Archive for 6 月 8th, 2014

故郷(再)発見「加茂水族館、土門拳記念館、他」

Kamo3Kamo420年前に母が倒れ、長い闘病生活の後、7年前に逝った。その間、母の介護を続けた父は昨年母の元に旅立った。この20年間、父母を見舞うために故郷の街を訪ねる度に、新たな故郷を知ることになった。と言うよりは、故郷で過ごしたのは高校生までの18年間、離れていた期間はその倍以上だから、故郷を初めて知ったと言っても良い程。例えば、加茂水族館という小さな水族館がある。子供の頃に数回訪れた記憶がある程度の、地味でローカルな施設。それが、バブル崩壊後入館者も減り閉鎖の危機が訪れた頃に、起死回生の展示を開始した。1997年にクラゲ展示に特化した水族館となったのだ。

Kamo1Kamo22000年にはクラゲ展示館「クラネタリウム」を設置し、クラゲの種類世界一となり、人気が急上昇。マスコミなどでも多く取り上げられた。ギネス記録登録もされ、年間入場者数は最少だった97年の3倍!とV字回復。そんな施設を数年前に妻と共に訪れたことがあった。相変わらず地味ながら、くらげの展示は期待以上に美しく、くらげアイスやくらげラーメン(食べなかったが)を売店で販売するなど、徹底した展示戦略になるほどと感心した。そしてこの春、父の1周忌の際に立ち寄ると、見違えるような施設として(翌日に)新規OPENというタイミングだった。なんだか嬉しく、頑張れ!という気分。

DomonDomon2門拳記念館(1983年に開館)も故郷を離れてから知った施設。地元出身の世界的な写真家である土門拳から寄贈された作品を中心に展示する、日本で初めての写真専門の美術館。「古寺巡礼」「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」などの代表的なシリーズ作品がじっくりと楽しめる土門の作品展示はもちろん、建築としても魅力あるもので、水と光の取入れ方の美しさに館内を巡るだけでも楽しめる。借景としての公園の緑、鴨が泳ぐ池、そして鳥海山を望む風景に、良い場所だなぁと観光客気分で楽しむことができた。今回は訪れることはできなかったが、妻と一緒に訪れること数度。おススメのスポットだ。

SunsetSakata本海の夕陽が美しいと知ったのも、オトナになってから。子供の頃は、日は海に沈むというのが当たり前としか思っていなかった。その美しさも、日常的なものであり、今日見られなくても明日見られるという、永遠の時間を持っていた子供だった頃の感覚。だからこそ、オトナになり、空も海も茜色に染める夕陽に久しぶりに出会った時、その夕景に心震え、嬉しく、誇らしく、懐かしく思った。歳を取ったからでもあるけれど。そして、「山居倉庫」という庄内米を貯蔵した倉、地産地消の有名レストラン「アルケッチァーノ」、和モダンの宿「湯どの庵」など、観光客気分の帰省を続けた。

見舞いばっかりで申し訳ないねぇ」毎回の帰省はお見舞いか法事。亡くなる前の病室で、父が申し訳なさそうにお気楽妻に詫びたことがあった。「あちこち行ったり、美味しいモノ食べたり、楽しんでますよ」同行する妻は明るく答えた。あれから1年。次はどこに故郷を発見しに行こうか。

002184372

SINCE 1.May 2005