エンタメと食事の関係『パッチギ!』『薮原検校』
2007年 6 月03日(日)
作品には当たり外れがある。それはよーく分かっている。…1週間に合計3本の映画と芝居を観た。1本目の映画作品は『パッチギ!LOVE&PEACE』。1作目の『パッチギ!』を観て、沢尻エリカの可憐さにクラクラきてしまったオヤヂは、2作目の中村ゆりに期待してのこのこ出掛けていった。優れた1作目を超えるのは大変ですよね、井筒さん。うんうん、悪くはないですよ。中村ゆりも。藤井隆も。ちょっと出てきただけのビッグネームの方々も。芸能界を敢えてステレオタイプに描き、ちょっと笑ってしまったけれど。
けれど、1作目の悲しいぐらい可笑しい徹底したやりきれなさと明るさが好きだった。本物の恋愛が、軽々と国籍や差別や周囲の目を超えてしまう爽快感。松山康介(塩谷瞬)の初々しさと、キョンジャ(沢尻エリカ)の芯の強さと同居する可憐さにまいってしまった。(他の作品での彼女の変貌を見ていると、騙されてしまった!さすが女優だ!…と思う。あの可憐なキョンジャはいったいどこへ?)「イムジン河」が象徴したメッセージが浸みた。大友康平やオダギリ・ジョーの使い方も卑怯なぐらい上手かった。そうか、期待しすぎたのかもしれない。1作目のDVDでも買って観直そう。
期待し過ぎたと言えば『薮原検校』も同様。久しぶりにBunkamuraシアターコクーンのチケットが取れた。井上ひさし作、蜷川幸雄演出、宇崎竜童の音楽とくれば、期待しない方がどうかしている。なのに妻は、冒頭の見せ場である古田新太の長セリフで逆にテンションが下がり、こくこく眠り始めた。それどころか、幕間で「帰ろうよぉ、つまんない」とのたまう。な、なんて大胆な。やっと取れたチケット。それも安くはない。「だって時間の方が大事じゃない」う~む。豪胆なやつ。小心者で貧乏性の私は、どきどきしながら劇場を後にする。確かに私も居眠りをしてしまったけど、2幕が一発逆転で面白かったかもしれないじゃない?「あの芝居、私たちに向いてないよ。最近の蜷川作品には厭きてきたね」げ、これまた大胆な発言。業界関係者として問題あり?「だって私、営業じゃないし」
そんな2人が2本目に観た映画。タイトルは書けない。さすがに、感想も評価も書けない。友人たちにチケットを買ってもらった。まだこれから観る予定の友人もいる。面白いと言ってくれた友人もいた。映画に何を求めるかは人によって違う。しかし、だから、もしかしたら、だって、え~いっ、今のうちに謝っておく。ごめんなさい。その日の食事は、東急本店「天一」のカウンタでお好み天ぷら。気持を切換えて楽しまないと。「え~ん、美味しいよぉ。やっとバランス取れた♪」食べ損ねたと思っていた“稚鮎”の天ぷらを齧りながら、妻が微笑んだ。美味しい食事は、優れたエンタメ作品と同様に心と身体に優しい。