Are You Happy ?「グランドハイアット東京」

Gymトナになることと、歳をとることは別だ。老けることと、年齢を重ねることは違う。…誕生日がやってきて、ひとつ歳をとった。小学生の頃にずっとオトナに見えた中学生になってみると、こんなもんか?と思った。高校生の頃に憧れていた、何でも自由になりそうな大学生になってみると、あれ?こんな感じだったのかと思った。新卒の社会人の頃になんだこの若さを失ったオヤヂは?と思った当時の上司の年齢をとっくに超えた。50代も半ば、体力の衰えを感じることは、ないとは言えない。毎週末にスカッシュのレッスンを受け、それ以外にも週に1度はジムで走り込む。体重は20年前の水準をキープしている。その当時に買ったスーツが今でも着られる。けれど、腰が重い。肘が痛い。白髪が増えた。

Poolれでも、歳をとることは悪くない。それどころか、近頃は気に入ってさえいる。年齢を重ねることが嬉しい。若い頃の自分を(内心では赤面しながら)笑って思い出せる。かつては失敗だと思っていた過去も肯定できる。軽やかに開き直ることができる。良く言えば、年齢相応の余裕ができたのかもしれない。けれど、人間として成長してばかりはいない。混んだ電車の中で脚を組むワカゾーの足にわざとぶつかる。歩きながらタバコを吸うオヤヂを睨む。きっと嫌な爺さんになるのだろう。あるいは、いつか見知らぬワカモノに刺されるのかもしれない。

HappyBirthdayる週末、お気楽夫婦は都心のホテルに滞在していた。誕生日のお祝いと妻がプレゼントしてくれる恒例のアーバン・リゾート・ステイ。今年は六本木のグランドハイアット東京。「クラブラウンジが新しくなったんだよねぇ♫」と嬉しそうな妻。彼女はオタクと呼んでも良い程のホテル好き。毎年自分が行きたいホテルをチョイスし、私の誕生日を祝うことを口実にホテル滞在を楽しみにしているご様子。いつも早めにチェックインし、早々にジムで走り込み、プールサイドで本を読み、スパでのんびりと過ごす。夕刻には友人を招き、一緒に食事をし、部屋で飲む。安くはない宿泊代を最大限に活用し、ホテルライフを味わい尽くす作戦。

Dinnerランドハイアット東京は2度目の滞在。開業早々に宿泊した際には、決して好感の持てるサービスではなかった。あれから10年、良い意味で歳を重ねたホテルになっただろうか。クラブラウンジでチェックイン。スタッフの数は多い。けれど、空気が緩い。良い意味での緊張感がない。それは友人を招いての食事の席でも同様。目配り、気配りが足りない。客に対する目線が高い。ちょっとエラソー。実に残念。翌朝、朝食時のスタッフの対応の悪さに、普段は穏やかな妻が立腹。10年の歳月を経てもこのホテルはオトナになっていなかった。「やっぱり香港のグランドハイアットのクラブラウンジのスタッフが良いなぁ」確かに彼らは楽しそうに仕事をしていた。フレンドリーに声を掛けながら、客との距離感が絶妙だった。サービスを受ける客も心地良かった。だからこそ、リピーターとして何度も宿泊するホテルとなった。

イジン相手にだったら、日本人スタッフもあんなサービスできるのかもね」と妻。そうかもしれない。けれど、それではプロとは言えない。ゲストを楽しませることはできない。また訪れたいとは思えない。お互いに幸福ではない。チェックアウト前、支配人宛に憤りのメッセージを残した。歳はとっても、まだまだオトナになれない、お気楽夫婦だった。

味は人で決まります♬「広東料理Foo」松陰神社

yakichoiWineる週末の夜、お気楽夫婦は広東料理Fooにいた。ほんの数日前に焼菓子の名店「ル・プティ・ポワソン」のパティシエ、良ちゃんと共に訪れたばかり。昨年10月の開店以来、数ヶ月の間に5度目の来店。かなりのヘビーローテーション。外食が多い2人とは言え、食べに行きたいお店も数多い。しばらくご無沙汰している店もある。けれどこの店を選ぶのは、この店の美味しさを共有したいから。そして何よりも、この店に連れて来たい仲間がいるから。最初に開店祝いを兼ね、2人だけで訪れて以来、都度違うメンバーをお誘いし、この店にやって来た。その夜のメンバーは、ご近所の友人夫妻、NYC帰りの友人夫妻、計3組6人。一緒にお芝居を観た後で立ち寄った。

Conteroysterの日も、店に入るとサービス担当の根本ご夫妻がにこやかに迎えてくれた。さっそく仲間たちを2人に紹介。実はご近所の友人(妻)は、この街で育った。父親はお店を経営し、かつて商店街の理事もやっていた。そう伝えると「新参者ですが、よろしくお願いします」と笑顔で応えるネモキチくん。「今度はウチの家族を連れてお邪魔します」と返す友人。スタートは上々。さっそくお店自慢の焼物盛り合わせを肴に、いつものように勝沼醸造のアルガブランカをいただく。NYC帰りの友人夫妻は根本ご夫妻がミッドタウンの「SILIN 火龍園」にいた頃にも一緒に伺い、このワインを勧められ気に入ったという経緯がある。「やっぱり美味しいねぇ♬」とワイン好きの2人が声を揃える。

saimakiいて看板メニュー「本日の一魚一会」から、「五島の沖カサゴの広東風姿蒸し」を、さらに春節メニューから「自家製干し牡蛎の髪菜あんかけ」をチョイス。皆でわいわいと取り分け、んまいんまい((C)ネモキチ)と、賑やかに味わう。やっぱり中華は気の置けない仲間たちと大勢で楽しむのが良し。するとそこに「オヤヂからです」とネモキチくん。なんとサイマキ海老の湯引きを運んで来てくれた。入店早々に紹介された、息子の店の料理を味わいに上京していたネモキチくんのご両親。お世話になっていますとご挨拶はされたけれど、お世話になっているのはこちら。全員で「ごちそうさまですっ!」とお礼。息子さんが経営する繁盛店を改めて満足そうに眺めつつ、笑顔で応えていただいた。で、この海老が旨いのだっ!さすがに多かろうと選べなかった一品。(選んだのはネモキチくんだろうけれど)お父さん、ナイスっ!

NegiNoodleはいつの間にか満席。既に2回転目のテーブルもある。どの席でも賑やかに会話が溢れる。ネモキチご夫妻が各テーブルを泳ぐように回り、絶品料理と共に笑顔を運んでやって来る。さすが中華ビストロを標榜するお店、お酒も進みテーブル毎のざわめきが心地良いBGMになる。料理に、酒に、サービスに、すっかりご機嫌になる。各テーブルのご機嫌度数が上がり、それが店の雰囲気を作る。決して広い店ではない、テーブル間が充分広い訳ではない。けれど、それが却って互いに温かさを伝え合い、柔らかな空気を産む。やはり友人を連れて来たくなる良い店だ。嬉しい、楽しい店だ。

ころで、料理の味は何で出来ているのだろう。フレンチのシェフが言う。味はソースで決まる。和食の板さんが言う。味は出汁で決まる。中華の達人が言う。味はスープで決まる。きっと、どれも正しい。けれど、味は人で決まるのかもしれない。料理を作る人の技はもちろん、サービスする人の気配り。そして店側だけでなく、客も味を作る。さらに、お気楽夫婦にとっては、一緒に楽しく食べたいと思う仲間たち。それらが相まって店の味を作る。稀に、それらが上手く出会う幸福な店がある。そしてそんな店には人が集まり、人を呼ぶ。

東料理Fooは、そんな店だ。…ところで、私、ホメ過ぎか?

【食いしん坊夫婦の御用達】広東料理Foo *お店のデータを詳しく掲載

贈り物の距離感「Gift」

Yumochi草は過ぎたものの、正月気分が残るある日、箱根から小さな箱が届いた。中には温泉街の香りが一緒に詰まった和菓子。箱根湯本にある「湯もち本舗」の菓子詰め合わせ。白玉粉を練り上げた「湯もち」は、しっとり柔らかい。ひと口かじると、中に入った刻み羊羹の柔らかな甘さ、そして柚子の香り。実に上品なお味。箱根八里は馬でも越すが…と歌われる箱根の馬子衆の鈴をかたどったという「八里」は、これまた上品な鈴型の最中。愛らしく食べるのが惜しい。お正月らしい、正しい日本のお菓子の風情。贈ってくれたのはスカッシュ仲間の若手建築家。年末に妻の故郷浜松から送ったミカンのお返しだという。建築家の彼らしい、良いセンスのGift。小さな子供を連れ、家族で過ごした温泉街で選んでくれた風景が浮かび、思わず微笑んでしまう。ごちそうさま、とお礼のメールを送る。

gift人の日も過ぎた頃、年末にワシントンD.C.に旅立った友人からメールが届いた。壮行会の際に皆で贈ったカードへのお礼と、お気楽夫婦が送ったクリスマスカードへのお礼が記されていた。世の中では虚礼廃止と年賀状を止める傾向にある。確かに印刷された型通りの挨拶文だけでは気持は伝わらないかもしれない。けれど、伝えたい気持を1枚のカードに託すことができることもある。カードという形あるものにメッセージを書いて送ることで、伝わることもある。遠く離れてしまった友人は、DCの新居に2枚のカードを飾ってくれたとのこと。壮行会の際に、皆で贈ったカードを喜び、思いが溢れ泣いてしまった彼女。ワシントンのアパートメントで、そのカードを眺めている彼女の姿が思い浮かぶ時、ふぅわりと心が温かくもなり、淋しくもなる。けれど、コミュニケーション能力に長けた彼女のこと、あっという間にDCでも大勢の仲間に恵まれもすることだろう。

LePainPoisson国の新年に当たる春節の頃、お気楽夫婦は友人のパティシエと乾杯をした。松陰神社にある「広東料理Foo」で新年会。絶品の焼き菓子を作る「ル・プティ・ポワソン」のパティシエ「さかなちゃん」は、パン好きの妻のためにパンを焼いてきてくれた。さっそくパンを取り出し「美味しそうっ♫ここですぐに食べたい!」と宣う妻。お返しに当来物のどら焼きをプレゼント。コメ好き、餡子好きのフランス菓子職人の彼女は、お店の繁盛の願掛けとして1年間の「お米断ち」を実行中。お米の誘惑を断ち切る手段のひとつとして、自らパンを焼き食べているとのこと。美味しそうな全粒ライ麦パンは、お米断ちのお裾分け。そんなやり取りを見ていたFooの支配人ネモキチくんの奥様、ホール担当のチエちゃんに彼女をご紹介。「笑顔がステキ♡」「今度ケーキを買いに伺います♫」という彼女たちのやり取りに、ぴんっ!ときた。

モキチくんから勧められた国産ワイン「アルガブランカ」を2本も飲んでご機嫌な上に、「このワインに合うんですよ!」と、おまけで出していただいた烏賊の湯引きを絶賛するさかなちゃん。Fooの料理も、ワインも、とびきり笑顔の接客でネモキチご夫妻が作る店の雰囲気も気に入っていただけたご様子。では、もう1歩踏み込んでおせっかい。お気楽夫婦を通じて、チエちゃんとさかなちゃんはFacebookで繋がれる。2人にそれを伝えると「さっそく探してみます」と声を揃え、その日の内にリクエストをし合った様子。

日後、友人たちと「広東料理Foo」を再訪。オトナのシュークリーム、オトナのチーズケーキ、ちょっとオトナのチーズケーキなど、お気楽夫婦が食べたい、食べて欲しい「ル・プティ・ポワソン」のケーキをチョイスして、お店の皆さんに差し入れ。その夜のFacebookの書き込みで、さかなちゃんとチエちゃんのやり取りを読む。絶品広東料理の接客のプロと、絶品スイーツの職人、プロ同士が繋がった。小さな贈り物で2人の距離が一気に縮まった。思わず微笑むお気楽夫婦。

Giftということばは、「天から与えられたもの」「才能」という意味がある。Giftを持った友人たちと、Giftで距離を縮めることができる。けれど、Giftを贈るには相手との距離も測る必要がある。それだけに難しく、楽しい行為でもある。「あなたは誰かにプレゼントするの好きだもんね」と妻。Giftのない私が、できるのはせいぜいGiftを贈ることだけ。

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