懐かしの昭和『エキスポ』加藤健一事務所
2006年 3 月11日(土)
ここ数年、“昭和”という時代が取り上げられることが多い。昨年ロングラン上映された『ALWAYS 三丁目の夕日』は、第29回日本アカデミー賞の12部門を獲得した。お気楽夫婦も、東京タワーが建設中の、あの印象的なシーンを観たくて映画館に足を運んだ。映画を観た帰りに新宿三丁目の「どん底」の“昭和”を髣髴させる店内で余韻を楽しみ、互いの子供の頃の話をひとくさり。メニューに残る「ナポリタン」や「レーズンバター」に目を潤ませ、名物の「ミックスピザ」を食べながら。(ちなみに、東京タワーは私と同い年。江國香織やリリー・フランキーが相次いで同名の小説を書いたのは不思議)
昨年は愛知万博の年。しかし、ある年齢以上の方にとって「万博」と言えば、大阪万博。EXPO’70。(前年、アポロ11号が月面に着陸した。ポルノ・グラフィティが歌う「アポロ」で知っている若い子も多いだろうけど。しっかし、♪僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう♪だもんなぁ・・・)そして、大阪万博と言えば、三波春夫が歌う「世界の国からこんにちは」。これが(公式ソングではないけど)EXPO’70を象徴する曲。実に脳天気。70年代という時代を、当時の日本を表現しているメロディと歌詞。
そんな脳天気な曲がBGMというか、物語の背景として使われた芝居、『エキスポ』を観た。加藤健一事務所VOL.62公演。彼の芝居は、安心して観ていられる。いろんな意味で。ストーリーに破綻がなく、ハートウォーミングで、悲しい物語でも救いがあり、笑いがある。1988年のVOL.7公演『ザ・シェルター』からずっと観続けている。公演を重ねる度に、加藤健一も、私も、観客も年齢を重ねてきたのは当然だが、芝居自体はいつも新鮮。1970年の宮崎県の田舎町を舞台にした今回の脚本も、加藤忍、新井康弘、富本牧子らのバラエティに富んだキャストが実にいい。ただ懐かしいだけじゃなく、あの頃は良かったではなく、当時も今も変わらない親と子、田舎と都会、男女の関係を描くコメディ。
「“カトケン”を観終わると、良い芝居と出会って良かったなぁって思うし、これからもずっと一緒に年齢とっていくって感じだよなぁ。あ、まるで俺たち二人みたい?」「そうだねぇ。固定した劇団員じゃなくて、プロデュース公演形式だから新鮮なキャスティングできるんだよねぇ。カトケン自身は年齢とっていってもね」あのぉ~聞いてる?かみ合っていないんだけど・・・。ま、“昭和”と一緒に、二人一緒に、ずっとお気楽に行こうか。「あ、先にいなくなったら、別の男探しちゃうからね!」話、ちゃんと聞いてるじゃない!