春節は横浜へ♬「WE L♡VE YOKOHAMA」
2025年 2 月13日(木)
横浜を訪れる度に思い出す友がいる。一緒にスキーやテニスをして、穂高岳や谷川岳に登り、三浦でディンギーを駆った。彼は当時まだ独身で、東横線の終点だった桜木町から弁天橋を渡った先の海上保安庁の宿舎に住んでいた。出張先の小笠原から絵葉書を送ってくれた。最初の妻との結婚披露宴では司会を務めてくれた。お気楽妻との再婚を報告した際には、赴任先の舞鶴からお祝いだと松葉ガニを贈ってくれた。新婚旅行中で受け取れず、彼の元に戻ってしまい、送り直してはもらえなかったけれど。彼の車で横浜の街をドライブしていた時に、横浜三塔のことを教えてくれた。その三塔のひとつ、ジャック(横浜市開港記念会館)のライトアップした姿を眺め、彼を思い出した。けれど彼は7年前海上保安庁を退官し、再任先の伊豆で突然の病に倒れ帰らぬ人になった。それでも嬉しいことに、ヨコハマの街には彼の気配がする。そんな街の別荘(ハイアット)に、今年の新春(旧正月)にも滞在することができた。
お気楽妻は香港が好きで、中華料理が好きで、春節のイベントが大好き。*春節で大移動する某民族の方々はお好きではないらしいが。この時期の横浜に、それも中華街(別荘から歩いてすぐ)の近くを散策するのは、どうやらワクワクを超え、血が騒ぐのを抑えれないらしい。何と今年で5年連続での(春節前後の期間)横浜滞在だ。他の季節も含め、ヨコハマの別荘滞在の際にはテーマがある。ある時は中華街の大店(重慶飯店、萬珍樓、状元樓など)を巡ったり、逆に小さくて美味しい店舗(南粤美食、徳記など)を探し歩いたり、博物館(日本新聞博物館、横浜開港資料館、日本郵船歴史博物館など)探訪だったり、パン屋(のり蔵、ブラフベーカリー、ウチキパンなど)の食べ比べなどなど。そのテーマは尽きない。今年のテーマはと言うと、中華料理に限らずお気に入りの(あるいは気になっていた)料理をいただき、芝居や映画などのエンタメ三昧。*ちなみに、今回のヨコハマ滞在中に2本の映画を観て、別荘の目の前にある「KAAT」で芝居を1本観た。
映画や芝居以外のエンタメは、例えば「日本郵船 氷川丸」の見学。ここは期待以上に(…正直に言えば、ほとんど期待していなかった)楽しい。存在は誰でも知っている、山下公園の名所でもある氷川丸は、写真は撮ったことはあっても乗船したことのない人がほとんど、だと思う。それは実にもったいない。乗るべし‼︎ 乗船して初めてその数奇な歴史や当時の乗船費用を知り、驚愕する。*1930年に横浜〜シアトルまでの貨客船として就航した当時、チャップリンなどの乗船した1等はもちろん、3等の費用ですら超高額。1等は片道250$=500円。往復で1,000円。当時の日本郵船の初任給が70円(2024年4月で約32万円だから、現在の貨幣価値として約4,500倍)だから、450万円。ちなみに1,000円で家が建つ時代だったらしい。当時の客室もそのまま再現されていて見学できるが、実に豪華。その後、病院船になったり、引き揚げ船になったり、そして1961年に現在の場所に係留され、2016年に重要文化財として指定され現在に至る。乗るべし‼︎*そして今回調べて判明したのだが、私たちが乗船した翌日に入館者が400万人に達し、豪華記念品を受け取った方がいたとのこと。惜しい‼︎
食べる方は、まずは別荘(ハイアット)1階の「ザ・ユニオンバー&ラウンジ」でのアフタヌーンティ。この季節はお約束のストリベリー三昧。マカロン、タルト、パフェ、ショートケーキ、ブランマンジェ、ムースなど、8種類のイチゴ尽くしスイーツと、キッシュやミニバーガーなどのセーボリー。見ているだけで満足してしまいそうなラインナップはスカッシュ仲間(女子コーチたち)とご一緒に。体育会系の彼女たちをも魅了する豪華さ、麗しさ、そして美味しさ。とは言え、私はしばらくスイーツは遠慮したいくらいの甘味攻撃。降参です。そして我が別荘のクラブラウンジの17時からのカクテルタイムが素晴らしい。スパークリングワインを含むアルコール類の充実はもちろん、オードブルのバリエーションが多彩で、フィンガーフードやシャルキュトリー、揚げ物やスティックサラダまで、毎晩通っても飽きが来ないと思われるメニュー。そして19時からは何種かのミニスイーツが!2夜しか行けなかったことが悔やまれる。
豪華なクラブラウンジに行けなかった理由は、毎夕ごとに気になっていた地元の人気店を訪れたから。私の誕生日に妻がお祝いしてくれたのは「ル・サロン・ド・レギューム」という店名(レギューム:フランス語で野菜)の通り、旬の野菜をふんだんに使ったクラシカルなフレンチレストラン。焼きたてのキッシュから始まって、フォアグラ、鰆、鴨、デザート、焼きたてプティガトー(マドレーヌ)まで、どれも素直で好ましい料理。“Bon Anniversaire”のメッセージも嬉しい。たまには硬めのサービスも新鮮。さして横浜在住の友人夫妻との会食も横浜の別荘滞在のお約束。サシの入った肉が苦手の友人(夫)を気遣い、今回はジビエが有名なイタリアン「オステリア・アウストロ」。ここの料理はどれも絶品、サービスや店の雰囲気も心地良く、4人で大絶賛。ジビエ中心の前菜の盛合せだけでもワインが何杯もいける。タラの白子の温製サラダ、芽キャベツと蕗の薹のフリットなど、魚介や野菜の料理も秀逸。やるな!ヨコハマ。
もちろん、中華料理は外していない。たまたま伺った移転新装なったばかりの「山東(2号店だけど、1号店は休業中)」では、名物料理の水餃子、なぜか神奈川県民が愛するサンマー麺、干し肉と野菜炒めなど、中国家庭料理と銘打つ店名通りの素朴で美味しい安定の味。大箱になってもカジュアルでお気楽な店の雰囲気と料金はそのまま。さらに人気の店になるだろうと思って通りかかった週末には長蛇の列。ますますのご繁盛を。そして、お気楽夫婦の大定番店「状元樓 横浜中華街本店」は磐石の美味しさ。古き良き上海を再現した優雅で上品な内装と相まって、安心してかつ落ち着いて食事ができる、“大人”の店。2人が大好きな干し豆腐の前菜からスタートし、ミックス焼売、昔ながらの豚の角煮、エビとニラのパイ包揚げまで、大満足。さらには本店近くに新規OPENしたばかりの洋菓子店「パティシエール状元樓」が素晴らしい。中華のエッセンスを洋菓子に加えたラインナップが新鮮。「チーズケーキ月餅」がオススメ。
春節の横浜市街には「ランタンオブジェ」と呼ばれる装飾が50ヶ所以上現れる。その内の1ヶ所は別荘の向かい、KAAT(神奈川芸術劇場)の1階アトリウムに「西遊記」をモチーフにしたもの。毎年恒例の巨大オブジェだけれど、お気楽妻のお気に入り。そして彼女が大好きな出し物の極め付けは「LION DANCE」、中国版獅子舞だ。春節の期間中に中華街で披露されるという情報に加え、このアトリウムでも横浜中華学校校友会国術団によるライオンダンスが演じられるというGood News をゲットした妻はワクワク。アトリウムの階段に座り、開演を待つ。大きなドラの音で開演。すると間近で演じる2頭の獅子が紅包という赤いお年玉*袋を受け取りながら客席へ。*集まったお年玉は能登の被災地に全額寄付するとのこと。お気楽妻の興奮はピークに。さらには、館内を動き回る獅子たちは階段を登ったり、エスカレータに乗ったり、サービスアクション満載の動き。これはたまらん。妻に満面の笑みが溢れる。
「良かったぁ‼︎ 凄かったね〜♬」妻は興奮が冷めやらぬ様子。「香港の春節もまた行きたいけど、ヨコハマの春節祭もいいね♡」香港の春節は2017年に経験済み。いつかまた渡航のチャンスがあればと目論んでいる妻。まずは横浜で満足してもらえている様子にひと安心。今年の横浜春節祭のキャッチフレーズは「2月の横浜はめでたい!」。春節はぜひヨコハマへ‼︎