博多の達人再び「悦楽おでん」

Photo_105マイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」以降、恐竜の生態に興味を持ち、ティラノサウルス・レックスを“T・レックス”と呼ぶ子供たちが増えたことは、マーク・ボラン好きのオヤヂとしてかなり嬉しい。「Children of the revolution」「20th century boy」など、グラマラスなメロディーが次々に浮かぶ。「Star man」がヒットしたデビッド・ボウイーと共に“グラム・ロック”と呼ばれたジャンルで世界中を席捲した70年代…。いかん、いかん。遠い目になってしまった。

Photo_106そんなことを思い出したきっかけは、福岡出張で突然空いてしまった時間に出かけた<いのちのたび博物館>の展示。JRスペースワールド駅前にある自然史と歴史の博物館。地球が誕生してから、生物が生まれ、恐竜の時代を経て、人類が誕生し“ひと”の歴史が始まる…という“命”の旅を追う展示が興味深い。中生代の展示コーナーにはセイスモサウルスやT・Rexの骨格標本がどかんと並び、白亜紀ゾーンではコンピュータ制御の恐竜たちがリアルに動く、巨大なジオラマが大迫力。短時間の鑑賞に心残りながら仕事に戻る。

Photo_1072日間で8件の訪問という慌しい日程を終え、最後の“会合”へ。“博多の達人たち”との会合は、もちろんお酒付き、美味しいもの付き。達人が今回選んでくれたテーマは「おでん」。悦子さんという若い店主が1人で切り盛りする「小料理 悦」は西中洲の路地裏の小さな店。今年の1月に開店したばかりながら、週末には予約が必要な人気店。達人のかつての同僚が編集する地元情報誌に掲載されてしまうことを聞きつけ、雑誌発売前に行こう!と訪れた店だという。

ひとつひとつのおでんのタネが実に繊細。煮崩れずほこほこに柔らかく美しいダイコン。王道。牛スジは柚子胡椒でいただく。これが、実に上品で繊細な味付け。旨い。そして、粗挽胡椒などの香辛料が練りこまれた“つくね”が飛び上がる程、旨いっ。驚きの味。幸せな味。そう声を掛けると、「ありがとうございます。東京には美味しい店が多かけん、勉強に行きたかと思って…」と謙虚なお答え。いやいや、これ程の味をこの値段で出せるのは素晴らしい。逆に東京の店に見習って欲しい。さすが達人、外さない。それにしても、いつもながらに、味は人。料理人、一緒に飲み食べる連れで味は変わる。今回もF大のT教授がご一緒。二人の達人との席は、会話を味わい、酒と料理を心から堪能できる。その日も店の名前そのもの“悦楽”に満ちた博多の夜だった。

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