カラスミ尽くしとガレット・デ・ロワ「公現祭の夜」
2019年 1 月12日(土)
「ガレット・デ・ロワ食べたい!」フランス人でも、キリスト教徒でもないスカッシュ仲間が年末にそう宣言した。それも受付初日の朝に電話が繋がらず、1時間余りで完売するという人気店のガレット。1月3日、朝9時からの予約開始。「なかなか手ごわいですな。繋がらない」と友人からメッセージ。妻が店のサイトをチェックすると売切れの案内。そう伝えると、「67回も掛けたのに…」と涙。大丈夫。他に良い店がある♬
「予約できたよ!」代わりの人気店で無事に予約。後は公現祭の日に集合し、今年最初のスカッシュ、そしてデパ地下のデリと組み合わせた「ビストロ808」でガレットを食べるだけ。スカッシュで汗を流し、オードブルとメインの料理とワインを買い込みビストロに向かう。全ての料理を作る普段の開店よりもお気楽お手軽。新たな営業スタイル。とは言え、いつものキャロットラペと新作「タコ焼きチーズ」を準備していた。
「え〜!何これ!本当にタコ焼き?冷たいよ!あらっ、美味しい。何だろう?」ふふふ。正体はクリームチーズのカラスミ和え。小さなボール状にしたクリチに炙ったカラスミをおろして塗し、青ノリ代わりのパセリ、紅ショウガ代わりのピンクペッパーを散らしたもの。続いてグリーンアスパラのミモザサラダの上にゼータクにカラスミを振り掛けた一品。「うわぁ〜っ!このサラダもキレーで美味しいね」ワインがすすむ。
買ってきた鴨のスモークと焼き野菜サラダを盛り付ける。「美し〜!」盛り付けもまた料理。そしてダメ押しはカラスミのパスタ。オリーブオイルと粗挽きのブラックペッパー、残ったカラスミを全て投入し、固めに茹でたパスタと和えるだけ。シンプルながらカラスミを味わうにはぴったりの一皿だ。「うひゃーっ!参った!」「ゼータクだねぇ」お節と一緒に「割烹 弁いち」で購入した自家製カラスミが大活躍だ。
そしていよいよ主役の出番。ガレット・デ・ロワの登場だ。発祥はフランス。キリスト教の公現祭(1月6日にイエス・キリストの顕現を祝う祭日)が起源のお菓子。豆(フェーヴ:fève)や小さな陶製の人形をパイの中に入れて焼き、切り分けて食べる際にフェーヴが入っていた人がその日1日だけ王様や王女様になって祝福されるというもの。日本ではまだ浸透していないが、フランスでは年明けの風物詩となっている。
予約したのはマロンクリームのガレット・デ・ロワ。どの店のガレットもパイ生地の表面を繊細で綺麗な模様で飾るが、この店のマロンは中央に大小2つの栗の模様が可愛いし可笑しい。ところで、その日のメンバーは4人。散々食べて飲んだ後に、ホールのパイを食べ切るのは厳しい。「じゃあ、1/8づつ半分食べて、フェーヴが誰にも入っていなかったら残りも食べよう!」まるでロシアンルーレット。
ちなみに、ガレットを買ったパティスリーの名前は「Yu Sasage(ユウ・ササゲ)」というお気楽夫婦のご近所にある人気店。週末は店の前の小さな通りに遠方のナンバープレートを付けた高級車がよく停車している。何度かこの店のケーキを食べたスイーツ番長のスカッシュ仲間、役員秘書も太鼓判を押す店だ。「あぁ〜!入ってない!」4人が4人とも同じ声を上げる。「ん、でもここも美味しいね」では、好評につき2周目。
王様は私。けれども王冠も含め、被り物全般が悲しいぐらい似合わない。すかさず退位。被り物が何でも似合うお気楽妻に王位を譲る。むっ!悔しいほど王冠が似合う。「では、みんなで腹筋30回!」女王の命令は絶対。酔っ払い3人が揃って腹筋を始める公現祭の夜。「楽しかったぁ。ビストロ808の新スタイル、良いね♬またやって!」友人たちにも好評のデパ地下持込スタイルを取り入れて、2019年のビストロ808営業開始♬