マダム!還暦♡「ビストロ トロワキャール」
2016年 2 月27日(土)
還暦とは、干支が一回りして産まれた年の干支に戻る歳を指す。十干十二支が一巡する(10と12の最小公倍数)60年が経つと、生まれ年と同じ干支になる。今年の干支は丙申(ひのえさる)だから、60年前の1956年が同じ丙申だった訳で、つまり暦(こよみ)が還る=還暦という訳だ。生まれた時に帰るという意味で、かつて魔除けとして赤い産着を使ったことから、還暦には赤い衣服を贈って祝う風習が残ったらしい。母方の祖母が還暦のお祝いをした頃、私は小学生だった。母は長女で、私が長男だったから、祖母にとっては初孫。小学生の私にとって、還暦の祖母は堂々たる“おばあちゃん”だった。60歳という年齢は途方もなく先だった。果てしなく生きた後に訪れる年齢だった。ところが…。
2月生まれの合同誕生会をやろう!そんな企画が持ち上がった。裏には、スカッシュ仲間の“マダム”の還暦をお祝いするというメインテーマ。会場は「ビストロトロワキャール」。2月生まれのスカッシュ仲間5人が週末のランチタイムに集まり、お互いにお祝いしようという体裁。飲んべメンバーは抜栓代を支払い、泡、白、赤と担当を決め、自分の好みのワインを1本持ち込んだ。そして還暦のマダムに敬意を表するため、サムシングREDを身に付け集合。赤いセーター、腕時計のベルト、赤い石のリング、赤のストライプのシャツ。「何も見つからなくって!」というメンバーには、店から赤いチェックの膝掛け。その日の主役は、息子さんからのプレゼントの真っ赤なストールを纏って。
「乾杯!誕生日おめでとう♬」2月生まれが5人!偶然とは言え、すごい割合だ。お祝い気分が倍増。料理はと言えば、相変わらず絶品のオードブル盛合せ、メインの厚切りローストビーフも感涙ものの美味しさ。ランチメニューだからお得でもある。「ところで、皆んなはそれぞれ幾つなの」最年長のマダムからならそれが聞ける。「私はIGAIGAと一回り違いで…」「私は…」スポーツをやっていることもあり、みんな年齢よりずっと若々しい。が、何と言っても驚異の60歳、マダムだ。悩むこともあるけれど、基本はポジティブ。大酒は飲むけれど、体型維持を心がける。子供たちは独立したけれど、家族の絆は強い。大らかだけど、気遣いの人。そのバランスの良さが若さの秘訣か。
「マダム、おめでとうございます♬」デザートは、店のマダムまゆみちゃんにお願いしてあったバースデーケーキ。誕生日の方の名前を教えて欲しいと言われ、書き切れないと思うけどと全員の名前を伝え、メインは60歳のマダムだと言ってあった。後はお任せ。そして、その結果は、大きく「60」と形取ったパイ生地の巨大なケーキだった。お願いしたお気楽夫婦にとってもサプライズ!その上、ケーキを乗せたプレートに全員の名前が。素晴らしい!そのタイミングでメンバーからは赤い石の付いたペンダントをプレゼント。当日出席できなかったメンバーにも参加いただいたメッセージカードを添えて。「わぁ〜、ありがとう!嬉しいなぁ」そして皆んなで記念撮影。愉しい会だ。
還暦すなわち60歳は、20歳×3ということで、3度目の成人式、新たなスタートだと言う人もいる。マダムを見ていると、その通りだと思うことがある。彼女は新たな場所で、夫婦揃って新たなスタートを切った。彼女は言う。「100歳までは40年もあるね。何かをはじめたらその頃はプロ級だね」かつては定年、引退の歳だった60歳は、今や新たに何かを始めることができる歳なのだ。「IGAちゃんもすぐだね。早くおいで!」う〜っむ、そうなのだ。還暦まであと2年。永遠に巡って来ないと思っていた60歳は、すぐ目の前にある。年齢を重ねることは決して悪くない。楽しみでもある。区切りの歳で私は何をしているんだろう。何をしたいと思っているのだろう。「呑んだくれてんじゃない?」お気楽妻の予言は正鵠を射る。