遠州メシの記録「割烹 弁いち、鰻菜詩」
2013年 5 月12日(日)
5月の連休、お気楽夫婦は浜松に向うのが恒例。一人娘の妻は、両親の住む街に帰る度に子供に還る旅でもある。週末の夜、いつもならビールにワイン、おつまみを大量に買込み新幹線宴会を行うところ、今回はワインのミニボトル1本で我慢。それと言うのも、浜松に着いてすぐに向う店があったから。浜松の名店「割烹 弁いち」が、その店。妻の故郷への旅は、弁いちで美味しいお酒と料理を味わう旅でもある。日本各地の季節の食材を、最高のコンディションで取り揃え、食材の旨味を最大限に引き出す料理にする。そしてその料理に合わせた日本酒が用意されている。いつものように個室のカウンタ席に座り、ご主人のチョイスに身を委ねる。すると、いつものように幸福な時間がやって来る。お気楽夫婦が愛する、浜松の大切な店。
ある日の浜松ランチは桜エビのかき揚げ蕎麦。蕎麦中心のメニューの、なんてことはないファミリーレストラン。そんな店に静岡名産の桜エビがあるのが嬉しくなる。冷たい蕎麦の上に、食べやすく小さめに揚げられた桜エビのかき揚げ、おろしダイコン、さやえんどう、レモン。色合いも美しく、涼味と食欲を誘う一品。期待していなかったから、尚更うんまい。思わずビールを頼もうとして踏みとどまる。昼食の後には浜松滞在中に毎日通うスポーツクラブに行かねば、というスケジュール。腰を痛めた義母がリハビリとしてプールでウォーキングするために、毎日義父が付き添うのだ。そこに便乗して汗を流すお気楽夫婦。地元の美味しいモノを食べ続ける代わりに、しっかりとトレーニング。ここ数年ほどのお約束だ。
浜松と言えば、浜名湖の鰻。浜松市の1世帯当りの鰻の蒲焼きの消費量は日本一とのこと。餃子も宇都宮を上回り日本一の消費量だから、鰻や餃子をたっぷり食べて(妻のような)元気な浜松っ子が育つのかと納得しつつ、ご近所に新しくできた鰻屋へ。「鰻菜詩(うなしー)」という名前の、スイーツ店と併設されたこぢゃれた店構え。清潔で上品な店内。ワインセラーや日本酒クーラーが店内に配され、さり気なく酒の品揃えをアピール。ふんふん、メニューも豊富。妻はウナ茶(名古屋で言う櫃まぶし)をオーダー。肝焼きを頬張りワインをぐびり。良い感じ。そこにウナギが美味しそうに盛付けられたウナ茶が登場。表面がかりっとして、内面はふんわりとしたウナギ、これだよ。ん、旨い。これは良い店を発見してもらった。義父母に感謝。
「ポテチ買ってあるよ」お酒を飲まない義父母。けれど、酒飲みの私を気遣い、ヱビスを買い置き、つまみを揃えていつも待っていてくれる。大げさ過ぎるくらいに喜び、お礼を言い、美味しそうに飲み、食べる。それが私の役割。今回は地元名産三ヶ日みかん味のポテトチップス。この地元ポテチシリーズはお気楽夫婦のお気に入り。以前、静岡茶味のポテチがお土産として持ち帰った仲間たちにも好評だった。どこに連れて行こうか、どこで食べようか。娘が帰って来るのを心待ちにし、どうやって楽しませようかといつも心を砕く義父母。感情体温が低く、歓びのリアクションが薄い妻の代わりに“喜び組”となる。喜んだ私に対してリアクションが薄い義父母だけれど、毎回違った趣向で待ち受けていてくれるから、きっと嬉しいのだろうと納得する。
「お疲れさまでした。今回もありがとうね」東京に戻る新幹線の車内で、娘から妻に戻りながらひと言。このひと言のために良い婿殿をやっているようなもの。浜松は妻の故郷であり、地元の美味しい味覚を堪能できる馴染みの旅行先でもある。そしてまた新たに遠州浜松のソウルフードが記録された。次は、秋の頃に!
■「食いしん坊夫婦の御用達」*「割烹弁いち」の詳細データ、訪問記