お気楽妻の卒業旅行記(3)「New York , New York ♬」
2024年 8 月31日(土)
1977年の古い映画の主題歌に「Theme from New York , New York」と言う曲(NYヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムで試合終了後に流す&一番搾りのCMでも使用)がある。その中の一節、“I wanna wake up , in a city that doesn’t sleep”から引用するまでもなく、ニューヨークには“眠らない街”という形容がある。お気楽妻の卒業旅行の最終目的地、ニューヨークは本当に眠らない。2人が宿泊したホテルの客室は、タイムズスクウェアを見下ろす高層階にあった。2人は朝早くから夜遅くまで、人通りの絶えないその場所を飽かず眺めていた。
ある日は話題の「ハイライン」へ出かけた。2009年に高架の廃線跡を2km以上に渡って再開発した人気のスポット。単に緑化しただけではなく、周辺の建物とデザインでコラボレーションしたり、定期的なイベントが行われていたり、何よりボランティアスタッフが手入れしている植物が瑞々しい。人の手がきちんと入った都会の中の自然。それが周辺の建物に溶け込み、思わず意図せず(お気楽夫婦も踏破した)コースを全て歩いてしまう。他の日に訪れたクイーンズの公園(NYCに住んでいた友人推薦)も心地良い場所だった。NYCの公園LOVE♬
訪れる場所によって、訪れる人によって、街の表情は大きく変わるのはどの大都市も同じだけれど、NYCはダイナミック。「Summit One Vandarvilt」という91階から93階!?に広がる全面ガラス張り(床もガラス張りだからスカートはNG)の展望フロアからの眺望と言ったらもう、高い所が好きなお気楽夫婦を狂喜乱舞させ、高所恐怖症ではない2人さえも一瞬躊躇する底無しガラスフロアに驚愕。誰がこんな企画と設計を考えるんだ!と半ば呆れる凄さ。一方で、「ワン・ワールド・トレードセンター」の静謐な内部デザインには思わず頭を垂れる。
NYCと言えば、エンタテインメントだろう!と言う事で、ブロードウェイの各劇場に歩いて行ける地の利を活かして、ミュージカルを2本鑑賞。1本目に選んだ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は大正解。映画の第1作のストーリーに忠実な舞台化で、登場人物のキャラクター設定もそのまま。有名ないくつかのセリフも(おそらく)そのまま。英語力が低い私も楽しめた。でも2本目の「MJ」はハードルが高かった。着飾ったブラックのお姉様方が「ワオ!」とか大喝采とか、大笑いしていても理解できず、歌うシーンだけが救い。やはりことばを超える美術館や博物館が良いなと、「MoMA」や「自然史博物館」でホッとする。
心配していた食事代金の高さも、お気楽夫婦は難なくクリア。例えば、アメリカンサイズの朝食(ハイアットの上級会員は何をどれだけ食べても無料!!)をTo Goでランチとシェア。コインランドリーの時間待ちで食べたヴェトナム料理やカジュアルな中華料理はお手頃で美味しかった♬その結果、ランチ用にと日本から大量に持参したカロリーメイトも食べたのは2食分のみ。そして何より楽しかったのは、ホテルの近所に何店もあったアイリッシュパブでフィッシュ&チップスの食べ比べ、ビールの飲み比べ。NYCでは美味しいものをさほど期待していなかった分、これで充分満足。訪問時、歴史的な円安だったが目を瞑ろう。
妻は6度目の、私にとっては4度目の、そして2人とも12年ぶりのNYC訪問で驚いたのは、治安が良くなった(ように思える)ことと、地下鉄が便利になったこと。ホームレスの数はフィリーの方が多かったし、ゴミも少ない。ホームにx分後に電車が来る時刻が表示され、ほぼ時間通りに来る!! 最新の車両内には次の停車駅や終点駅のデジタル表示が。君たち、やればできるじゃん!と驚く2人。とは言え、日本の交通機関の神経質なほどの正確さ、生真面目さに比べれば格段の差はあるけれど、降りる駅はどこ?とドキドキしなくても済むのは嬉しい。
こうして2人の旅は終わった。前掲の「Theme from New York , New York」にこんな一節がある。“ I want to wake up in a city that never sleeps ” 眠らない街で僕は目覚めたい。そして、こう続く。“ I’m gonna make a brand new start of it ” 僕は新たなスタートを切るつもりだ。…さぁ、僕らはどこに向かってスタートを切ろうか。
日本到着翌日の朝から2人とも会議が続くこともあり、ビジネスクラスでゆったりの帰路。そしてジェットラグを防ぐため、機内では一睡もせず映画三昧。私は見逃した『ナポレオン』や、あの感動をもう一度と『グレイテスト・ショーマン』などを鑑賞。妻は『ゴーストバスターズ』の最新作を気に入ったようで、過去の3作品を見た模様。どちらも会議には変なテンションで参加した(汗)。
これで3週間に渡るお気楽妻の卒業旅行も大きなトラブルもなく無事終了。妻の長年のハードワークを慰労する良い旅になった。旅先で友人たちにも会えた。長い人生の中に、ちょっと「、」読点を付けた気分。それでも「。」句点を付けるまでには、まだまだ時間がありそうだ。長い旅行に耐える体力も残っているようだし、自信にもなった。「それで、次はどこに行こうか」あれ?卒業旅行は終わりでは?「ふふふ」と、不敵に笑う妻。まだまだお気楽夫婦の旅は続く。