Archive for 3 月 25th, 2012

街の引力、お店の魅力「蜀彩(しょくさい)」経堂

hachinosuる日、ばったりと前職の後輩に遇った。小田急線の経堂駅、昨年完成したばかりの駅ビル。彼は部下を連れて自社施設を視察中。ということで、もちろん彼らは仕事中。私はと言えば、ノーギャラの仕事である地元の「街づくり」のために、経堂の街をぶらぶらと事例研究の散歩中。仕事中なのか、街をぶらぶらに重きがあるのか、我ながらビミョー。そして名刺交換。ふむふむ、自社ポイント系のお仕事なのか、それは今後は関わりがありそうだねと立ち話をした後で、その場は別れた。私は知人にばったりと遭うことが得意だ。街を歩いていると思わぬところで知り合いに出くわす。多い時には、日に何度も。とは言え、それ以降に縁がある場合も、それっきりの場合もある。小田急氏の場合は、縁があった。それからしばらく経ったある日、彼からメールが届いた。仕事で絡みがありそうだ。さっそく飲みの約束をする。場所は、偶然出会った経堂の街。

TonPaiLou田急氏を知る妻を一緒にと誘うと、経堂だったら行きたい店があるという。「蜀彩(しょくさい)」という四川料理の店らしい。さっそく予約して訪問。店は小田急線の経堂駅から数分。農大通り沿いにある小さな看板を目印に階段を上る。ドアを開けるとこぢんまりとした店は先客の活気で溢れ、ほぼ満席。遅れると連絡があった妻を待ちながら、仕事の話は済ませておこうと話し込む。しばらくして妻が到着。嬉々としてメニューを眺め、いくつかチョイス。夫妻肺片(ハチノス、牛タン、牛スネの辛味ソース和え)、雲白肉(ゆで豚肉の特製辛味にんにくソース)などをオーダー。出て来た料理はいかにも辛そうな面構え。怯えながらもひと口。んんんっ旨いっ!ラー油や唐辛子の辣(ラー:辛味)、花椒の麻味(マーウェイ)という痺れる辛さ、食材の鮮(シェン)旨さが一気に口の中に溢れる。辛さだけではなく、肉の旨味に甘みさえ感じる。これは素晴らしい。

Tomyou味しい店の料理には中毒性がある。相性が良いと感じた店には、すぐにまた来なくちゃ!と思わせる引力がある。蜀彩はまさしくそんな店だった。蜀彩の辛旨の深い味わいは、舌と脳中枢に刻み込まれた。舌に辛旨の後味がからみつく。美味の記憶が断続的に蘇る。いかんっ!どうしてもまた食べたい。我慢できんっ!小田急氏と訪問した2日後、スカッシュ仲間を誘い3人で再訪した。前回の訪問で気になりながらも食べられなかったメニューを中心に、店の看板メニューらしい口水鶏(よだれ鶏)、四川の王道として押さえておきたい麻婆豆腐などをセレクト。まずは、よだれ鶏。くはぁ〜っと辛旨い。名前の通り、口の中に旨味とともに涎が溢れる。多くの香辛料で複雑に辛く香りの良いソースの中にピーナッツ、胡麻、サツマイモ…えっ?芋?これがまた絶妙なハーモニー。インパクトある旨さ。クセになる辛さ。

Yodaredoriしてこの店、四川の辛い料理だけではなく、豆苗炒め、卵とトマト炒め、白レバーの赤酒漬けなどの脇役?もレベルが高い。「前の時もそうだったんだけど、料理が出てくるの速いのよね」「そうなんですよね、私もそう思ってました」と妻と友人も納得。確かに、2回転目の席もある程の賑わいにも関わらず、実に良いテンポで料理が出て来るのだ。これも好印象。シェフ自らもフロアに出て来るサービスはまだ固さが残るけれど、これは間違いなく良い店だ。頻繁に訪れたくなる店だ。デザートの盛り合わせまで食べ切った3人、満足感を身体一杯に詰め込んで街を歩く。友人と別れた後、駅前の大型スーパーへ。小田急電鉄が操作場などの広大な土地を持っていたからこその再開発ではあるものの、経堂駅前周辺の商業施設などの充実ぶりは素晴らしい。画一的な大資本のテナントが目立つけれど、街が賑わえば新たな出店もある。街に彩りが加わる。繁盛店が増えれば街も賑わう。街と店がそれぞれ魅力を持ち、人を引きつける引力を持つ好循環。

堂に引っ越す?スポーツクラブもあるし、パクチーハウスもあるし…」ちょっと待って、ウチの街も頑張ってるし、10年も経てば京王線も立体化されて、踏切がなくなってね…。「10年かぁ〜」いささか不満そうな妻。う〜む、確かに魅力的な街ではある。けれど、負けるな!地元の町づくり!ってことで(苦笑)。

■食いしん坊夫婦の御用達 「中国四川料理 蜀彩」 *お店のデータなどを掲載

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SINCE 1.May 2005