夏のヘビロテ♬「ビストロ・トロワキャール」

Zensaiい夏。食欲が落ち、睡眠不足になり、身体がダルくなる…ことの全くないお気楽夫婦。夏バテとは無縁。適度に(場合によっては過度な)運動をする。夏野菜をたっぷり食べる。朝ご飯はキチンと食べる。友人たちとワイワイと飲み、笑う。好きな芝居を観に行く。つまらなかったら幕間で帰ってしまう。独りでも飲む。自宅でも飲む。毎日酔っ払う。好きな本を読む。つまらなかったら途中で読むのを止める。夜中でも平気でポッキーをかじる。ガツン、とミカンもかじる。他人に迷惑を掛けない範囲で好き勝手なライフスタイルで暮す。すなわちストレスを溜め込まない。それが秘訣。

Ayuんな健全な(笑)2人は時に肉食になる。そんな時には肉料理自慢のこの店、松陰神社前のビストロ・トロワキャールだ。暑いこの2ヶ月間に3度目の訪問。ヘビーローテーション。夏バテ知らずの2人のエネルギー源という訳だ。今回の訪問に同行してくれたのはワイン好きのスカッシュ仲間たち。飲む気満々で店に向かう。「こんばんは。鮎も桃のデザートもご用意してまぁす」笑顔の木下シェフと奥さまに迎えられる。その日のお目当ては新たにメニューに加わった鮎のコンフィと、前回の訪問で好評だった桃のデザート。「うわぁ〜いっ♬」スカッシュ仲間のテンションも上がる。

Meats回は野菜中心にしてみました」と木下シェフ。アミューズの後に、お約束の前菜全部盛り。色鮮やかな夏野菜が美しい。ウサギと鴨のリエット、タスマニアサーモンのミ・キュイの美味しさに笑みが零れる。ヘビロテで訪れるお気楽夫婦を飽きさせない、毎回新たな逸品を加える木下シェフ。さすがだ。「レバーペーストも頼んで良い?」すっかりこの店のファンになったスカッシュ仲間の1人が追加オーダー。確かに毎回食べたい絶品の1品だ。「ねぇ、食べちゃダメだよ」席を立つ間にネズミが来るかもと脅かされた彼女、食べかけの皿をお店に預けてお手洗いへ。全員大爆笑。

Winesして待望の鮎のコンフィ。低温の油でじっくり煮込まれた大きめの鮎は、うっとりとする幸福の味。皮はパリッとしながら身はほろほろと柔らかく、添えられたマッシュポテトと一緒に口に入れると、頭や肚の苦みと香りが一体となって攻めて来る。実に旨い。いつの間にか何本目かのワインが空になる。そしてメインは牛カイノミのステーキをはじめとした何品かの肉料理とフリット。肉料理はもちろん、カリッと揚がったフリット(ポテトフライ)が美味しい。またワインが空になる。ビストロの良さは、こうしてワイワイと料理をシェアし合って気軽にいろんな味を楽しめること。

Troisザートはおひとりづつ、小さな器でお出ししましょうか」と奥さまのまゆみちゃんからナイスな提案。ビールを含めしっかり飲んで、空いたワインは5本。飲めないお気楽妻を除き、1人1本以上。肉料理を平らげた後に、デザートと言えどもレギュラーサイズは無理。柔軟な対応と優しい心遣いが嬉しい。だからこそヘビーローテーションでこの店に来てしまうのだ。「シャンパンバーを開きたいんだよねぇ」仲間の1人が呟く。良いじゃない。この店から1人用の日替りオードブルをBOXで取り寄せるというのはどう?「それ良いね」「ご協力します!」と奥さまも交えて盛り上がる。

日も美味しかったねぇ」4層になったそれぞれ違う桃のスイーツを味わい、満足げに妻が微笑む。「で、彼女送ってかなきゃね」すっかり酔っぱらった仲間の1人が独りで帰れないと読んだ妻。酔っ払い集団の中、ひとり冷静な彼女の見立ては間違いない。最寄りの駅からタクシーに乗り、彼女の自宅経由で帰るお気楽夫婦。夏バテに無縁の2人の遅めの夏休みがもうじきやって来る♬

夏バテを蹴っ飛ばせ!「萬来軒」

Unpaiい夏。食欲が落ち、睡眠不足になり、身体が怠くなる。いわゆる夏バテ。その元凶は乳酸という疲労物質が溜まってしまうこと。そんな夏バテを解消するには、ビタミンB1、B2、クエン酸などをしっかり摂って、乳酸をどんどん消費する必要がある。ビタミンB1、B2を多く含むのは、豚肉、レバー、豆腐などの食材。クエン酸は酢。そして食欲を増進させるには、刺激のある香辛料。すなわち、(豚肉・豆腐)×(酢)×(香辛料)=夏バテ解消には辛旨の四川料理だ!ということで、スカッシュ仲間と共にご近所の名店「萬来軒」に向かった。

SuiGyoza川の豚肉料理と言えば「雲白肉(ウンパイロー)」。薄く切った豚バラ肉が美しく盛付けられ、お酢とたっぷりの辣油を使った真っ赤なソース、薄切りのキューリの緑の色合いが食欲をそそる。「うわっ!美味しい♡」「ビールが進んじゃうね♬」スカッシュ仲間たちが唸る。続いてこの店の名物「四川水餃子」。赤い辣油と芝麻醤のほの甘く辛いソースが絶品。大きめの雲呑のようなシワシワの餃子に良く絡み、実に美味い。30年来通っているこの店で外せない一品だ。

YakiGyoza餃子も忘れてはいけない一皿。四川料理屋で焼餃子とは邪道。けれど、薄めの皮がカリカリと香ばしく、餡は香り高くジューシー。これが実に旨いのだ。ビールはもちろん、常温で飲む瓶出し紹興酒ともぴったり。ところで、その紹興酒だ。同行のメンバーの1人、酒豪の小顔美女が絶妙な注ぎ方を披露。媚びるでもなく、強制するでもなく、ちょっと首を傾げ、アイコンタクトと共に銚子を差し出されると、つい猪口を出してしまう。そして、ぐびり。気が付けば自分の猪口にもさりげなく注ぎ、顔色も変えずにぐびり。そうか、自分で飲みたいからこその酌上手かと納得。

Maboして本命、大皿にたっぷり盛られた四川麻婆豆腐が登場。思わず歓声が上がり、メンバー全員が写真を撮りまくる。豆腐に豚挽肉、四川山椒、辣油と揃えば夏バテ打破のための必殺の一皿。熱々のひと匙を白いご飯の上に乗せて、ぱくり。はふはふ。ふわぁ〜っと山椒と辣油の香りが鼻孔を抜け、香辛料たちの痺れる刺激と豆腐の熱さが舌を攻め、美味さがじんわりと口中に広がる。一気に五感を攻め込まれた身体にぼっと火が点く。頭の汗腺ひとつひとつから汗が湧き出すのが分かる。堤防が決壊し、汗が滴る。潔く気持の良い夏の汗だ!

Banraikenくなかったですかぁ」満席だった店も落ち着き、調理担当のオジちゃんが顔を出す。「辛くて美味しかったです♬」と皆が声を揃える。この店の麻婆豆腐は山椒によって辛さが微妙に違う。日中関係が最悪だった頃、中国の通関に時間がかかり、中国山椒をアメリカ経由で送ってもらったこともあったという。小さな街の小さな中華料理屋。失礼ながらそこまで拘っているとは思えない店構え。常連さんだけで充分に廻っている羨ましい店。「2人で食べて行けるぐらいで良いのよ」接客担当のオバちゃんが呟く。そんな店。「いつも通り美味しかったねぇ」「お安いですよね」たっぷり食べて、ワンコ蕎麦のように次々に注がれる紹興酒付きで、1人3,000円。美味しく辛い四川料理で夏バテ解消。暑い夏など蹴っ飛ばせ!

うか、紹興酒に蹴っ飛ばされたのか。それで椅子から落っこちたんだね」Bar808での2次会。調子に乗ってワインを飲んで、大きな音で目が醒めて、気が付いたら床に座り込んでいた。夏バテ防止に水分補給は必要だけれど、アルコールは逆効果。ご用心、ご用心!←自分に。

京都の夏に乾杯♬「用賀 本城」

Sashimi年の夏は暑い。繰り返すと鬱陶しいけれど、暑い。殺人的に暑い。最高気温25度超えを夏日、30度で真夏日、35度を猛暑日と呼ぶ。最低気温が25度以上で熱帯夜、だったら30度を超える夜は何て呼ぶんだ!と誰かに訴えたくなる。ヒートアイランド現象により気温が上がる東京の夏も暑いけれど、盆地の京都は昔から暑い。だからこそ、町家では夏の設いとして襖や障子を簾に衣替えしたり、料理屋では川床などで工夫してきた。暑さを凌ぐ生活の知恵。京都の雅。それに加え、鱧など夏の京都ならではの味がある。そんな京都の夏の味を楽しみたい。ということで、京都に行ってきた。

Sake気楽夫婦の愛する京都は、世田谷の用賀にある。「用賀 本城」という京料理の店。開店して4年。用賀の街並にもすっかり馴染み、予約が取れない人気の店になった。「8月はそんなでもないんですよ。今だったらカウンタ7席までご用意できます」予約の電話に応える奥さまに、カウンタ7席しかないじゃないですか!と笑い返す。当日、妻より一足先に店に着き、ビールを飲みながら本城さんの手さばきを飽きず眺める。「今日はどうしましょう」という問いに、鮎を食べに来たと答えると、「小振りのやつ、2匹づつ取っときましょう」と小気味好く返される。後は本城さんにお任せ。

Hamo&Ayu海老、お2人分ありました」先客の刺身の盛合せの中にあった白海老に、良いですねと思わず呟いた私のことばを拾った本城さんがニコッと笑う。白海老にキャビアを載せたあしらい。とろりとした舌触りに上品な甘さ、キャビアとの組合せが美味しい。涼しげなガラスの器に注いだ日本酒をぐびり。実に幸せである。そして待望の鮎の塩焼き。美しく焼き上げられた若鮎を頭からかじる。香ばしさと苦みと淡白な身が口の中で跳ねる。くぅ〜っ、夏の味。京都の夏を丸かじり。山椒を飾った鱧鮨も美味しい京の夏の一品。大皿に一緒に添えられた焼き無花果の香りも夏。

Yanagawaメは鰻の柳川。丸のままの鰻が土鍋の中でぐつぐつと踊る。京料理の名店「たん熊北店」出身の本城さん。丸鍋(すっぽんの鍋)も得意料理。濃厚なのに繊細な味が共通、かつエネルギーの塊のような夏の鰻は目でも舌でも元気になる。店もいつの間にか満席。予約では全席埋まっていなかったというが、さすが夏でも元気な人気店。「先日、鮎料理のコースを頂いてきたんです」と本城さん。「京亭」という寄居の名店だという。その店も良いけど、本城さんの店で鮎尽くしできませんかと尋ねると、「いけますよ」と即答。おぉ〜っ、ではぜひ次回に!これで京都の秋の味も堪能できる。

っぱり本城さんは良いねぇ。月に1回は無理でも、季節毎に伺いたい店だよねぇ」妻の呟きに頷く。次は秋の鮎尽くし。今から次回の訪問が楽しみだ。

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SINCE 1.May 2005