流した汗 < 摂取カロリー「スポーツクラブと酒の日々」

Kobeya気楽妻の理想の生活は、毎日午前中にジムで走って、ゆったりとランチ、そして午後はのんびり読書や芝居…というものらしい。ストレスなく生活をして、美味しいモノを食べて、体重増加を防ぐためにもスポーツで汗を流す。仕事をしている限り、そんな彼女の理想とする日常は叶わないけれど、せめてもと週に数日は仕事帰りにスポーツクラブに通う日々。それでも一度増えると体重がなかなか元に戻らない。妻がそうぼやく。アキレス腱を切った後、すっかり筋肉が落ちてしまい基礎代謝が低下したことが原因のひとつらしい。けれど彼女が気にする数百g単位の体重の増減は、誤差の範囲、許容範囲という私の主張は認められない。

くしてジム通いの妻に同伴する日々。とは言え、嫌々行っている訳ではない。スポーツやトレーニングで汗を流すことは好きだし、何よりもたっぷりかいた汗をシャワーで洗い流し、ぐびっと飲むビールは大好物。そのきりっと冷えた1杯のために汗を流していると言っても良い。1日の仕事を終えて、ふぅっと飲む1杯も捨て難い。風呂上がりの、ぷはぁ〜っと飲む1杯も間違いなく旨い。けれど、スポーツの後は、流した汗の分だけ身体が水分を欲している。そんな身体に流し込むビールの美味しさは、他のシチュエーションを圧する。失った水分を利尿作用のあるビールで補うのは科学的にはNGで、身体に良くないことは充分知っている。しかし、身体に悪いモノは美味しいという法則もある。大好きな何かを我慢して長生きするぐらいなら、いっそ短命で良い。それぐらい大切なモノなのだ。…もちろん言い訳である。

Southernらに追い打ちをかけて身体に悪いのが、夕食の時間だ。仕事を終えスポーツクラブに向い、汗を流した後にシャワーを浴びる頃は、良い子ならお休みの時間。そんな時間からビールをたっぷり飲み食事をする。いかんいかん。そう、分かってはいる。でも、その料理はビールに合うものが必然的に選ばれる。フレンチフライなどの揚げ物や、熱々ジューシーな肉料理など。これがまた困ったことに大好きなのだ。なぜか運動後の身体が欲するのだ。それに体重を気にしているはずの妻も、なぜかポテトのオーダーを止めない。それを知る私は、調子に乗って「メガポテトフライ」などというメニューを頼んだりもする。止めるどころか、妻も積極的に食べている。これでは身体に良い訳がない。

くしてお気楽な2人の摂取カロリーは、流した汗を大きく上回ることになる。身体に良いはずのジム通いが、却って徒になる。「ぜんぜん減ってなぁ〜い」帰宅して体重計に乗る妻が不満そうな声を上げる。それも道理。仕方ない。理屈では分かっていても、納得できずにいる妻。どうせ毎日飲んで食べるのだから、運動もせずにただ飲んで食べるよりは良いと自己完結もする。「またジム行かなくちゃね。次は、いつ行ける?」そして、仕事のバランスを調整し、スポーツクラブに向う2人。以下同。これを悪循環と呼ぶのか、良い習慣だと胸を張るのかはその人次第。

ぁって、アイスでも食べようかな」深夜、そう呟きながら「ガツン、とみかん」を齧る妻。どこまでも自分の“好き”を通す彼女は、ある意味、ステキだ。

帰って来たお気楽妻「スカッシュ団体戦」

LastYear年アキレス腱切った方ですよね。復帰されたんですね。良かったですねぇ」「ちょうど私が審判やっていたんですよ。スカッシュ続けられて良かったですね」名前も知らない他のクラブのスカッシュプレーヤーに次々に声を掛けられる妻。1年前の同じ時期、同じ会場で開催されたスカッシュの団体戦。その会場で妻は左脚のアキレス腱を断裂。救急車で運ばれ、数日後に手術。数ヶ月のリハビリを経て、スカッシュに復帰。この会場に帰って来た。同じメンバーでエントリー。去年は途中棄権のため、順位が付かなかったチームが会場に忘れてきたモノを受け取るために。

Gips年のチームコンディションは最悪だった。今改めて見てみると記念に撮影したメンバーの顔も覇気がない。全メンバーが体調が悪かったり、故障していたり。中でも、震災の影響で本来は春先にやって来る忙しさのピークがずれた妻の体調はボロボロだった。そんな中での大会参加の結果が怪我だった。今となれば笑い話の数々になったけれど、リハビリ生活はたいへんだった。怪我をして初めて世の中のバリアの多さに驚き、人の温かさや冷たさを知る数ヶ月間だった。それでも、根気強く妻は努力した。凡そ、頑張るとか、我慢するということばに縁がない妻が、スカッシュ復帰のために、我慢し、頑張った。2ヶ月後にはジムで走り始め、4ヶ月後にはスカッシュに復帰した。

TeamMatesして1年が経った。「楽しもう♬」を合い言葉に大会参加。そのコンセプト通りに大会を楽しんだ。元々競技指向の低いメンバー。個人戦での大会参加はほとんどない。それでも勝てば嬉しく、負ければ悔しい。試合前は緊張するし、自分の試合を終えてコートを出ればホッとする。プレーの内容に落ち込むこともある。けれど、それを独りで抱え込まずにメンバーで共有できるのが団体戦の良さ。前半のリーグ戦で複数試合できるのも、普段は対戦できない高いレベルの(時にはコーチと)相手と打ち合えるのも楽しい。スポーツを長く続けるためのモチベーションの保ち方は人によって違うだろうが、“楽しむ”ことが最小限必要なのは当然だ。

Party疲れさまぁ〜っ」試合を終え、同じクラブから参加したチームと合同で打ち上げ。心地良い汗と適度の疲労感をシャワーで洗い流し、さっぱりとした後のきりっと冷えたビールは(いつも美味しいけれど)一段と旨い。結果はともかく、1日たっぷり楽しんだ。大会には高校生からシニア世代まで幅広い年齢層のプレーヤーが参加する。助っ人で参加してくれた高校生プレーヤーとの会話も新鮮。彼女のプレーは軽やかで楽しそうだと感想を伝えると、素直に喜んでくれる。スカッシュが好きだぁ〜と、全身で表現している。もちろん酒は飲めない彼女の、ひたすらの食欲も気持良い。こんなつき合いも同じスポーツをやっているからこそ。

って来たぁ〜って感じだなぁ」妻がしみじみと呟く。下位トーナメントでベスト4。決して胸を張れる成績ではないかもしれないけれど、途中棄権の去年の大会からずっと続いていたスカッシュ団体戦が、2年越しで終了。「帰って来られて良かったなぁ」妻の呟きにはそんな続きがあった。

美味の三重奏「ビストロ トロワキャール」松陰神社前

Hors-d'œuvretateyokotate2012年春、メンバーの間で語り継がれる不幸な事件があった。テキーラの惨事、あるいはTang & Rayの悲劇と呼ばれ、繰り返し語られる度に涙となぜか笑いを誘った。事件の主人公は広東料理Fooのサービスマン、ねもきちくん。陽の高い時間からテキーラを飲み過ぎて泥酔。夕刻からの約束を果たすことができなかった。その約束は彼が店を予約し、持ち込みのワインを吟味し、言わばその日の会を主催した、松陰神社の名店、ビストロ トロワキャールでの食事。その日は主催者不在のまま、お気楽夫婦、ねもきち妻チエちゃん、パティシエのマコちゃんで絶品肉料理を堪能した。

YamazakiTrio2ヶ月後、再チャレンジを強く希望したねもきちくんのリクエストに応え、新メンバーを加えてトロワキャールに向った。新たに参加したのは、マコちゃんの友人ビーちゃん。日本在住歴も長く、どこぞの帰国子女よりも日本語が堪能なドイツ人女性。写真やファッション、日本語のセンスが抜群のゲルマン美女。*「縦横縦」と題した写真は彼女のFacebookより無断借用。ちなみに、シャツのストライプ柄のことらしい(笑)。飲み友だちのマコちゃんとビーちゃん、サービスマンシップに溢れるねもきち夫妻、お気楽夫婦、3組6人の組合せとバランスが面白い。場をリードして語りまくるマコちゃん、突っ込むビーちゃん。実に良いコンビ。

TrioMeatsConfit de canardIGAさん、お代わりどぉぞぉ」絶妙なタイミングでチエちゃんがワインを注いでくれる。料理はねもきちくんのセレクトにマコちゃんが横槍を出す。普段なら料理の選択や取り分けに気を遣う私なのに、のほほ〜んと客に徹する。その上、ワインをまたもや選んで持ち込んでくれたねもきちくん。その日のセレクトは山崎ワイナリーのケルナードライとピノノワール、勝沼の白百合醸造のロリアン三重奏。メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランのエレガントな三重奏。いずれも木下シェフの絶品肉料理、ビストロ定番の鴨のコンフィなどにぴったり。旨い、らくちん、楽しい。

souffléい店に必要な要素は、美味しい料理、ワイン、おもてなしで3/4(トロワキャール)、残りの1/4がそんな店を楽しむ客だと言う木下シェフ。その美味しい料理の要素は、どんな料理とワインを合わせるか、誰と飲み食べるかで決まる。リラックスして美味しくワインや料理を楽しめるかどうかは、同行するメンバー次第。その点、このメンバーには文句の付け様がない。3組の組合せが三重奏となり、木下ご夫妻の料理とおもてなしで四重奏となる。その調べの心地良さに思わず身を委ねる。これではワインが止められない。まゆみさんの絶品デザートを味わいながらも、飲み続けるメンバー。「もう飲めないでしょ、水にしておけば」妻が呆れた声で囁く。あれ?私の頼んだカルヴァドスは確かに減っていない。どうやらきっちり酔っているらしい。

IGAさん、約束のサロンいつにしますか」後日書き込まれたマコちゃんのメッセージの意味が分からない。妻に尋ねると、どうやら酔っぱらった帰路、賭けに負けた私がお高いシャンパンをごちそうすることになったらしい。記憶なし。無効ということで。

■食いしん坊夫婦の御用達 「

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SINCE 1.May 2005