つの物語が並行して展開し、絡み合い、最後にはひとつに帰結する。CAST全員が巧いし、魅力的。これは数多く芝居を観ているお気楽夫婦としても珍しい。特に、ウーイェイよしたか(スマイル)が抜群に魅力的。バイクの事故で15年間眠っていた彼が目覚める現代は、彼にとって「未来」の世界。何もかもが新鮮に映る彼の瞳を通して見る「今」も悪いばかりではないなと思わせる熱演。たんたんとスーパーの店長を演じる石丸謙二郎が3つの物語の帰結点にいて、エンディングの文字通りベルを鳴らす。夏の季節に、それも酷暑の夏に、クリスマスの物語も悪くない。人気上昇中の大王の作品はこれからも楽しみだ。

さらば八月のうたリー・ベルズ』観劇の前日、劇団M.O.P.『さらば八月のうた』を観た。スカッシュのスクールが休みになると、妻は無茶なスケジュールを立てる。作・演出は、マキノ・ノゾミ。26年間続いた主宰劇団をこの夏に解散。これが最終公演。つくづく良い劇団だった。彼らに、もっと早く会いたかった。もっと彼らの芝居を観ておきたかった。お気楽夫婦が初めてマキノの芝居を観たのは、2000年。俳優座プロデュース公演『高き彼物』…がつんとやられた。それ以降、マキノ作品、舞台を数多く観てきた。けれど、マキノの原点であり、活動の芯は劇団M.O.P.。それがもう観られない。出演者全員がタキシード姿でのエンディングのブラス演奏。物語とは全く関係のない、けれどとても楽しそうな演奏も好きだった。

最後の挨拶らば八月のうた』は、劇団M.O.P.最後の公演に相応しい味わい深い作品だった。ひとつの歌、一隻の船を通じて戦前、戦中、戦後の各年代の物語が複雑に絡み合い、綴られる。1人2役のキムラ緑子。この劇団は彼女の劇団だったんだなぁ。しみじみと、そんな風に思わせる存在感。地ではないかと思わせる三上市郎の放埒なキャラクターも、小市慢太郎の美声も、脇を固めるキャストも、それぞれの芝居を噛みしめた。そして、説明っぽい部分はあったものの、それも自然に観られる大団円。いつもの通り良い芝居を観終わった後の満足感と、今回だけはもうこのキャスティングでは観られないという淋しさが交じり合う。「野田くんがいるよ!」妻が声を弾ませる。え?野田秀樹?「リリパの野田くん!ラッキー!」野田晋市ファンの妻は大喜び。最後の公演ということで、演劇関係者の顔も多く見られた。現実的な妻はすっかり淋しさよりも嬉しさが勝ったらしい。

ころで、これでチケットの手持ちがなくなったんだよね」ここ数年の間でめったになかった状況。自転車キンクリートの公演もなく、AGAPE storeが解散、三谷のチケットは取れない…。「どこか新しい劇団を探そうかなぁ」妻が芝居のチラシの束を眺めながら呟いた。

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SINCE 1.May 2005