80年代のかほり『ザ・シェルター』『寿歌』加藤健一事務所

Katoken81藤健一という役者がいる。カトケンと呼ばれる62歳。1980年に『審判』というひとり芝居を上演するために、「加藤健一事務所」を設立。以来30年以上、下北沢の本多劇場を中心に年に2〜3本の公演を行って来た。舞台が中心の活動でTVや映画には余り出演しない。だから、加藤健一という役者を知っている人の方が少ないかもしれない。1988年、第7回公演『ザ★シェルター』を観たのがカトケン芝居との出会いだった。当時の私は、学生時代に唐十郎の「状況劇場」で芝居に目覚め、前職のぴあに転職してからは、Cカンパニー、劇団夢の遊眠社、自転車キンクリート、流山児★事務所、劇団四季、ブリキの自発団、劇団第七病棟、オンシアター自由劇場などを幅広く観まくっていた。加藤健一事務所は、その中のひとつだった。

The Shelter藤健一事務所vol.7『ザ★シェルター』から24年。当時観ていた劇団で、そのまま活動を継続しているのは劇団四季と加藤健一事務所ぐらいになった。片や年間3,000ステージを上演する日本最大の劇団と、片や設立以来所属する劇団員は加藤健一1人だけという(おそらく)日本最小の劇団。両極端な舞台活動ではあるけれど、どちらも長く続けるための方法論。劇団を維持し、継続できていることだけでも希少で貴重。四半世紀という時間はそれぐらの長さだ。そして、派手さはないが飽きさせないカトケンの(再演を除く)ほとんどの作品を観続けている私も、同じだけ年齢を重ねた。

Hogiutaして2012年春、カトケンファンに朗報が届いた。80年代に人気を博し、何度も再演された伝説の舞台『ザ・シェルター』と『寿歌(ほぎうた)』が2本立てでの再演。いずれも北村想の戯曲。1995年のvol.31『セイムタイム・ネクストイヤー』から一緒に観続けている妻にとっては初見。是非にと本多劇場に向った。会場にはカトケンと共に年齢を重ねた観客たち。演劇公演では少ない男性客、それも不思議と男性同士でやってくる客が多い。80年代からずっとカトケン芝居を見守り続けて来た同士たち。味のある役者を観に来ている、味のある(ちょっと癖のある)オヤヂたち。

・シェルター』は、核シェルター製造会社に勤めるサラリーマンが主人公。家族を伴い自宅の庭に設置した自社製品のシェルターでモニターとして3日間過ごすことになる。そしてコンピュータの故障で閉じ込められ…という笑えない設定の、笑える物語。『寿歌』は、核戦争が終わった後に、街を渡り歩く関西弁の旅芸人の良い加減ではない、え〜かげんな物語。いずれも88年の公演よりもショートヴァージョンで上演された。それだけにやや物足りなさが残った。特にシェルターで過ごす家族の気持の変化が性急に演じられた感はあり、残念。けれど、80年代の東西冷戦下の空気感、社会情勢が蘇る。同時に、昨年起きた不幸な事故を思い起こさせる「今」の空気も取り込む。この24年ぶりの北村想の作品の連続上演は、今だから意味を持つものもある。ブラックで快活な笑いが身近に感じられる。空想だったであろう物語が、これ以上現実に近寄ってこないことを祈るばかりだ。

はカトケンと風間杜夫だね!」と妻。『バカのカベ』は、つかこうへい事務所時代に共演していた2人が久々に同じ舞台に立つ。今から楽しみな公演だ。

さかな、魚、肴「さかなちゃんは出世魚」

tai下の友人がいる。名前はまことちゃん。グワシ!ではなく、お菓子。職業はパティシエ。良と書いて、まこと。男性ではなく、可愛い女の子。ショコラティエミキのミキちゃんと共に、お気楽夫婦の住む街が誇る2大パティシエ(…と勝手に命名)の1人だ。彼女のことは店の名前「Le Petit Poisson」に因み「さかなちゃん」と呼んでいた。スイーツだけではなく、美味しいお料理とお酒を愛するさかなちゃんは、Facebook仲間でもあり、飲み友達でもある。とある日、そのさかなちゃんが書き込んだFacebookのメッセージが、その夜の宴の狼煙だった。

を一匹いただいたっヽ(・∀・)ゝヨ!ワーイ(´∇`)!!だが、はて…どうしましょ(;´д`)いや、さばくのも食べるのも好きなのよ(さかななだけにね) でも…どこかに持ってて調理してもらおう…(⌒〜⌒)」(Facebookより無断転載)それを読んだ瞬間にぴんっと来た。彼女に紹介して、今やすっかり仲良しのネモキチこと根本夫妻の店「広東料理Foo」狙いに違いない。突っ込んで欲しいという空気を読み、すぐに書き込んだ。「海鮮だったら迷わずFooだね♫」ところがFooは定休日。「テトラという手もある」と追記。「さかなの寄り処てとら」は、新鮮な魚が自慢のFooの兄弟店(?)であり、居心地の良い飲んべえの店。「てとら行く?」すかさずネモキチくんが呼応する。その日はネモキチくんの店も、さかなちゃんの店も定休日。そんな書込みが序章だった。

sakanaっ!ネモキチ夫妻と?行く行く!持ってく!」「よしっ!行きましょう!てとらに電話するよ」「ひゃっほい!」「では18時スタート!」てな会話が(Facebookで)続いている。宴会は早くから始まるらしい。何しろ彼らは定休日。「IGAさんご夫妻もぜひ!」とお誘いいただいたのが午後3時。よしっ!6時は無理でも、なんとか8時には向かうことにしよう。妻にメール。「20時目標でてとらへ!詳しくはFacebookのさかなちゃんのウォールを読むように!」勤務時間中はFacebookを読まないというポリシーの妻は、そんな経緯を全く知らない。「わかた」…6時過ぎに妻から返信。妻のメールはいつもシンプル。何とか仕事を終えたお気楽夫婦。一緒にさかなちゃんとネモキチ夫妻が待つ店へ。

ぁ〜IGAさぁ〜んっ!来てくれて良かったぁ♡」もうすっかりご機嫌の3人。「いやぁ〜、このメンバーで飲みたいって思ってたんですけど、こんなに早く実現できるなんて♫」先行する3人に追いつくためには、どうやらペースを上げる必要がありそうだ。「ねぇ、ネモキチ先輩!」「先輩はいらない、ネモキチで良いよ」すっかり馴染んださかなちゃん。「それにしてもFacebookって、凄いっすね」確かに。「今日の書込み、みんな速っ!笑っちゃいましたよ」ネモキチ妻、チエちゃんが満面の笑み。彼女の笑顔は伝染する良い笑顔だ。さかなちゃんが笑い転げる。妻が微笑む。そして肝心の鯛。店主のジローさんが実に見事な料理にしてくれた。実に、んまいっ!(C)ねもきち。笑顔が更に深く広がる。良い酒だ、良い魚だ、良い肴だ。良い夜だ。さかなちゃんが作ってくれた良い宴だ。

してある日、2大パティシエと共にカラオケ三昧の夜、酔って眠りこける私を撮影するさかなちゃん。あろうことかFacebookにアップ。「寝ながら、それでもタンブリンを叩くIGAさん」…すかさずネモキチ夫妻が食いついた。「(爆笑)これ、良いのか?WEBだぞ」「怒られた(ノー`) でも強行突破(´∀`*)」妻は薄く笑って黙認。まぁ、良いいだろう。初見では決して人懐こい訳ではないさかなちゃん。知り合って数年。その間彼女は小林さんから、さかなちゃんになり、マコちゃんになった。そんな彼女は出世魚。

れからも、よろしく!…でも、酔っぱらい写真のアップはなしね(笑)

三杯目もシャンパン♫「餃子と、赤子と、シャンパンと!」

MinMinGyozaGyozaカッシュ仲間の冷凍庫には餃子が溢れていた。6人前のパック×4、4人前パック×4、合計40人前。1人前が6個だから、なんと合計240個もの餃子!世田谷の高級住宅地にある豪邸とは言え、個人宅にある数としては異常。餃子と言えば宇都宮。先日、その宇都宮にあるスポーツクラブで開催されたスカッシュの大会に参加したスカッシュ仲間たち。団体戦で争われたその大会に、3チーム、合計11人で遠征。大会は前半は4ブロックに分かれて総当たりのリーグ戦。そして各ブロックの1位チーム、2位チームと集まり、後半のトーナメントを戦う。わがチームは、それぞれが1位トーナメント準優勝、2位トーナメントと3位トーナメントで優勝という輝かしい成績を収めた。その戦果として獲得したのが「宇都宮みんみん」の餃子だったのだ。

LansonIshiRaaにとっては、昨年6月にアキレス腱を断裂した試合以来の参戦。はらはらしながら応援する周囲をよそに、「ヘーキ、ヘーキ!」と楽しそうに試合をしていた。そして参加全チームが好成績。ということで、帰路には恒例の湘南新宿ラインの電車内宴会。敢えて新幹線に乗らず、湘南新宿ラインのグリーン車(1Fのみの車両は12人定員)を独占して飲みまくる。これが楽しいのだ!駅前の餃子やでさくっと1次会、買い込んだつまみと酒で盛り上がる電車内が2次会、つい調子に乗って電車を降りて3次会。そして、車内宴会のノリで決めた「餃子パーティ」が、日を改めての4次会となったという訳だ。会場となった友人宅のリビングは広い。10人以上集まってもゆったり広々。ギョーザ!ギョーザ!と呟きながらメンバーが集まってくる。

Babyもてなし上手、ホームパーティ経験豊富な友人のホスピタリティは完璧。皆がそれぞれリラックスして餃子を齧り、ビールを飲み、シャンパンを啜る。シャンパンはランソンのブラックラベル。泡好きの彼女が最近おススメと言うだけあって、お手軽ながら爽やかで軽やかな辛口。きめ細やかな泡が楽しい。そして、幸せに美味しい。餃子とシャンパンが不思議にも合う合う。1杯目からシャンパンの私は、2杯目も、3杯目もアワアワ。ずっとシャンパンで、し泡せ!ところで、その日の主役は、大会で活躍したメンバーでも、シャンパンでも、餃子ではなく、生後3ヶ月の彼女。仲間のひとりの初めてのベイビー。ツブラな瞳を持つ娘を連れて、夫婦揃って参加。登場した瞬間に宴会の中心は彼女に移った。

Memberも鼻も手も、どれも新品だねぇ!肌キレー!」「可愛いぃ〜っ」「○○に似てるぅ〜」「目がすっごい大きいねぇ」赤ちゃんと動物には勝てない。子育て経験者は懐かしい目をして、未経験者はこわごわと、ほぼ全員が交代で姫を抱く。ランソンを飲みながらそんな風景を眺めるのも悪くない。「ほぉら、IGAさんも!」うっ!こわれもののような、繊細でふにゃふにゃと柔らかく、ほんのり温かく小さな生き物を、へっぴり腰で抱く。典型的な未経験者だ。うわっ!泣く?泣かないで!慌てて若い母親に大事な娘さんをお返しする。ふぅ。

育てが終わった母親がいて、これから大切に娘を育てる若い夫婦がいて、結婚間近と思われるカップルがいて、結婚に憧れお見合いを繰り返すボンボンがいて、子供がいないお気楽夫婦がいる。世代も、生活環境も、仕事も違う、スカッシュという共通のスポーツを通じて出会わなければ接点のなかったであろう仲間たち。スカッシュという強力な接着剤で繋がった仲間たち。その日もまた語り、笑い、酔い、楽しい時間が過ぎて行った。

3杯目?何言ってんの!ず〜っとシャンパン飲んでたよ!」グラスに3cm程度シャンパンを飲んだ妻は、今日も冷静だ。

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