ウチナー料理♡LOVE「我如古(がねこ)」三軒茶屋

OrionKarikariPork縄(ウチナー)料理好きのお気楽夫婦。良く出掛ける街毎に、お気に入りの沖縄料理屋がある。高円寺の「抱瓶」、九段下の「みやらび」、下北沢の「Aサインバー」などなど。いずれもコンサートや芝居の帰りに立ち寄る店。けれども新宿の「ナビィとかまど」、祖師ケ谷大蔵の「由良」など、美味しい沖縄料理が食べたい!と思って出掛けていた店の何軒かが閉店。新たに、ここっ!という店を探していた。シモキタの観劇の後、いつものようにAサイバーに向かう。60’s〜70’sのロックが流れる店内。キリキリと冷やしたジョッキに注がれたオリオンの生ビール。この店は絶対これだ!のカリカリポーク。キリキリとカリカリの最強コンビ。芝居の余韻を味わうにはぴったり。

GanekoShimaYasai縄料理かな、今日の気分としては♬」スポーツジムのパーソナルトレーニングでたっぷりと汗を流し、さっぱりとした妻が言い切った。了解。異議なし。けれども、シモキタで芝居を観て、Aサインバーに行ったのは前夜。今日“の”と言うには余りに沖縄料理好きの2人。向かったのは三軒茶屋の「我如古」という沖縄料理屋。店の読み方すら分らない、もちろん初訪問。店の入口に大きな看板。がねこ、と読むらしい。そして、なんと店主の名前らしい。階段を上り、店に入る。こざっぱりと、そしてこぢんまりとした店内。好印象。席に付きメニューも見ずにオリオンの生ビールとうっちん茶をお願いし、じっくりメニューを眺める。と、おぉ〜っ!これは凄い!と目を見交わす2人。

TanmoShirishiriニューが豊富だね」妻の声が弾む。なかなかお目にか掛らない「田芋(ターンム)」の料理が3種類もある。妻が好んで良くオーダーしていた、田芋揚げ、ドゥルワカシー、ドゥル天、(知らない人には何のことやら)が勢揃い。それも、3種類を少量づつの盛合せがある!迷わずオーダー。「へぇ〜っ島野菜のサラダだって」野菜好きの妻の目が輝く。すると、すかさずサービス担当の女性スタッフが説明しておススメしてくれる。うりずん、ハンダマ、島ニンジン…。それもいただきます!人参シリシリ、中味イリチー、ミミガーの酢味噌和え、もう狂喜乱舞せんばかりの2人。あぁ、スーチカもある、好物のクーブーイリチーは昨日食べたしなぁ。小食の我が身が恨めしい。

NakamiMurikabushi芋食べるの久しぶりだね。この店のドゥルワカシーも、ターンム(田芋)揚げも美味しいねぇ♬」今は閉店した沖縄料理屋の他には、滅多にお目にかからなかったメニュー。久しぶりの味。上品に甘く、んまい。人参シリシリもボリュームたっぷりで満足の味。中味イリチーも、じんわりと滋味深く、実に美味しい。そして嬉しいのは泡盛のメニューが豊富なこと。さらに、地図付きの丁寧な解説が美味しそうな文字で描かれている。これは嬉しい。未知の酒の名前を眺めるだけでも楽しくなってくる。全種類を味わってみたくなる。「これは沖縄限定の泡盛なんですよ。良かったらいかがですか」と、絶妙なタイミングで勧められた「群か星(むりかぶし)」。スッキリ美味しい泡盛だ。

の店、良いね♬」食いしん坊で、吞んべいなお気楽夫婦がほとんど同時に囁き合った。中目黒時代に通っていたジムで始めた、月に2回のプライベートトレーニング。中目黒を離れても続けており、その帰りに何か食べて帰るのがお約束。この店、ジムの後に通うよっ!頷き合う2人。喉をカラカラに、お腹をぺこぺこにして、立ち寄るべきお気に入りの店が、また1軒増えた。

妻の料理にご用心?「嵐を呼ぶポトフ」

PotAuFeuレタインデーの午後、後輩女子の披露宴に出席していた妻からメール。「帰りま〜す。やっぱり夜はポトフかなぁ♬」おぉ〜っ!幻の妻の料理、2年前に大雪を降らせたという伝説の一品。すっかり自分で作る気だ。これから雪が降ろうが、嵐が来ようが、翌日は日曜日。オーケー。「ではベーコンの塊でも調達して帰るね」と、やる気満々の妻。出掛けにサラダランチ用に買ってあったニンジンが残っていると気付き、昼に披露宴のフルコースだから夜はポトフかな?と独り言ちていた。来客なしの妻の料理は2年ぶり。決して妻は料理が出来ない訳ではなく、嫌いな訳でもない。ただ、私の方が料理が好きなだけ。家で何か料理を作る?と言えば、それは私の担当。そんな生活を20年以上続けていると、すっかり役割は固定される。

気楽夫婦の家事分担は、実にシンプル。明確に担当が決まっている。料理を作ったり盛付けるのは私の役割。妻はその後の洗い物。掃除機は私、拭き掃除は妻。トイレの掃除は私、バスルームは妻。洗濯モノを干すのは私、タタミやアイロン掛けは妻。新聞紙を整理するのは妻、紐掛けをするのは私。ベッドメイキング担当は私がメインで、妻はサポート。私が感覚的に整理したものを、ロジカルに整理し直すのが妻…こうして記してみると、なかなか良いバランスだ。何となく7:3くらいで私の担当が多い気がしていたのだけれど、意外にも(笑)妻の割合も多い。2人の分担仕分けは、自分の得意な方、自分が気になる方を自然と選んだ結果。

Choco理は私の担当ながら、友人たちを招く時にはシェフの私、スーシェフの妻が連携する。メニューを決め、出す順番を考え、盛り付ける皿を決め、食材の買出しに出掛ける。お気楽夫婦にとって、パーティの計画を立て、料理の準備をして、お招きした友人たちに振舞うという一連の作業は、それ自体を楽しむ、いわばレジャー。けれども日常的な食事のための料理を妻が担当することは、滅多にない。一度このポジションを獲得し、公言して憚らない妻のスタンスは“お得”。たまに作った料理をfacebookにアップすると、きゃーたいへん!という突っ込みと、美味しそう!という賞賛の嵐。フツー(何がフツーかは別にして)だったら日常のことでも、お気楽妻にとっては超レアということが、すっかり仲間内に浸透している。これはオイシー立ち位置だ。

付けて嵐を呼ぶポトフが完成。盛付けは私の仕事。撮影のために特に見映え良く。とは言え、素朴な家庭料理。温かみが勝負だ。テラコッタ風の大皿に盛付け、熱々を美味しくいただき、さっそくfacebookにアップ。「きゃ〜あの豪雪はたいへんだった」「とりあえず天変地異は起こってないね」ふぅ。今回はひと様にご迷惑をおかけせず、良かった良かった。では、友人たちにいただいたバレンタインチョコでものんびり味わうか。と、思ったところに、「今から都内に帰りたいのですが、新横浜-小田原間が沿線火災で東海道新幹線が、強風で東京-熱海間の東海道線が運転見合わせ!帰れないかも!」と友人の書込み。

まった!私の料理による災害は大雪だけじゃなかったか!」妻がすかさずリプライ。すまんすまん。それ、きっとウチの妻のせいです。大雪には注意してたけど(どうやって?)、火災と強風は想定外だったなぁ。今後は、作ってからではなく、作る前にfacebookでお知らせして、注意喚起いたします。皆さま、どうかお気楽妻の料理には、くれぐれもご注意を!

美味しい記憶もまた財産「環樂(わらく)/とらや」

SapporoLagerSakuramasu2味しかったという記憶は、食いしん坊の私の深い場所に刻まれ、昨日のことのように思い出すことができる。病気で長く入院した小学生の私を迎えに来てくれた父と、退院祝いだと一緒に食べた熱々の「鍋焼きうどん」。学生時代のひとり旅で訪れた箱館山の展望台で、夜景を眺めながら初めて食べた「松前漬け」に入っていた数の子のこりこりとした歯触り。旅先のフランスで体調を崩した妻を快復させてくれた、じんわりと滋味深い「スープドポワソン」。結婚記念日のお祝いに、お気に入りのビストロで仲間たちと一緒に味わったサプライズのふぅわりとしたシフォンケーキ…。2015年冬、札幌の旅(あ、出張です)で、そんな記憶に残るであろう味に出会った。

KernerSakuramasu乗りした札幌の宿泊先のホテルで、独り遅い食事。ビールはやはり北海道限定「サッポロクラシック」の生ビールだなと独り言つ。雪吊りされた木々と雪景色を眺めながら、薄く上品なグラスに口を付け、ぐびり。ううぅわぁ〜っ!旨い!濃密で均一な泡が絶妙な厚みの層を作り、その下のキリッと冷えた琥珀の中から、繊細な泡が浮かび上がってくる。もう一度、う〜まぁ〜いっ!うぅ、誰かにこの美味しさを伝えたい。誰かと共有したい。そんな味。サクラマス尽くしの料理も美味しかったし、北海道ケルナー辛口というワインも好みではあった。けれども、この日語るべきは札幌グランドホテルの日本料理 ガーデンダイニング「環樂(わらく)」の生ビール。しっかりと刻んだ。

TorayaVegi幌滞在最終日、早めに仕事を終え、遅めのランチ。行けるものならと下調べしていた1軒。店の場所は市の中心部から少し離れた円山公園の傍。「日本料理とらや」という野菜の美味しい会席料理の店。こぢんまりと、控えめな店先。雪だるまの暖簾を潜り、店に入るとこざっぱりとしたオープンキッチンと6人ほどのカウンタ席。地下鉄の駅を降りてすぐに電話していたから、ポツンと一席分だけ半月盆がセットしてある。2階の個室は満席の様子。下から2番目の会席コースをオーダー。まずは野菜を中心とした7種の前菜盛合せ。ひとつひとつがきちんと美味しい。ガツンと食いしん坊心を鷲掴みにされ、思わずビールをいただく。あ、正直に言います。既にオーダー済みでした。

Vegi2Buri驚くべきは、次の一皿。野菜の揚げ浸し。ひと口食べて、その馥郁たる香りと、絶妙の柔らかさにびっくり。独りメシなのに笑みが零れる。煮くずれていないのに、歯にほろほろと溶けて行く、寸止めされた野菜たち。ニンジンが甘く、香り高い。サツマイモがジューシー。この料理はどこかで味わったなぁと思いを馳せれば、日本料理ではなく南仏料理のラタトゥイユ。野菜の旨さを存分に引き出す一品。これは素晴らしい。野菜、美味しいですねと店主に告げると、ありがとうございますと小さく笑顔。ん、良い感じ。厨房のスタッフは3人。互いに口数が少ないのに、コミュニケーションがキチンと取れており、客に見られていても平気な、実に奇麗な所作。心地の良い軽やかな緊張感。良い店だ。

の後のお造りも、煮物も、焼物も、和え物も、最後の甘味まで満足の味わい。例えばお造りに添えられたおろし大根が旨い。水菜が邪魔にならない。脇役の野菜が主役と寄り添い、ハーモニーを奏でる。これは良い店に出会った。特に和風ラタトゥイユには参った。記憶にしっかりと残る一皿だ。画像をアップすると「煮物の横にあるのは、水のわけないでしょ」と仲間に突っこまれる。はい。ついつい、昼から日本酒を2杯もいただきました。これは飲まなきゃ失礼でしょ!くらいの料理たち。いつか、今度はじっくり夜の席で(妻や仲間と一緒に)訪れたい店だった。

002315058

SINCE 1.May 2005