Archive for 5 月 18th, 2013

祭の夜に「浜松まつり」

HamamatsuMatsuri年5月の連休にお気楽妻の故郷で行われる「初子」を祝う「浜松まつり」。ゴールデンウィークの人出予想で毎年TOP10に入る人気のイベントだ。神社や寺院の祭礼ではなく、長年続く住民による市民祭。日中は各町内の家々の長男誕生を祝い「初凧」を揚げ、凧合戦を行う大凧を挙げる。そして夜は各町内自慢の御殿屋台と呼ばれる絢爛豪華な山車が街に繰り出し、その意匠を競う。御殿屋台と共に、提灯を手にした法被姿の男たち、女たち、子供たちが練って歩く。ラッパに合わせて「おいちょ、おいちょっ」とかけ声をかけ、すり足で練って歩く。初子を祝う町内の家の前で練って祝い、街の中心で屋台と共にお披露目をする。そんな祭の風景が3日間続く。

Tagumiに参加する町の数は2013年で173。それぞれの町毎に凧の文様(凧じるし)があり、法被がある。参加する法被には正式なモノであることを示すワッペンが縫い付けられている。祭の期間中は誇らしげに法被を着て街を歩く祭好きたちが街のあちこちに溢れる。ファッションとして「なんちゃって法被」を着た若い女の子たちが街を闊歩していたりもする。「お久しぶりです!」お気楽夫婦の前に(正式なワッペン付きの)法被姿の男性が現れた。祭の夜に待ち合わせしていたのは前職「ぴあ」時代の後輩。転職した彼は、転職先の世界的SPA企業でのフランス駐在から帰って来たばかり。奥さまの実家のある浜松の祭に参加するのは久しぶりだと言う。

Kagumiかしい店に行ってみましょう」彼も私もこの街のチケットぴあの店舗を担当をしていたことがあり、その店に長く務めた担当者の女性に連れて行ってもらったことがある赤提灯。「あぁ、ここだ」1度か2度行ったことがあるだけの私と違い、どうやら彼は何度も足を運んだことがある気配。店の中を覗くとほぼ満席。店主のおばちゃんに挨拶だけして来ると店に入って行った彼が驚いて戻って来る。この店の常連である、かの担当者の女性が独り飲んでいたのだ。「あぁ〜っ!久しぶり!」席を詰め、ご一緒することに。10年以上お会いしていない私と違い、フランス赴任前にも連絡を入れていたらしく、後輩の近況もきちんと伝わっている。さすが、法被姿の婿殿。

Neriも浜松出身で、母の実家が××町なんです」「××のJAの近く?」妻が初めましての挨拶をすると、しばらく私を除く3人で浜松話、まつり談義。さすがの私もついて行けない超局地的ローカル話。やるなぁ婿殿。聞けば彼の奥さまは大の祭好き。この季節には血が騒ぐらしい。その日も法被を着せた幼い娘と一緒に、祭仲間たちと一緒に練りをやっているのだという。「あ、今店の前に来たそうです」さっそく何度かお会いしている彼女(と一度会っている娘さん)にご挨拶。ふぅむ。法被姿の3人家族。それぞれがなかなか似合うけれど、祭好きの奥さまはやはり板についている。渡仏前にお会いした際の奥さま然とした佇まいとは見違えるような法被姿。

同士のライバル関係とかあって、自分の町の法被の方が粋だとか、僕にとってはどうでも良いんですけど、いろいろと面白いんですよ」そう言いながらも嬉しそうに杯を干す後輩くん。彼もすっかり浜松の男。なんだか嬉しい酒だ。自分たちがささやかながら関わった街に、深い縁ができて度々訪れることになった。そして好きになった街で、お世話になった方に偶然会えて杯を交わすことができた夜。偶然も重なれば必然。またいつか、この街で。祭の夜に!

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