Merry X’mas!!「クリスマスのおくりもの」
2012年 12 月24日(月)
今年もクリスマスの季節がやって来た。12月25日はキリスト生誕記念日で、24日は前夜祭だというくらいは誰もが知っている。けれど、知識はそこまで。なぜクリスマスツリーを飾るのか、プレゼントを贈り合うのか、クリスマスケーキを食べるのか。日本人のほとんどは知らない。けれど、それで良いのだ。クリスマスはもはや宗教行事ではないし、季節の一大イベント。それぞれの起源は聖書まで遡る訳ではない。ツリーを飾るのも、サンタクロースも、クリスマスケーキも、各時代、各国で行われていたものが広まり混ざり合い、現在の日本のクリスマスに進化した。
日本における宗教観は、多神教とも言えないほど緩く雑多。ハロウィンやクリスマスを祝い、お正月には(おそらく年に1度だけのお参りであろう)初詣をして、節分には豆まきをして、七夕飾りを楽しむ。そのほとんどが宗教色をなくし、表象的な季節のイベント性だけが強調される。地域に根付いたお祭りも、他の地域から訪れる観光客にとっては賑やかなイベントであることとほぼ同義。これが日本だけかと思えば、この季節に何度か訪れた香港も同様。街にはクリスマスツリーやイルミネーションが溢れ、サンタクロースが闊歩する。世界共通のなんとも平和な光景だ。
例えば、日本では寺の住職や神社の宮司が子供にクリスマスプレゼントをせがまれたら、NOとは言わない。…と思う。「ウチは仏教だから」という理由でクリスマスケーキを食べないというのは、ギャグの世界にしか存在しない。アメリカでは、クリスマスを祝うことのない宗教に配慮し、「Merry Christmas」の代わりに「Happy Holidays!」ということが定着した。古くは第1次世界大戦の最中、前線の英仏軍と対峙するドイツ軍の間でクリスマスに休戦を行ったというエピソード。イスラム教国であるトルコでもクリスマスを祝うという。…クリスマスは国も宗教の壁も超えるのか。
お気楽夫婦の住むマンションのエントランスにもクリスマスツリーが飾られる。大きなツリーを飾れるほど広くはない住居ということもあり、お気楽妻もこの素朴なツリーがお気に入り。寒い冬の空気を温かくする光景。前夜の酔いがたっぷりと残った頭でふと思う。良いよなぁ。なんだかんだ言っても、お気楽で幸福なこの日本という国は。政権が変わっても、震災の復興が進まないことに憂いても、クリスマスには休戦だ。ジョン・レノンの「Happy Xmas(War is Over)」が頭の中でリフレインする。
「プレゼントはツリーと一緒にイブまで飾っておかなきゃ」クリスマスが近づくと、お互いのプレゼントを一緒に選ぶお気楽夫婦。そして24日まで開けずにスタンバイ。今年もこうしてお気楽な夫婦でいられた。穏やかな年末を迎えることができたことを感謝。それこそがクリスマスの贈り物。