香港の愉しみ「香港島〜街歩き・味巡り」
2020年 1 月05日(日)
お気楽夫婦の香港滞在は、ほぼ香港島に限られる。常宿のホテルも、行きつけのレストランも香港島にあり、島側でウロチョロするのが常だ。島の移動の基本はタクシー、徒歩、そしてお気に入りのトラムだ。トラムとは一部を除き冷房設備のない2階建ての路面電車。トラム同士がギリギリですれ違い、ガタゴトとのんびり走る佇まいは、まさしく香港。2階の最後尾に座り、周囲の景色を眺めながら目的地の老舗飲茶に向かう。
「蓮香茶室(Lin Heung Tea House)」は、香港でも少なくなったワゴン式の飲茶レストラン。2019年春に閉店したとの情報に淋しく思っていたが、再開発計画が延期され、以前の「蓮香楼」から「蓮香茶室」と改称し再スタート。とは言え3年契約延長とのことだから、行ける内に言っておこう!と友人たちをご案内。地元の常連客、観光客で賑わう店内。空いている席を探していると、案内係のおばちゃんが奥の方を指差す。
英語は一切通じない。「そっちじゃないよ!(想像)」と怒られているようなおばちゃんの声に些かビビりながら、相席の丸テーブルに腰を下ろす。やって来たワゴンの蒸籠の中を覗き、頷けば伝票にチェックされて目当ての料理が置かれ、執拗なおばちゃんの勧めに首を振って要らない料理を断る。攻めまくるおばちゃんたちとの戦い、ここは戦場である。そして、美味しく、お手頃で、ハマれば楽しいエンタテインメントだ。
飲茶の後は、「外にあるエスカレーターに行ってみたい!」という友人のリクエストに応え、OTC(オールド・タウン・セントラル)の街を歩く。この辺りは香港政府観光局が肝煎で整備している観光スポットが点在している。急な坂道の奥に聳える高層アパート群、道路脇の店の壁にはウォールアート、そんなインスタ映えする風景が続く。友人ご要望のミッドレベル・エスカレーターの麓にも香取慎吾のストリートアートが佇む。
人気のスポットのひとつに「大館(Tai Kwun)」がある。元は警察署、裁判所、そして何と刑務所のあった場所。そんな敷地の元の古い建物を活かしてリノベーションした、アートと歴史の拠点になっている。中庭の大きな壁にはエッシャーの無限回廊のような作品があり、思わず作中の人物を真似てポーズを取ってしまいたくなる。他にも元留置場の中にブラックなアートがあったり、アートがちょっと身近でオシャレなのだ。
建物そのものも、スッキリとして絵になる。今風に言えば(笑)、実に“映える”。中庭に立って周囲を見渡せば、街のど真ん中に突然現れた、新旧の香港が混在したテーマパークのような雰囲気。他にもOTCには、ギャラリーとショップが集まるPMQ(警察署員の宿舎だった)をはじめとしたスポットだけではなく、オシャレな店が点在するハリウッドロードなど、通りを歩くだけで楽しい街並みが続く。妻のお気に入りのエリアだ。
妻のもうひとつのお気に入りは、市場巡りだ。毎回訪れる湾仔(Wan Chai)の市場は、ワイルドなディスプレーが刺激的な肉屋や魚屋などが軒を連ねる、最も好きな市場だ。それに今回の滞在では銅鐸湾(Causeway Bay)の時代廣場(Times Square)近くでも市場を発見。「こんな場所にも市場があるんだねぇ」と嬉々とする妻。香港の裏通りをただブラブラと歩くだけで、ワクワクしてしまうお気楽夫婦だった。
香港の愉しみはお気に入りのレストランの味巡りにもある。香港のゼータク美味=龍景軒とまで思っているお気楽夫婦。今回の滞在もランチとディナーと1度づつ予約し、昼は点心、夜は焼物や海鮮を味わった。今回は特に友人たちが香港到着前に出かけたディナーが絶品。いつものオードブル 3点盛りはバランスが良く、ガチョウのローストが感涙もの。そしてお約束の茹で海老は、相変わらず指まで舐めてしまう美味しさだ。
そしてその日の食事の掉尾を飾ったのは、サービスだと出していただいた梨のデザート♫これが見目麗しいだけではなく、見た目通りに美味しいのだ。人もモノも料理も見た目は大事。洋梨型のケーキの皮を破ると、アールグレーの香りも芳しいムース!が現れれ、ひと口舌に運ぶと優しく上品な味が溶けていく。満腹だったのにスルリと食べ進んでしまう絶品デザート。広東料理のデザートとしては斬新な逸品だった。満足満腹。
夫婦一緒では18回目(出張を入れると私は20回目)の香港滞在は、こうしてあっという間に過ぎていった。前年に「来年も香港に来るよ!」と宣言した友人とも有言実行で渡香できた。夜景を眺めながら「もちろん来年も来るよ!」と今度は妻が宣う。まだまだデモは沈静化の気配がないけれど、お気楽夫婦が大好きな香港が香港であり続けていることを確かめるために、香港に通い続けよう。加油香港!