料理はレジャー♬「6ヶ月点検ホームパーティ」

PistachioSouchanIGAさん、今度パテを作る時に使ってみてください」馴染みのビストロで、いつものように絶品料理をいただき、帰り際にその店のシェフ聡ちゃんから手渡されたのは鮮やかなグリーンのピスタチオ。おぉ〜っ!これが秘伝のスーパーグリーンというイラン産の逸品か。食材を捏ねる時間、焼きの温度、熟成させる期間、これまで何度もアドバイスをいただき、ビストロ808のシェフ(私ですが)の作るパテドカンパーニュは、徐々にレベルアップ。「ヴァージョンアップしたパテを食べに来ない?」妻が無責任にハードルを上げ、その真偽の程を確かめてもらうため、友人たちをお誘いした。6ヶ月点検という名目を付け、リノベーションを手掛けてくれた建築家の友人も参戦。

CuisineRoastBeef100度で1時間。これが師匠から伝授された焼き時間。合挽肉、チキンのレバーペースト、タマネギやセロリのみじん切りなどと一緒に、スーパーグリーンを捏ねる。ストウブのミニオーバルにベーコンを敷き詰め、焼き上げる。焼いてから1週間ぐらいが食べ頃という師匠のアドバイスだけど、さすがに素人料理ということで3日前に作って冷蔵庫に寝かせる。ホームパーティ当日のランチに、スーシェフ(妻)が焼き上げたローストビーフと一緒に試食会。うん、ピスタチオの鮮やかなグリーンが映えて美味しそうな切り口。味もずいぶんと熟れ、オリジナルの味になってきた。ローストビーフもやや火が入り過ぎたが、ジューシーさを失わずきちんと美味しい。これで準備万端。

KitchenStaubわぁ〜っ、パテ美味しいよ♬」「キャロットラペ、いくらでも食べられそう♡」友人たちにも好評。キャロットラペも師匠の聡ちゃんに教えてもらい、(さすがプロのレシピ通りにはいかないから)独自に工夫して作っているオリジナルな味。だからこそ嬉しい友人たちのリアクション。お気楽夫婦は料理が苦手でも嫌いな訳でもなく、“外食の方が”好きなだけ。けれどもここしばらくは料理をする頻度がやや(お恥ずかしい回数ながら)上がった。リノベーションで使い勝手の良いキッチンになったことも、ストウブを買い揃えたことも料理の頻度を上げた理由のひとつ。料理をすることが楽しいスペース、使って楽しい調理器具などがシェフとスーシェフのモチベーションをアップ。

SinglesRoastbeefSaladeースの作り方教えて」と聞かれると、答えに詰まる。料理によって直感で作る。市販のドレッシングをベースにアレンジしたり、他のモノで代用したり。例えば、キャロットラペにオレンジジュースを煮込んで加えるべきところは、オレンジマーマレードを代打に送る。特別な食材や調味料はめったに使わない。使い残しが確実に出てしまうから。お気楽夫婦にとって、料理はレジャー。決して(今のところ)日常ではない。だからこそ、メニューを考え、料理を出す順番、使う鍋や食器を考え、ムダにならないように工夫して食材を買い出し、食材の下拵えをする、ことを全て“楽しむ”。そして、気の置けない友人たちに集まってもらえば完璧だ。

日も楽しかったぁ。ありがとう」「居心地良くってまた遅くまでお邪魔しました。ビストロ808美味しかったです」「未だかつてないリラックスした6ヶ月点検でした」深夜、帰宅した友人たちからメッセージが届いた。料理がレジャーであるならば、その楽しさはご一緒する友人たちがいればこそ。こちらこそありがとう。そして翌日、残ったローストビーフでサラダを作り、まかない料理として美味しく頂く。これも主催者メリット。ん?次は1年点検で?はい。では、それまでに日々更に外食生活で鍛錬し、研鑽と経験を積み、お待ちしてます♬

今日、シブヤで20時♬「神泉 遠藤利三郎商店」

ShibuyaShibuyaNow40年近く前、その場所にあった映画館「東急パンテオン」で『ジョーズ』を観た。巨大なスクリーンと映像の迫力に圧倒された。階上にあった「東急名画座」には、アメリカンニューシネマの名作を観るために通った。ロードショーは900円から1,100円に上がり、名画座は300円だった時代。その後、屋上のプラネタリウムの人気も翳り、2003年に閉館。その場所の地下には地下鉄副都心線が開通し、地上にはかつての建物の数倍の高さの「渋谷ヒカリエ」が建てられた。その建物は東口のランドマークだった「東急文化会館」。そして、渋谷駅を挟んで西口にあった「東急プラザ」がこの3月に閉館。建て替え中の東急東横店なども含め、渋谷駅周辺が大きく変わろうとしている。

BeerSpoon藤に行こうか。客先のヒカリエで仕事を終え、渋谷のオフィスで残業中だった妻を誘うと「良いねぇ」とすかさず返信があった。さっそく電話をすると「IGAさん、こんばんは」と馴染みのスタッフの声。どうやら私のケータイの番号を登録していただいた模様。予約もOKとのこと。予約できた。20時に!と妻にメール。妻も私も(偶然ながら)学生時代を渋谷のキャンパスで過ごした。ワカモノだった頃から慣れ親しんだ渋谷。けれども、ワカモノではなくなった2人にフィットする店は少なくなってしまった。「ヴィロン」「麗郷」「天一」など、渋谷で馴染みの店も数える程。2013年、そこに現れたのが神泉のワインバー「遠藤利三郎商店」。2人にとっては救世主のような店。

VinblancFritんばんは、IGAさん。今日のお席は珍しく2階なんです」と、通されたのは、カウンタ席を見下ろし、壁一面のワインラックを眺められるテーブル席。この景色に向かって飲むのも悪くない。独り生ビールをぐびり。ふぅ〜。身体と気持が緩やかに解けて行く。ワンスプーンのアミューズをぱくり。この店はワインバーと言いながら、料理がきちんと美味しく、眉目麗しい。生ハム、リエットなどのオードブル盛合せをいただきながら、妻を待つ。スタッフが選んでくれた1杯目のグラスワインの白を楽しんでいるところに妻が登場。メニューを見るや「山菜のフリットを食べよう!」と、春になる度に罹る春野菜シンドロームの症状。菜の花が添えられ、塩でいただく一皿は絶品。

CaesarSaladResotto、ちょっと待ってください。何かが違う」シーザーサラダを運んで来たスタッフが引き返し、すぐに笑いながら戻ってきた。「失礼しました。ベーコン乗せるのを忘れてました」うん、見た目の美味しさが何倍も違う。シャキシャキのローメインレタスも、カリカリのクルトンも、微笑むような柔らかさの半熟卵も、厚く削られ存在感抜群のパルミジャーノも、ひとつひとつが美味しさを主張し、厚切りのベーコンの塩味と脂がそれらの食材を引立てる。「最後に春野菜のリゾットまで行っちゃおうか」珍しく炭水化物を摂ろうとする妻。確かにこの店のfacebookで紹介されていたリゾットの画像は魅力的だったけれど、自らオーダーするとは恐るべし春野菜シンドローム。

い店だよね、ホントに」スタッフに見送られて店を出ると、妻が嬉しそうに呟いた。渋谷で芝居や映画を観た後に、高揚した気持を保ちながら美味しく食事が出来て、楽しく飲める店が欲しかった。仕事帰りに気軽に立ち寄り、独りでふぅ〜っと飲んでいても淋しくない店が必要だった。この店の佇まいと、ワインと、料理と、スタッフの接客は、その全てを満たしてくれる。こうして、渋谷の街も自分たちも変化していくけれど、オトナになって出会った馴染みのシブヤ(神泉だけど)も良い感じ。これだから人生悪くない♬

春の味わい「天一/鮨いち伍」

TenichiFukinotou増しに風が暖かさを増し、春の訪れを感じる頃…手紙の書出しで時候の挨拶をするように、お気楽夫婦は春の兆しを感じ始めると頃になると決まって「行こうか!」とどちらからともなく言い合う店が2つある。ひとつは「天一」、それも銀座の本店ではなく、渋谷の東急本店にあるお気軽な支店。L字型のカウンタ席は8席ほどしかないが、小さい分だけ落ち着けるし、どの席からも揚場が目の前というのも楽しい。席に付き、額に入った天ぷらの“タネ”の一覧を眺める。さぁて、何から行こうか!と、心の中では食べる順番はとっくに決まっているのに、改めて口に出して確認する。春の儀式。真っ先に揚げてもらうのは、ふきのとう、タラの芽。春を食べにやって来たのだ。

TaranomeHamaguriTenだねぇ〜♬」ふきのとうの苦みと香りを頬張りながら、妻がしみじみと呟く。タラの芽の天ぷらは無くなった父の大好物だったなぁなどと、思い出しながらサクッとした歯応えを楽しむ。「もう稚鮎があるんだねぇ」と、毎年交わすことばも、毎年新しい。白ワインを飲みつつ、アスパラ、タマネギ、キス、サイマキエビ、と揚げたてをいただいていると、「メニューにはないんですが、ハマグリもございます」と声を掛けられ、「くださいっ!」と即答。天ぷらでは初のハマグリ。熱々ほっくりとした大振りの身を、半分は塩で、残りは天つゆとおろし大根で味わう。うぅ〜ん、どちらも旨い。春を味わう幸福。シメは“丸十(サツマイモ)”をデザート代わりに。美味しい春を堪能。

HotaruIkaSayoriを味わうべきもう一つの店は、「鮨いち伍」。カウンタ席に座った後は、店主にお任せ。最初に出てきたのは、北陸新幹線開業記念、富山湾のホタルイカ。3月1日に漁が解禁されたばかりの春の味。ビールをくいっと飲みつつ、酢醤油と生姜でさっぱりといただく。出だし良し、旨い。イカ、鯛の昆布ジメ、エンガワと白身から始まり、赤身、中トロ、大トロと続いた後は、春を告げる魚のひとつ、サヨリ。軽く煮切りを塗られ、おろし生姜を乗せた繊細な白身魚をパクリ。くぅ〜っ、旨い。日本人で良かったと唸る。飲む酒は、魚や江戸前鮨に合うようにと造られたという、石巻の「日高見」。復興応援のエールを送りつつ。ぐびり。口当たり良く、後味良く、確かに鮨に良く合う。

SabaHamaguriワシ、赤貝、アジ、エビ、鯖…青魚の間に絶妙に他のネタを挟みつつ、「どのタイミングでお出ししようかと、困ってたんですよ」と、煮ハマを握るご主人。実は、隣にいらした客がハマグリはないの?と尋ね、今日はないと答えていた。そうか、今日はハマグリはないのかと内心がっかりしていたところ。その3人連れの客がお帰りになったタイミングで出してくれた。グッジョブ!嬉しいね。「数が2つしかなくって、どきどきしました」煮ハマが好きなのに、置いてある店が少ないという話をしたのが、この店に通い始めた頃。しっかり覚えてもらっていた春の味。ありがたく頂戴する。ん、濃厚で上品なツメが鼻をくすぐる。口に含めば、ふくよかな味わい。旨い。

ニ、コハダ、アナゴ、そして卵焼きをデザート代わりにいただき、満たされた気持とお腹を抱えて店を出る。やはり、お気楽夫婦にとって、春の訪れを味わい楽しむには、天ぷらと鮨。「夏になったら鮎だし、岩牡蠣も良いね。秋にはやっぱりキノコに、栗に、サンマに…」どうやら春だけではないらしい。

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SINCE 1.May 2005