お気楽妻の卒業旅行記(1)「不思議なご縁のバンクーバー」
2024年 8 月10日(土)
昨年秋にお気楽妻が卒業(定年退職)した。40年間の社会人生活を無事に勤め上げ、(セミ)リタイアメント生活に入った。そこで、長年のハードワークを慰労し、人生の大きな節目をお祝いするために卒業旅行を企画した。元々はスターアライアンスの世界一周チケットを使って東回りでと考えていた計画を変更。まずは北米5都市を巡る3週間の旅とした。2人とも社会人になってから初めての超長期旅行。あぁ、本当に卒業したんだと実感する旅でもあった。羽田から大谷くんに見送られ、卒業のお祝いだから(若くはない身体に長時間フライトは厳しいからとも言う)とゼータクにもビジネスクラスに搭乗。最初の訪問はバンクーバー。2人ともカナダには初上陸だ。
空港で出迎えてくれていたのは、娘(のような若い友人)夫妻。実は彼の地は、育児休業中のご夫妻が(彼の)故郷バンクーバーに長期滞在中ということもあり、最初の訪問地に選んだ街だった。空港からさっそく連れて行ってくれたのは、フィッシャーマンズワーフ。潮っ気のある生活(2人とも若い頃にヨットをやっていた)をしてきたお気楽夫婦にとっては嬉しい選択。その後にご両親の暮らす家に招かれ、行きつけだと言う中華レストランで皆んな揃って食事。ゆったりとした街並みのステキなエリア。時間がゆったりと流れ、空間も余裕があり、狭い日本と比較して少しだけ?羨ましくなる。そして何より生まれ故郷を誇らしげに案内してくれる彼の笑顔が眩しかった。
彼らのオススメSPOTは他にも。翌日は、ハーバー沿いにある「グランビル・アイランド」へ。かつては先住民族の居住地であり、工場地帯だった島。その後、工場の跡地が再開発され、人気のパブリック・マーケットやショップ、ギャラリー、レストラン、ホテルなどがひしめく、オシャレでワクワクするスポットになっている。ハーバーを跨ぐ大きな橋を見上げ、行き交う船やカモメ、そして何より抜けるような北の街の青空と雲を眺めているだけで豊かな気持ちになる。マーケット内のレストランでそれぞれ好きな物をテイクアウトして、明るい日差しが注ぐイートインスペースでランチ。孫娘(のような友人の娘)もご機嫌のご様子。実に豊かで幸福な時間が流れていく。
その日の午後は、彼らの運転する車で大きな吊り橋を渡り、バラード海峡を越えてウェスト・バンクーバーへ。この街を訪ねたかったもう一つの理由、ご近所に住んで(小さなパティスリーを開いて)いた、20年来の友人が新たにその場所で店をOPENさせたのだ。「わぁ、IGAさん、久しぶり♬」店に入ると変わらぬ笑顔。そして「ハグするならこっち」と、お気楽妻とハグをして、ついでに私とも。そんなところも変わらない。日本の店の何倍もある店で、何人かの人を雇い(日本ではワンオペ)、すっかり経営者の顔になり、高級住宅街であるそのエリアの人気の店になっていた。何だか嬉しく、誇らしく、そしてカナダは遠く、また次に会える日は来るのかなと寂しさも感じる再会だった。
バンクーバー名所、名物を2つ。ツーリストが必ず訪れるのが、ガスタウンにある蒸気時計。15分毎に1度、湯気が出て音が出るらしいけれど、少なくともお気楽夫婦が待っている間はその気配もなく、どこも名所とはまぁこんなものだろうと立ち去った。もうひとつはシーフード。「Joe Fortes SEAFOOD & CHOP HOUSE」という有名店に出かけた。何気なく選んだ店だったのだけど、これが大正解。大当たり。過剰なほどに明るいカナディアンのオッサンが、これは絶対に食べなきゃあかん!と捲し立てるから、思わずオーダーしたロブスターの美味しいことったら。ムール貝のワイン蒸しも絶品。店の佇まいも“古き良き”時代のカナダ。良い感じ。それだけに大繁盛。オススメです。
そして翌朝、フェリーターミナルまで散歩してみると巨大な船が停泊している。船名を読めば「飛鳥II」ではないか!あらら。お気楽夫婦の渡航に合わせたように来航していた、遥か日本からやって来た同郷の友人(笑)にあったような気持ち。調べてみると、世界一周の旅の途中でバンクーバーはわずか1日の寄港らしい。これは奇遇。不思議なご縁だ。さらに街を歩いていると、大きくオシャレなスーパーに「IGA」の看板が。むむ?こんな巨大なスーパーチェーンを経営している覚えはないが、確かに紛うことのない私の名前。どうやらいつの間にか経営していたらしい(汗)。これまた嬉しいご縁(笑)だ。
「良い街だったね♬また来たいと思わせる魅力があるね」と珍しく手放しで誉めるお気楽妻。同感。街は比較的清潔で、自然がすぐ傍にあり、街も人も大らかでギスギスしていない。アジア系に対する偏見も少なそうだ。あくまで個人の感想ではあるが、几帳面な日本人でもストレスが溜まりにくいのではないか。じゃあ次は、2028年のLAオリンピック(正確にはスカッシュのみ)観戦に、この街を経由して来てみようか。「いいよ!」と相変わらず上から目線のお気楽な妻だった。