発想の転換「宮崎産完熟マンゴー」
2007年 7 月08日(日)
日経トレンディ07年上半期ヒット商品の第4位に、<東国原知事>が選ばれた。え?彼は“商品”だったんだ?という突っ込みをしてしまったら、日経トレンディの思うつぼ。まぁ、ある意味商品と言っても良いかもしれないが、東国原知事が薦める宮崎県産の地鶏やマンゴーがヒットしたのは間違いない。(宮崎県庁までツアーの見学コースになるのだから凄い)特に宮崎県産のマンゴーは“マンゴーブーム”にも乗って、外国産の輸入品と差別化した品質と価格設定でシェアを伸ばした。
ちょっと前までだったら、え?国産のマンゴー?美味しいの?というのが一般的な日本人の感想だったはず。それを産地が近い(国内だから当然)ことを利点に、“完熟”したマンゴーを全国に流通させ、高品質なイメージで売り出した。さらには1個で1万円以上するものもある<太陽のタマゴ>というブランド品まで登場。マスコミの取材も相次ぎ、ひとつひとつネットに包み、熟した果実が落下するところまで映像で拡がった。これは見事。希少性と手間暇掛けた感が溢れる。一度ブランド化したらまずは成功。1個数万円のメロンを贈答用に買い求める国民性だから、自分で買う人は稀にしても、ギフト用には売れる。1個数千円でも、数万円でも。
そんな“おこぼれ”が、お気楽夫婦のところにもやってきた。妻の会社の同僚がいただいたお中元のおすそ分け。さすがに<太陽のタマゴ>ではなかったが、堂々と<JA西都>のシールが誇らしげに光り輝いていた。妻が持ち帰った袋を開けると、中から完熟したマンゴーの甘い香りが噴き出した。さっそく冷蔵庫に移し替え、食べ頃を待つ。と言っても完熟マンゴーな訳で、熟すのを待つのではなく、冷えるのを待つだけ。ヒットした要因はここにもある。食べ頃が分からない南の島系のフルーツ。キウイにしても、メロンにしても、あ!早過ぎたと失意のまま固い果実を食べた経験は誰にもあるはず。
前日、「明日の朝はマンゴー食べるから5分だけ早く起こしてね♪」と眠りについた妻が、嬉しそうにマンゴーを剥き、皿に並べる。キッチンに熟れた甘い香りが充満する。マンゴーの切れ端を口に入れた妻が「甘ぁ~~いっ!」と叫ぶ。どれどれと私も一口。濃厚でフレッシュ、甘さのバランスが良い。まさに食べ頃。甘旨い冷えた果実が脳天を直撃する。「今度は<佐藤錦>もたっぷり食べたいなぁ・・・」さくらんぼもブランド化に成功した果物。美しく並べられた果実は、いくつもの「0」が美しく並んだ価格になる。ソーメンに付いているような缶詰のチェリーは除けて食べないのに、なぜ生の果実になると価値観がこうも変るのか。「だってフレッシュな佐藤錦は美味しいじゃない」・・・シンプル。