恋に落ちて「ビストロ・トロワキャール」

Countergeléeしたのだと思う。出会ったのは春。きっかけは言わば友人の紹介。馴染みの中華ビストロの根本ご夫妻、フレンチにも一家言あるパティシエのマコちゃんと一緒に訪問。同じ飲食業界人のおススメの店。初対面とは言え、お互いに緊張することなく、和気藹々とした場での出会い。ガツンと肉料理が食べたくなった時に良い店だと聞いていた。そして、最初の一皿を味わった時にガツンと来た。アミューズのリエットと焼きたてのパン、続いてフレッシュオレンジの香り高いキャロットラペ。ひと口惚れだった。

Hors-d'œuvreVinBlancに落ちたら情熱的なお気楽夫婦。ご近所の友人夫妻を誘い、スカッシュ仲間たちと、前職の友人たちと、頻繁に訪問することになった。その度毎に恋情は深まった。その恋の病は周囲にも伝染し、拙い記事を読んでいただいた友人たちが店に伺ったと報告してくれた。自分たちの恋した店が誉めらたら嬉しいのは道理。開店2周年のお祝いに花を届け、逆に自分たちの結婚記念日を祝ってもらうことにもなった。

abaloneChampagneの新たな味わい方も覚えた。恋のお持ち帰り。あるいは店外デート。そう、料理のテイクアウトだ。チームMacでのホームパーティで味をしめ、秘密のグループでの忘年会でもお持ち帰りを実行。言わば、好きな相手を気の置けない友人たちに紹介する場。店で味わう料理とまた違った一面が味わえたと大好評だった。そして、2012年末。初めて出会ってから1年弱。一度もお気楽夫婦2人だけで店に伺っていないことに気付いた。

deer meatsorbetはグループ交際だけでは進展しない。カウンタ席に座り、シェフの仕事を眺め、会話しながら味わってこそ深まるというのがお気楽夫婦の恋の作法。クリスマスも終わり、店が落着いた頃を見計らって予約。初めての2人だけでの訪問であることを告げると、「この日をお待ちしてました」と木下シェフ。どうやら恋は成就したらしい。それまでの逢瀬の集大成として、料理はシェフにお任せ。ワインも奥さまのまゆみちゃんセレクト。

ShinkansenBentoDinnerゾシカを召し上がりますか」良いですねぇと、メインが決まった。そしてその前後に美味しいモノを少しづつ。料理はどれも素晴らしかった。肉料理はもちろん、雲丹を使ったジュレ仕立ての一品やアワビのステーキは感涙もの。1年を締めくくるに相応しい組合せ。満足。そして年末には妻の実家に帰り、その道中の新幹線で食べるお弁当が楽しみなのだと漏らすと、「ではウチが作りましょうか」とシェフ。恋はサプライズ。義父母と食べるための料理と合わせて、幸せの年末お持ち帰り。

福な味だなぁ」恒例の浜松に向う新幹線2人宴会史上最高のフレンチ弁当を味わいながら、妻が呟く。2013年、新しい年もステキな恋ができますように。「恋多き2人だけどね」と妻。ん、恋は若さや元気の源。今年もたくさん恋しよう♬

2013年も♬「小さな幸運」

JogenrouJogenrou2た香港に行きたい!」と宣うお気楽妻。香港にはつい先日行って来たばかり。まぁ気持は分かる。ではちょっと行ってこようか!と電車に乗る。向ったのは羽田…付近を通り過ぎ、横浜中華街。パスポートの要らない香港。クリスマスシーズンということもあり、中華街大通りは香港の銅鐸湾(コーズウェイベイ)のような人混み。焼栗を頬張る観光客を避けながら馴染みの上海料理店「状元樓」に向う。店内はすっかりクリスマス。小籠包をはじめとしたお約束の絶品上海料理を味わう。クリスマスでも中華料理。妻はクリスマスを意識した赤いコート。束の間、香港気分でクリスマスを堪能。

GospelMotomachi町に行ってみようか。ふと思い付いて足を向ける。「何年ぶりかなぁ」と妻。「k」マークのKitamura、タツノオトシゴのフクゾー、靴ならミハマが3種の神器。彼女は1980年前後に一大ブームになった“ハマトラ”世代。メインストリートに到着すると、美しい歌声が流れてくる。人垣の向こうにゴスペルを歌う集団が。Anointed Mass Choirという有名なゴスペルクワイアらしい。集まっている客も楽しそうに一緒に歌っている。落着いたオトナの街らしい、実に良い雰囲気。「Happy Xmas(War is Over)」がラストソング。目尻にじんわり涙が滲む。NYCのハーレム辺りの雰囲気を味わう。

Santa2SantaのXmasディスプレーも趣向を凝らし、授乳用バスなどもオシャレな元町を後に、港が見えるが丘公園へ。街を見下ろす風景を撮影しようかと思っていたら、突然パカパカとひづめの音。振り返ると現実と思えない光景。サンタが白馬にまたがりやって来る。お気楽夫婦の前でくるりと回り、去って行く。あっという間の出来事。唖然。周囲にいた大勢のカップルたちは、撮影することも忘れしばらく眺めるだけ。その後に現実だと理解し慌てて遠ざかるサンタを撮る。人間のとっさの行動はおもしろい。それに対し、実にラッキーなタイミングで撮影できたお気楽夫婦。瞬間的な異次元空間を体感。

StarWarsStarWars2っくりしたねぇ」と丘を下りると、またしても非現実の世界が出現。スターウォーズの帝国軍兵士ストーム・トゥルーパーが登場。どうやら信号待ちの車に乗った子供にプレゼントをあげている模様。良く見ると胸にXmasリースのステッカー。なるほど、帝国軍兵士のサンタクロース。とっさにカメラを向けるとポーズをとってくれる。またもや絶妙なタイミング。さらに丘を下ると、帝国軍の秘密基地が!大勢のストーム・トゥルーパーが出動準備している。横浜は帝国軍に占領されていたのか?と思ってしまう光景。うはは!と目を見交わすお気楽夫婦。しばしテーマパーク的興奮を楽しむ。

やぁ、ラッキーだったね。数分ずれてたら会えなかったよ」いつもクールな妻も興奮気味。再び元町商店街へ。すると、なんということでしょう!(ビフォア・アフター風に)前方からまたもや白馬に乗ったサンタクロース。なんというタイミング。またもや絶妙のアングルで撮影するお気楽夫婦。幸運にも程がある。「ねぇ、宝くじでも買おうか♬」と妻。そうだ!宝くじだ。今日なら当たるぞ!…と、盛り上がったものの、すぐに忘れてしまったお気楽夫婦。こんな小さな出来事で、2012年の運は全て使い切った。2013年も(小さな)幸運が訪れますように。

Merry X’mas!!「クリスマスのおくりもの」

GrandHyattHongKongPacificPlace2年もクリスマスの季節がやって来た。12月25日はキリスト生誕記念日で、24日は前夜祭だというくらいは誰もが知っている。けれど、知識はそこまで。なぜクリスマスツリーを飾るのか、プレゼントを贈り合うのか、クリスマスケーキを食べるのか。日本人のほとんどは知らない。けれど、それで良いのだ。クリスマスはもはや宗教行事ではないし、季節の一大イベント。それぞれの起源は聖書まで遡る訳ではない。ツリーを飾るのも、サンタクロースも、クリスマスケーキも、各時代、各国で行われていたものが広まり混ざり合い、現在の日本のクリスマスに進化した。

IFCPacificPlace本における宗教観は、多神教とも言えないほど緩く雑多。ハロウィンやクリスマスを祝い、お正月には(おそらく年に1度だけのお参りであろう)初詣をして、節分には豆まきをして、七夕飾りを楽しむ。そのほとんどが宗教色をなくし、表象的な季節のイベント性だけが強調される。地域に根付いたお祭りも、他の地域から訪れる観光客にとっては賑やかなイベントであることとほぼ同義。これが日本だけかと思えば、この季節に何度か訪れた香港も同様。街にはクリスマスツリーやイルミネーションが溢れ、サンタクロースが闊歩する。世界共通のなんとも平和な光景だ。

CauzwayBayLegoTreeえば、日本では寺の住職や神社の宮司が子供にクリスマスプレゼントをせがまれたら、NOとは言わない。…と思う。「ウチは仏教だから」という理由でクリスマスケーキを食べないというのは、ギャグの世界にしか存在しない。アメリカでは、クリスマスを祝うことのない宗教に配慮し、「Merry Christmas」の代わりに「Happy Holidays!」ということが定着した。古くは第1次世界大戦の最中、前線の英仏軍と対峙するドイツ軍の間でクリスマスに休戦を行ったというエピソード。イスラム教国であるトルコでもクリスマスを祝うという。…クリスマスは国も宗教の壁も超えるのか。

EntranceMyhome気楽夫婦の住むマンションのエントランスにもクリスマスツリーが飾られる。大きなツリーを飾れるほど広くはない住居ということもあり、お気楽妻もこの素朴なツリーがお気に入り。寒い冬の空気を温かくする光景。前夜の酔いがたっぷりと残った頭でふと思う。良いよなぁ。なんだかんだ言っても、お気楽で幸福なこの日本という国は。政権が変わっても、震災の復興が進まないことに憂いても、クリスマスには休戦だ。ジョン・レノンの「Happy Xmas(War is Over)」が頭の中でリフレインする。

レゼントはツリーと一緒にイブまで飾っておかなきゃ」クリスマスが近づくと、お互いのプレゼントを一緒に選ぶお気楽夫婦。そして24日まで開けずにスタンバイ。今年もこうしてお気楽な夫婦でいられた。穏やかな年末を迎えることができたことを感謝。それこそがクリスマスの贈り物。

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