Archive for 9 月 21st, 2025

北へぐるっと“乗り鉄”の旅「墓参ツアー2025夏」

Tohoku02Tohoku012025年夏、墓参の旅に出た。故人を忍ぶのが第一義ではあるが、その墓を守る弟たちや従妹を訪ねる旅でもある。まずは新潟へ。前年に亡くなった伯母の墓前を訪ね、従妹と新潟の街を巡り、酒席を共にすることが旅の最初のミッション。上越新幹線で2時間。まずは新潟名物「タレカツ丼」の名店、「とんかつ政ちゃん」へ。甘辛のタレに浸した薄切りのヒレカツが丼ご飯の上に乗っている。これがサクサクと香ばしく何とも美味しい。1枚単位でオーダーできるのも素晴らしい。期待以上の味。濃いめのソースを付けてキャベツの千切りを敷いた長野や福井のソースカツ丼とはまた違う旨さ。墓参りの後には「2002サッカーW杯」の会場となった「ビッグスワン」を見学。白鳥が飛来する鳥屋野潟に面し、その愛称の通り水面と青空に映える美しいスタジアムだ。

Tohoku03Tohoku04のミッションは父母の墓参。羽越本線沿いに、日本海を眺めつつ(迎えに来てくれた次弟の車で)山形県へ。途中、鮭の街として有名な村上市に立ち寄り、鮭づくしのランチをいただく。平安時代から朝廷に献上されていたという村上市を流れる三面川の鮭。江戸時代には村上藩の重要な財源となり、世界で初めて自然保護増殖を行なったという。昔から“塩引鮭”という独特の保存方法があり、村上に近い我が故郷でも年末になると各家々が軒先に鮭を吊るしていた。鮭の頭を使った「氷頭なます」や鮭の身を日本酒に漬けて熟成させた「酒浸し」など、あらゆる部位を大切にいただく食文化は今も残っている。そしてどれももちろん旨い。そんな村上の鮭文化を伝える博物館「いよぼや会館*」で鮭の生態を知る。*「いよ」も、「ぼや」も魚の意味。村上近辺でいよぼやと呼ばれる鮭は「魚の中の魚」という意味。そう言えば子供の頃、確かに鮭のことをそう呼んでいた。

Tohoku05Tohoku06郷で亡き父母の墓参りを済ませた後には、懐かしい顔が大勢で待っていた。地元の同級生(小中学校)たちが10人以上集まり、ミニ同級会を開いてくれた。間もなく古希(70歳)を迎えようというメンバー。昨秋、中学時代に生徒会長をやった同級生(ずば抜けて勉強もスポーツもできた彼はずっと元気でいると思っていた)が亡くなった。改めて命の限りあることを実感した。そこで、元気な内に集まろう!古希を祝う同級会をやろう!と呼びかけるために懐かしい写真を編集し、お得意のムービーを作成してきていた。それを皆んなに見てもらおうというのが私の目論見だった。「あぁ〜、そうだった」「あれは誰だ?」「ほら、お前がいるぞ!」「おぉ〜懐かしい!」と映像が流れ始めるとすぐに大盛り上がり。ムービーが終わっても「もう一度最初から!」とリクエストが入る。大成功。こんな調子で本番を迎えたい。その日は「あつみ温泉」の「萬国屋」という人気旅館(実は姪が勤務しており、還暦の同級会の会場でもあった)に宿泊。

Tohoku07Tohoku08弟の還暦を祝うのも大切なミッション。故郷鶴岡から北上した後に東へ、そして南へ。陸羽西線、奥羽本線と最上川に沿って弟の嫁ぎ先(彼はひとり娘の婿養子になった)「かみのやま温泉」までドライブ。祝いの席の会場は「古窯」という老舗旅館。前日宿泊した「萬国屋」と同系列の宿であり、末弟が披露宴を行なった記念すべき場所でもある。お祝いに集まったのは、次弟の家族など総勢9名。父母が亡くなって以降、なかなか一族全員で顔を合わせる機会も少なくなり、皆んなで集まる“理由付け”をする必要があった。そこで思いついたのが末弟の還暦祝い。そしてその前後に墓参などのスケジュールを入れたというのが今回の旅の経緯。宴席の後はのんびりと温泉に浸かり、翌日の朝食で地元の美味しい料理を堪能。温泉旅の風情を楽しんだ。

Tohoku09Tohoku10後のミッションは山形駅から仙山線に乗って仙台の(娘のような若い)友人を訪ねること。彼女とはあるきっかけで仙台で知り合い、東京で何度か一緒に食事をし、中目黒の仮住まいや自宅、パークハイアットのパーティにも来てもらった。知り合ったきっかけになったスカッシュ仲間Nくん抜きでも(笑)、お互いに会いたいと思う大切な友人になった。ランチに仙台ではお約束の牛タンを「利久のイタリアンCUCINA」という変化球でいただき、仙台の街をぶらぶらした後、夕刻に仕事帰りの友人と待合せ。「飲み喰い処 玄孫(やしゃご)」という地元で人気の居酒屋。私の故郷鶴岡にあった築60年の商家の蔵を移築したという趣ある佇まい。人気の牛すじ豆腐、地の魚の刺身の盛合せなど、シンプルで食材の力が強い料理が旨い。地元の酒も旨い。またNくん抜きでも良いから(笑)飲もうね♬と別れた楽しい時間だった。Nくん、次回はご一緒に♡

Tohoku11Tohoku12終日、上越新幹線、羽越本線(乗ってないけど)、陸羽西線(同左)、奥羽本線(同左)、仙山線と乗り継いで来た(乗ってないのに)旅を締めくくるのは、東北新幹線ではなく、あえて常磐線。新幹線なら90分で東京に到着するところを、特急で5時間を掛けて、それも途中下車までして帰ろうという“乗り鉄”らしいコース。その途中下車に選んだのは、日立駅。こんな機会でもなければ乗らない路線、降りることもない駅。世界で最も美しい駅のひとつとして知られ、駅舎から太平洋に向かって伸びるガラス張りで光に溢れた展望スペースが確かに美しい。海と空を手づかみできそうな距離感。清々しい空間だ。その先端にある「シーバーズカフェ」でランチをいただき、すっかりミーハーな(死語?)観光客気分。実際そうだしね。これにて東京へ戻りミッション完了。

こうして“旅人”たるお気楽夫婦の夏の締めくくりは、北への旅だった。滞在型のハイアット修行は(修行したくてもハイアットホテルがない)しばしお休みして、新鮮な移動旅。これもまた楽し。「なかなかハードな旅程だったね」と、さすがのお気楽妻もややお疲れ気味。かと思えば、「次はどこだっけ?京都と奈良か。それも楽しみだね♬」と新たな旅を思う妻。そして私。…つくづくタフな2人だ。

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